道の重点施策として総合的な推進体制を

(3)バイオマス資源の利活用について

1.バイオマス利活用についての基本的考え方について
 
大谷議員 道として利活用に向けた取り組み状態をどう把握し、今後の活性化に向けてどのように取り組んでいくのか基本的な考えについて聞きたい。
 
高橋知事 道内各地でも堆肥、バイオガス、バイオプラスチック、エタノール燃料などバイオマス利活用に向けた幅広い取り組みや検討が行われており、基幹産業である農業振興や環境保全にも効果が大きい。道は三月に策定した「循環型社会推進基本計画」において、その取り組みを位置づけており、多様な利用方法についての情報収集・発信とともに研究開発や国の助成制度活用により地域の取り組みを積極的に支援してまいりたい。

2.バイオエタノール化に向けた取り組みについて
 
大谷議員 バイオエタノール事業化については、現状では採算性の面から解決すべき課題がさまざま存在するが、道として課題をどのように把握し、解決に向けてどのような対応が必要と考えているか。
 
高橋知事 ガソリンと比較して製造、流通コストが高く、価格競争力をつける観点からエタノール混合ガソリンの需要創出、エタノール生産性の向上、国や地方自治体の税制優遇措置などの課題がある。課題解決には税制や関連法令の整備など国の役割が大きい。国、道、市町村、原材料供給者、民間企業、道民の一体的な推進体制整備が必要であり、道として有識者や経済団体、関係機関で構成する会議を立ち上げ検討してまいりたい。

2.道の重点施策への位置づけと総合的な推進体制の整備について
 
大谷議員 道として戦略的分野に位置づけ、研究開発や販路確保などの面で主体的にかかわり、事業化を促進する観点から国に積極的に政策提言すべきだ。また、道の本庁に総合的な推進組織を設置すべきと考えるが、知事の決意を伺いたい。
 
高橋知事 国は「バイオマス・ニッポン総合戦略」を策定し、技術開発援助などを行い、道においても「バイオマス利活用推進連絡会議」を設置、利活用システムの構築、技術の開発、需要開拓に向けた取り組みを進めている。本年度中にマスタープランを策定する。


循環資源利用促進税の経済界との協議結果は

(4)循環資源利用促進税について

1.経済界などとの協議について
 
大谷議員 循環資源利用促進税の導入に向けて、経済界や関係団体との協議を進めているが、これまでの協議の状況について伺う
 
高橋知事 道経済連合会や道商工会議所連合会など経済九団体、日本ビート糖業協会から導入に当たっての要望書が提出されるなど、条件付ながら一定の理解が得られつつあると考えている。

2.今後の対応について
 
大谷議員  協議の結果を踏まえ、どのような制度内容や対応を考えているか。また、知床の世界自然遺産登録について、知床の評価に関する感想と登録された場合の今後の取り組みについて聞きたい。
 
高橋知事 税収を活用した支援方策としてリサイクルに関する研究開発や設備機器設置への支援などの充実強化を検討している。税の徴収は最終処分する時のみ課税することで減量化やリサイクルが促進され簡素で分かりやすいと考えている。循環型社会の早期実現のため、第三回定例道議会に条例提案をしたい。知床世界自然遺産については、北海道の誇る自然環境が世界的に認められたことで誠に喜ばしい。登録後は地元自治体、関係機関とも連携し、知床科学委員会の助言をいただきながら優れた自然環境を積極的に保全し、後世に引き継いでいく。


道青少年保護条例の見直しと改正を

(5)青少年の健全育成について

1.北海道青少年保護条例の見直しについて
 
大谷議員 条例制定から相当の年数を経ており、新しい規制も必要になってきている状況もあるので、名称も含めて新たな視点に立って見直し、改正が必要と考えるがどうか。
 
高橋知事 青少年をめぐる環境が大きく変化し憂慮すべき状況にある。規制中心から、基本的な考え方や方向性を示すとともに、青少年自身の課題、家庭、学校、地域の役割と責任を明確にし、行政と地域が一体となって青少年を健全に育てるという新たな視点を加えた条例改正に向けて、道教委、道警と連携を図りながら見直しを進める。

2.子どもを犯罪から守る対策について
 
大谷議員  自主防犯活動の実態や今後の更なる推進策について伺いたい。また、警察庁が定めた「子どもを犯罪から守るための対策の推進要綱」に関連し、道警本部は特にどのような事項を重点に推進しようと考えているのか。
 
芦刈道警本部長 PTAや町内会、企業等により現在百八十九のパトロール隊が結成されているほか、青色回転灯を装備したパトロール隊も六十五団体、車両百十七台と増え続け、学校周辺、通学道路などのパトロールや監視活動を展開している。警察庁の対策に関連しては、「街頭活動の強化による犯罪の未然防止と迅速な検挙」「道条例に基づく安全確保のための指針作りや地域安全マップの作製支援」「声かけ事案や不審者情報などの教育委員会、学校などへの情報提供」「子ども一一〇番の家や防犯ステーションの活用方法の徹底と避難訓練の実施」などに全力を挙げたい。


老人医療費の適正化進めよ

(6)地域医療について

1.医療計画の見直しについて
 
大谷議員 計画見直しは、患者本位で都道府県が自主性・裁量性を発揮できるものとし、必要な医療資源を把握し、主要な疾病ごとに具体的数値目標を定め、交付金などの政策誘導により、診療ネットワークを構築するものだが、既存病院の機能再編など知事が重い役割を担うことになる。この見直し案をどう受け止め、どう取り組んでいくのか。
 
