道職員の危機意識は、甘いのではないか

2、道政上の諸問題について
(1)財政立て直しについて

1.[選択と集中]に対する姿勢について
 
遠藤議員 1,700億円の歳出削減・歳入確保に向けて財源投入の「選択と集中」が厳しく問われているが、どのような姿勢で臨むか。
 
吉澤副知事 聖域を設けることなく効果や施設の水準などについて検証を行い、必要な施策を的確に選択し、新規施策についても事前評価の本格導入の検討など政策評価制度の充実により、成果主義の観点から納税者の視点に立って、より効果の高い施策を選択していく。

2.[構造改革期間]の取り組みについて
 
遠藤議員 「構造改革期間」の対策を前倒しして加速させる必要があるのではないか。
 
吉澤副知事 「集中対策期間」の目標である1,700億円の歳出削減、歳入確保を前倒しで実施するとともに、支庁制度の見直しなど行財政構造抜本改革についても前倒しして実施していく。

3.収支不足の拡大の中での道と道民の痛みについて
 
遠藤議員 人件費の削減はさらに前進させるべきだが、これ以上道民に痛みや負担を求めていくのか。
 
吉澤副知事 職員数適正化計画を着実に推進し、給与の見直し、教職員の適正配置を進めていくほか、行財政の抜本的改革を前倒しで実施していく。

4.職員意識の喚起について
 
遠藤議員 既得権益にこだわったり、危機的状況に対する認識が甘いなどの声が聞こえるが、職員の意識改革にどう取り組む考えか。
 
吉澤副知事 各部局長がリーダーシップを発揮して管理職員を指導するほか、職員に対するさまざまな研修機会を活用して意識改革を徹底していく。


行政改革の節減効果は?

(2)組織・機構の再編について

1.節減効果と今後の取り組みについて
遠藤議員 今回の組織機構の改正により職員数、人件費などでどの程度節減効果が出たのか。今回対象とならなかった部局についてどう考えているか。
 
山口副知事 本庁・支庁関連合わせて約150人を削減する。これにより約11億円程度の効果がある。今後とも職員数の適正化に努める。

2.本庁部局の組織・機構改正について
 
遠藤議員 組織・機構の改正のねらいとその効果について伺いたい。
 
山口副知事 道政の新たな政策課題に迅速に対応するため各部連携のもと、必要な政策の企画・立案、推進・調整、政策提言をより機動的・一体的に行う「道民のために働く道庁」の体制強化を目指し、その実効を挙げている。

3.出先機関の位置づけなどについて
 
遠藤議員 保健所、児童相談所、土木現業所、森づくりセンターが支庁に統合されたが、どのような効果が発揮されているのか。
 
山口副知事 これまでの縦割り行政を解消するとともに、地域における保健、医療福祉施策の連携により、住民ニーズに即した総合的な行政が展開されると考えている。

4.「地域経営方針」の策定について
 
遠藤議員 「地域経営方針」は、どのような考えで、いつごろまでに策定するのか。
 
山口副知事 次期長期計画の策定に併せて作成手法など検討していく。


道州制と道州制特区との関連は

(3)道州制について

1.基本的な考え方について
 
遠藤議員 先行実施に当たって6つのテーマが示されたが、その理念を伺いたい。また、道州制と道州制特区はどう関係づけているのか。
 
山本副知事 本道経済の活性化や北海道の特性を踏まえた、住民サービスの充実をねらいとしている。道州制は地域住民が自らの意思で政策を決定し、個性豊かな地域社会づくりを進めることを基本としており、国が果たす役割以外は自治体が担う形に変えようとするもの。道州制特区は、将来の道州制に向けて先導的、モデル的な取り組みを進めようとする試みである。

2.道州制プログラムについて
 
遠藤議員 先行実施、取り組み拡大、本格実施の3段階のステップは、それぞれどの程度の期間を想定しているのか。税制など本道の実情に即した法体系の整備も検討する必要があるのではないか。
 
山本副知事 先行実施は四年間と考えている。全国的な道州制の導入は10年以上の期間が必要ではないか。本格導入に向けて役割分担や税財政制度など検討を進め国に積極的に働きかけていく。

3.構造改革特区構想の反映について
 
遠藤議員 構造改革特区構想で出されたアイデアは、道州制素案にどのように生かされているか。
 
山本副知事 国際観光の促進に向けた出入国管理業務にかかわる規制緩和や、新事業・新産業創出に向けた外国人研究者の入国・在留申請の優先処理など、一部地域で認められたものを全道展開するための提案も盛り込んでいる。一層幅広く道民のアイデアを募りたい。