太田保健福祉部長 今後、国の検討状況を踏まえながら、保健福祉部内に検討チームを設置し、新しい医療計画づくりに向けた検討を進める。

2.国民健康保険について
 
大谷議員 赤字経営の地方の財政負担を抑制していくために、道独自の保険財政安定化対策を進める必要がある。また、道が市町村へ交付する財政調整交付金の配分方法は、どのような条例を制定する考えか。
 
太田保健福祉部長 今年四月庁内関係部で構成する「市町村国民健康保険安定化推進会議」を設置したが、医療費の適正化などを内容とした国保経営の安定化を図る計画を策定してまいりたい。都道府県調整交付金の配分方法も検討中である。それにかかわる条例案は交付金の種類、配分割合を盛り込み次期定例会に提案したい。

2.老人医療費について
 
大谷議員 北海道の場合、老人医療費にかかわる交付税の算入率が低いとされているが、どのような状況か。国に対して交付税措置の充実を求めるべきではないか。さらに、道独自に老人医療費の適正化を進めるべきと考えるがどうか。
 
太田保健福祉部長 平成十六年度において老人医療費負担額に対し、普通交付税措置額の割合は約八割であった。このため国に対して制度改正要望を行っている。老人医療の適正化については、「北海道老人医療費対策推進計画」を策定、地域の特性に応じた医療・介護の提供や生活習慣病予防の健康づくりなどの施策を推進している。また、効果的な計画推進のため、市町村が重点的に取り組む事項を検討している。


観光くにづくり宣言をどう具体化するか

(7)経済雇用対策について

1.海外との経済交流について
(1)道産物の輸出促進協議会について
 
大谷議員 道としても「北海道産業団体協議会」の支援を得ながら、農水産物はもとより、加工食品や木材木製品などの輸出拡大を目指し、道産物の輸出促進協議会を立ち上げるなどの取り組みが必要と考えるがどうか。
 
高橋知事 道内の農林水産業界と経済界が、連携と協働を進めるために設立された「北海道産業団体協議会」などと協議しながら、道産品の輸出促進につながる協議会の設立に取り組んでまいりたい。

2.観光のくにづくりについて
 
大谷議員 北海道観光サミットにおいて、「世界へ、未来へ、観光のくにづくり北海道宣言」を行っているが、この宣言を実効性あるものにするため、具体的にどのような取り組みを進める考えか。
 
高橋知事 七月中をめどに新たな推進組織を立ち上げるため道経連や関係機関・団体と調整を進めている。北海道観光を拡大する戦略について論議を深め、プロモーション活動の展開や花観光、アウトドア体験など新しい観光の魅力づくり、ガイドなどの人材育成といった課題に対し、効果の高い取り組みが展開されるよう道として積極的な役割を果たす。

3.雇用対策について
 
大谷議員 国は地域提案型雇用創造促進事業を立ち上げ、市町村の雇用対策の支援に乗り出しているが、この事業の掘り起こしや国の採択に向けた支援、さらには道独自の地域雇用創出に向けた取り組みの充実が望まれる。道としてどのような支援を行っていく考えか。国のパッケージ事業の掘り起こしをはじめ、昨年十二月に承認された地域再生計画「北海道一村一雇用起こし促進事業」に取り組むとともに、北海道雇用創出基本条例に基づく基本計画を早期に策定し、市民との協働による新事業創出など雇用起こしの促進、地域の特色を生かしたさまざまな雇用の創出に努める。

担い手農家をどう規定する考えか?

(8)農業問題について

1.新たな「食料・農業・農村基本計画」について
(1)担い手農家の規定などについて
 
大谷議員  経営安定対策を集中的・重点的に実施する対象となる担い手農家をどう規定すべきと考えているか。また、国の制度設計に道の考えが反映されるよう、どのように対応されるつもりか。認定農業者数加速方策についても伺いたい。
 
高橋知事 「北海道農業・農村確立連絡会議」として、オール北海道で新たな経営安定対策の対象者は、「認定農業者など農業で生計を立てる主業的な経営体」を基本とすることについて、国に提案している。道は国の制度設計に畑作や水田作と野菜・花卉、畜産等を組み合わせた複合経営に配慮することを含め、本道の提案が十分反映されるよう国に求めている。また、認定農業者については、「北海道担い手育成総合支援協議会」の活動を通じ、地域の担い手として認められ、経営改善に積極的に取り組む農業者を対象に認定に向けた努力を加速していく。

(2)道の取り組みについて
 大谷議員 食料自給率の五%アップを達成するには、本道農業の役割は大きい。道として本道の生産目標を立てるべきであり、目標達成に向けては生産拡大品目を明らかにし、重点的に取り組むべきと考えるがどうか。
 
高橋知事 本年度策定する「第三期農業・農村振興推進計画」と併せ、国の「生産努力目標」を踏まえ、年度内に「北海道における生産努力目標」を主要品目ごとに策定し、その実現のため重点的に取り組む。目標達成のため農業団体など関係者が一丸となって具体的な取り組みを進めてまいりたい。


安全性の確保に向け検査体制を強化する

(9)水産業の振興について

1.二枚貝の安全確保対策について
 
大谷議員 安全・安心な二枚貝を生産していくためには、安全確保に向けた更なる取り組みが必要であり、道としてどのように対処する考えか。
 
高橋知事 道としては二枚貝の安全性をしっかり確保するため、全道の漁業協同組合に対し、再度、貝毒検査を徹底したほか、水産試験場が行う毒性プランクトンの海洋調査を全道十九海域に拡大した。庁内に関係部、研究機関、道漁連により「貝毒監視体制検討委員会」を設置、現在、海域ごとの発生予測、毒性プランクトン発生時の検査体制の強化、速やかな回収システムなどについて検討している。このような安全性確保に向けた取り組みを強化していく。