4.道州制にかかわるモデル事業推進費の使途について
 
遠藤議員 モデル事業推進費は、テーマを決めて集中的に投資すべき。ソフト事業や非公共事業への活用も国に働きかけるべきだ。
 
山本副知事 観光、環境といった道州制先行実施テーマを念頭に、複合的な施策の展開や北海道スタンダードの適用など効果的な事業の実施に努める。この制度にかかわる対象事業の拡大については、積極的に国に働きかけていく。


道がコーディネートの役割を

(4)市町村合併について

1.協議会離脱に対する見解について
 
遠藤議員 合併協議会から離脱する自治体も散見されるが、見解を伺いたい。
 
山本副知事 合併特例法の下での現実的な枠組みが形づくられていくプロセスととらえている。いずれにしろ合併協議の中で十分論議が尽くされる必要がある。

2.障害要因の除去について
 
遠藤議員 市町村の財政状況が障害要因になっているが、道は公債費負担の平準化を図るための繰り上げ償還にかかわる借り換えや合併に伴う資金需要について、国への対応を求めているが、どのような状況か。
 
山本副知事 国は合併に関して新たな支援策は講じない方針だが、市長会、町村会などと連携を図り、引き続き繰り上げ償還にかかわる借換債の発行など要望していく。

3.合併困難な自治体への対応について
 
遠藤議員 合併が困難な自治体に対して、地域事情を踏まえた独自の対応を検討すべきでないか。
 
山本副知事 合併という選択ができない場合、市町村と連携しながら対応を検討していく。

4.道の役割について
 
遠藤議員 地域で合併が進まない場合、道がコーディネート機能を果たすべきではないか。
 
山本副知事 それぞれの地域の特色を生かした、新たなまちづくりの方向性などについて論議が深められるよう、情報の提供や助言を行うなど必要な役割を積極的に果たしていく。


道の雇用対策は現状に追い付いていない

(5)雇用問題について

1.現状認識について
 
遠藤議員 道の雇用対策は厳しい現状に追いついていない。このような雇用状況についてどう受け止めているか。
 
吉澤副知事 平成14年度に22480人の雇用を創出し、15年度は2500人の雇用を見込んでいるが、長引く景気の低迷や公共事業の縮減などにより、依然として雇用情勢は厳しいと判断している。

2.雇用対策について
(1)今後の雇用対策について
 
遠藤議員 今後の雇用対策にどう臨む考えか。
 
吉澤副知事 企業立地促進、中小企業経営革新事業拡充、新事業・新産業創出などにより雇用の受け皿づくりを進めるほか、一村一雇用おこし事業の拡充、若年者ワンストップサービスセンターの設置などに取り組む。平成16年度は2500人を上回る雇用創出に努めるほか、新しい雇用創出プランの策定も検討する。

(2)高校生の就職支援対策について
 
遠藤議員 厳しい環境下の高校生に対する支援強化に、どう対処するか。
 
吉澤副知事 若年者ワンストップサービスセンターの事業展開を検討するほか、教育機関やハローワークと連携し新規高卒者が1人でも多く就職できるよう努力していきたい。

(3)若年者の雇用対策について
 
遠藤議員 適時的確な就職情報の提供など雇用改善の取り組みを強化するべきだ。
 
吉澤副知事 現在、国に対し全国10カ所程度の就職支援モデル地域の選定を要望しており、道の主体的な「若年者ワンストップサービスセンター」の設置と併せ、総合的な雇用対策を進めたい。

3.キャリア教育について
 
遠藤議員 キャリア教育に現在どのように対応しているか。
 
相馬教育長 企業見学や職場体験活動、インターンシップなどを通じて職業指導を行っているが、平成16年度から起業家教育実践研究事業を実施し、児童生徒一人ひとりの勤労観・職業観の育成に努める。


中小企業の再生に更なる力を

(6)中小企業の振興対策について

1.中小企業の再生について
 
遠藤議員 中小企業の再生という課題にどう対処されようとしているか。
 
吉澤副知事 企業再生ファンドを創設し、投資実行を検討しているほか、道内六圏域の再生支援窓口の経営改善計画に基づき、新たな中小企業再生支援資金を創設し、資金面での充実を図ることにしている。

2.中小企業金融の円滑化について
 
遠藤議員 セーフティーネット対策など中小企業金融の円滑化に向けた取り組みについて伺いたい。
 
吉澤副知事 中小企業再生支援資金の創設のほか、特別小口貸付の限度額引き上げや景気変動対策特別貸付の融資対象拡充、セーフティーネット貸付について、道独自に中小企業の保証料負担軽減を行うこととしている。

3.ほっかいどう産業活性化プログラム(仮称)について
 
遠藤議員 策定を予定している「ほっかいどう産業活性化プログラム」の基本的な考え方や展開について伺いたい。
 
吉澤副知事 戦略分野や挑戦する中小企業に集中的に投入する「選択と集中」農林水産業と食品・観光産業との「産業間連携」、市場ニーズへの対応を重視する「市場志向」などを重要な視点として策定作業を進めている。意欲ある企業や生産者、大学、試験研究機関、産業支援機関、市町村がそれぞれの役割を果たすとともに、国の支援策、規制緩和なども活用しる。


地域医療改革に特区制度導入を

(7)地域医療問題について

1.医療改革に伴う医師派遣について
 
遠藤議員 都市志向の強い若い医師に対し、だれが責任を持って地方に派遣するのか、道の対応を伺いたい。
 
山口副知事 医師派遣にかかわる手続きの透明化を図り、医科大学として総合的に対応する取り組みの意義は大きい。医局が従来担ってきた地域への医師派遣実績も踏まえ、地域医療に支障のないよう新たに設置を予定している「地域医師派遣調整協議会」において、実効性あるシステムを検討したい。

2.国への要請結果について
 
遠藤議員 わが会派は医師標準制度の見直しを国に働きかけるよう求めたが、その結果は?
 
山口副知事 国は現在、具体的な検討を進めており、年度内をめどに病院における医師配置のあり方などについて方向を示す予定と承知している。

3.構造改革特区について
 
遠藤議員 医師標準見直しに時間がかかるのであれば、構造改革特区として提案してはどうか。
 
山口副知事 4月に国に提案を予定している「道州制推進プラン(案)」の中に、医師標準数の算定基準を設定できる項目を盛り込んでいる。

4.自治体病院の広域連携化について
 
遠藤議員 道としてモデル地域の設定などにより、自治体病院の広域連携化を強力に推進するべきだ。
 
山口副知事 平成十六年度において、検討の熟度の高い地域を選定し、3医育大学の参加・協力を得て,地域での病院配置や連携のあり方について具体的に検討し、全道のモデルケースとなる事例づくりに努め、広域連携に向けた取り組みを推進する。


社会資本整備に教育、医療、福祉も

(8)社会資本整備について

1.北海道社会資本整備計画について
 
遠藤議員 財政の制約にとらわれず、教育、医療、福祉の分野も対象とすべきだ。道社会資本整備計画策定の理念を伺いたい。
 
山本副知事 選択と集中の視点を明確にし、交通ネットワークや国土保全施設といった基礎的な基盤はもとより、教育、医療、福祉などの基盤整備に関しても対象と考えている。

2.北海道新幹線の整備について
 
遠藤議員 道新幹線の早期着工に向けては道民一丸となった運動はもとより、費用負担や事業効果を明確にすることが必要だが、どう取り組んでいく考えか。
 
山本副知事 道は東北新幹線の青森開業時に新函館までの同時暫定開業、並行在来線経営分離の取り扱い、道新幹線開業に伴う経済効果などを説明し、平成17年度着工を自民党整備新幹線建設促進特別委員会に強く要望した。経済効果は道内で120億円、東北で171億円と試算されている。6月までが道新幹線の行方を決定づける重要な時期であり、建設促進期成会や関係団体と一体となって最大の努力をしていく決意だ。

3.高速道路の整備について
 
遠藤議員 広い北海道では生活の利便性、産業経済活動の活発化の観点から高速道路の整備が急がれている。多くの課題を踏まえながら、国に対する働きかけを強める必要がある。
 
山本副知事 緊急性の高い夕張・十勝清水間、七飯・国縫間など有料道路方式での整備を要望している三区間はもとより、新直轄方式区間の早期整備についても引き続き国や関係機関に働きかけていく。士別剣淵・名寄間、足寄・北見間は、「抜本的見直し区間」とされたが、早急に見直しが行われるよう国に働きかけていく。



鳥インフルエンザ対策の万全を期せ

(9)BSE等に発生と食の安全・安心への取り組みについて

1.死亡牛の全頭検査について
 
遠藤議員 死亡牛全頭検査の完全実施を控え、施設や人員、さらには国からの支援の見通しはどうか。
 
吉澤副知事 道内7カ所に新たなBSE検査室が3月までに完成する。家畜保健衛生所検査室の獣医師は29人の増員を図るほか、今後追加採用し必要な人員を確保する。検査キットや補助員人件費、生産者検査手数料などについては国の助成を要望している。

2.米国でのBSE発生について
 
遠藤議員 米国でのBSE発生に対する政府の対応について、どのように考えているか。
 
吉澤副知事 関係省庁が十分連携し、牛肉の安全性に対する消費者の信頼が確保されるよう、毅然たる姿勢で対応するよう国に求めてまいりたい。平成元年以降米国から道内に輸入された牛については検査の結果、異常がないことを確認している。

3.鳥インフルエンザについて
 
遠藤議員 鳥インフルエンザの発生に対して、これまで道としてどのような対策措置を講じたか。
 
吉澤副知事 道内の養鶏関係者に鶏舎への野鳥などの侵入防止や、消毒の実施、疑いが出た場合の届出を指導してきた。また、新聞・テレビ広告、道のホームページなどにより、ペットとして飼育している人たちにも注意を呼びかけてきた。さらに、鶏、アヒルなどの調査ではいまのところ異常は発見されていない。不測に事態に対応できるよう関係部と教育庁、道警本部で構成する北海道高病原性鳥インフルエンザ連絡会議を設置した。

4.食の安全・安心に対する取り組みについて
 
遠藤議員 食の安全・安心についての取り組みを進めるため、条例の制定を検討していると聞いているが、その基本的な視点やフレーム、スケジュールなどについて伺いたい。
 
吉澤副知事 クリーン農業の推進、残留農薬検査体制の整備など安全・安心な道産品の生産促進、道産食品独自認証制度の確立、食育の推進など消費者と生産者の相互理解や信頼関係の構築、道産食品を生産する水や土壌といった環境保全、地産地消の推進、遺伝子組み換え作物の栽培制限なども含め条例の骨子をまとめ、来年の第1回定例会に提案してまいりたい。


安心して営農ができる政策を打ち出せ

(10)北海道農業・農村再生プログラムの策定について
 遠藤議員 道の再生プログラム案において、本道農業を担っている農家がこれからも安心して営農に取り組めるような政策が、どのように考慮されているか。
 
吉澤副知事 案には直接支払い制度の早期実現など盛り込んでいるが、今後、専業的な農家の経営安定に必要な所得の確保や、適正な輪作体系の確立など環境と調和した農業の一層の推進が図られるよう国に提言していきたい。道としてもクリーン農業の推進、食の安全・安心・信頼の確保、経営の複合化・多角化・法人化の推進、コントラクターなど経営支援組織の育成などに積極的に取り組んでいく。


ホタテ漁業振興、自然災害対策を示せ

(11)ホタテ漁業の振興について
 遠藤議員 策定した道ホタテ漁業振興方針の実効性を高め、早期実現を図るため、今後、どのように対処していくのか。
 
吉澤副知事 漁業者や漁協、系統団体と協議を重ね、平成19年度までの年次ごとの取り組み内容を明らかにした行動計画を早急に作成する。nまた、計画の推進管理を着実に実施、漁連やホタテ振興協会を中心に全道的な組織体制の整備を行い、稚貝の需給調整機能強化や輸出など販路拡大などに努める。

(12)平成16年度1月の低気圧による水産関係の被害について
1.被害への対応について
 
遠藤議員 被災漁業者の経営再建、生活安定に必要な資金は、現行の制度資金では限度を超えるため対応できない部分がある。道としてどう対応する考えか。
 
吉澤副知事 地元自治体や漁業系統団体などと連携し、原稿制度資金の適切な運用とともに、今後必要となる資材購入資金などに対して、利子補給などの予算措置を講じる考えである。


道産材利用促進に基本計画策定を

(13)道産材の利用促進について
 遠藤議員 道産材利用促進の成果を踏まえ、今後どのような取り組みを進める考えか。この際、その基本方針を定め、計画的に具体的な取り組みを進めるべきではないか。
 
吉澤副知事 これまで公共事業において暗渠疎水材や土木用材として間伐材利用を進めてきたが、今後は付加価値の高い住宅用などへの利用拡大を図ることが必要。このため地域の木材業界、住宅業界と消費者がネットワークを形成しながら、道産材の利用促進を図る「産消協働」の取組みを支援していく。また、道森林づくり基本計画の中で有効な利用を計画的に進めていく。