2、道政上の諸課題について

金利上昇に対する道債発行への対応

(1)行財政改革について
1、地方債の発行について
大崎議員 日銀のゼロ金利政策の解除などで長期金利に先高感が持たれているが、今後の資金調達や金利負担への対応を伺う。
高橋知事 道債の今後の発行条件については、調達金利の上昇もありうるものと考えており、安定的な発行と適切な財政運営に努めたい。

2、実質公債費比率について
大崎議員 総務省では地方債の発行に関して「実質公債費比率」を設け、18%以上は引き続き許可制としているが、19.9%の道はどう対応していくのか。
山本副知事 本年2月に策定した「新たな行財政改革の取り組み」を踏まえながら、今年度中に公債費負担適正化計画を策定する。

3、事務事業の一斉点検について
大崎議員 「道政の守備範囲」「事務処理方法」の2点について点検を行う際の視点、今後のスケジュール、点検結果の活用方法について伺う。
高橋知事 「民間にできるものは民間に委ねる」が基本。11月を目途に全庁的な視点で点検を行い、政策評価の取り組みや今後の組織機構や予算編成にも反映させたい。

「わたり昇給」、技能労務職を見直しせよ

4、給与の適正化について
1)給与の見直しについて
大崎議員 いわゆる「わたり昇給」の見直しと級別の職員構成で上位級の比率が過大である場合の是正についてどう取り組むのか。
高橋知事 特地部局の指定基準の見直しなど諸手当の見直しを進めており、職務の級の格付けも国の新たな指針の趣旨を踏まえ、職務・職責に適合した給与格付けとなるように努めたい。

2)技能労務職の給与見直しについて
大崎議員 技能労務職の給与見直しについて道はどう取り組むのか。
高橋知事 「技能労務業務の見直し方針」で対象職種ごとの見直しを平成20年度までに行うが、技能労務職の給与についてもあり方について検討を進めていく。

指定管理者制度は問題点の見直しを

(2)指定管理者制度について
1、選定のあり方について
大崎議員 今年一月の第一回目の選定では、23件中、新規参入は3件しかなく、問題点が指摘されている。道はこの制度をどのように改善するつもりか。
高橋知事 今後は提案に対する評価基準の見直しや、外部委員が過半を占める選定委員会にして客観性を高めるなど工夫し、制度導入の趣旨が十分生かせるように充実させたい。

2、青年の家、少年自然の家について
大崎議員 青年の家、少年自然の家は道の直営方式で経済性、効率性を欠くが、改める考えはないのか。
吉田教育長 青少年教育施設については、再編を視野に抜本的な見直しを行い、平成22年度から新たな体制でスタートできるように検討することにしている。

3、道営住宅について
大崎議員 道営住宅の管理に関して、一部の自治会から駐車場委託費などについてサービスの低下につながるという指摘があるが、どう対応するのか。
嵐田副知事 指定管理者を指導するとともに関係自治体の理解が得られるよう誠意を持って対応したい。

札医大独法化では職員定数の明記を

(3)札幌医科大学の地方独立行政法人化について
1、付属病院の経営について
大崎議員 付属病院の経営についてはPDCAサイクルの徹底が必要だが、どのような目標数値を考えているのか。
山本副知事 経営改善計画の目標期間である平成二十四年度までの収支均衡を目指し、中期計画で数値目標を示すよう考えている。

2、職員の定数について
大崎議員 職員定数を中期目標で明記すべきだ。非常勤職員、定数外職員の取り扱いはどのように考えているのか。
山本副知事 法人が作成する中期計画で人件費の見積もりが明らかにされることから、適正な人件費の水準となるよう対処していく。法人職員は常勤職員を基本とし、非常勤職員などは最小限の雇用になるよう努めたい。

3、職員の給与について
大崎議員 給与の基準は道職員に準じた取り扱いにすべきだ。
山本副知事 移行型の地方独立行政法人であり、移行時の給与については道職員に準拠する方向で検討している。

4、運営費交付金につて
大崎議員 運営費交付金算定の基本的な考え方について伺う。
高橋知事 法人自らも運営の効率化や診療収入、外部資金の獲得など多様な収入の確保に努めていかねばならず、運営費交付金の算定にあたっては他県や国の例も参考にして検討したい。

専掌部門の設置で団塊世代の活用策

(4)団塊世代の活用について
大崎議員 道内でも30万人にのぼるといわれる団塊の世代を活用するため、専掌部門を設けるべきではないか。
高橋知事 将来に向けて北海道の活力を維持していくためには、団塊の世代の活動に大きな期待を寄せている。団塊の世代の方々の動向を把握し、地域の自立や活性化につなげていく方策について、早急に庁内プロジェクトチームを設置し、全庁あげて検討する。

支庁制度は圏域論議を見極めて検討せよ

(5)地域生活経済圏と支庁制度について
1、6圏域のあり方について
大崎議員 地域生活経済圏のうち道央圏は広大であり、道北圏は圏域を形成していないという問題があり、圏域設定に齟齬(そご)がある。このような基本的問題にどう答えるのか。
高橋知事 圏域の設定にあたっては、現行の地域生活経済圏の検証結果を踏まえながら、都市と周辺の農山漁村との結びつきといった視点から、圏域形成の中心となる都市のあり方や機能などを含め、設定について検討したい。

2、圏域設定について
大崎議員 道の新しい総合計画において「生活圏域」「自然共生地域」という圏域設定はできないのか。
高橋知事 道の圏域設定の考え方とは必ずしも一致しないが、市町村などの意向も聞きながら検討していきたい。

3、圏域と支庁所管区域の一致について
大崎議員 支庁のあり方については、今後の圏域論議を十分見極めて検討すべき問題と考える。
高橋知事 支庁の所管区域については、地域政策を展開する区域と支庁の所管区域を一致させることが望ましいと考えている。具体的な支庁の所管区域の設定については、道民や市町村などの意見も踏まえて検討を進めたい。

破綻法制の制定で国に積極的提言を

(6)市町村の財政問題等について
1、市町村の財政問題に対する認識について
大崎議員 本道では実質公債費比率が18%を超える市町村が約四割を占め、地方税で人件費をまかなえない自治体が八割にものぼっている。こうした深刻な財政実態を招いた要因をどう認識しているのか。
高橋知事 地域経済の低迷や地方交付税の減少、人口減少・高齢化の進行など地方財政を取り巻く環境が厳しさを増しているが、こうした変化への対応が遅れている団体もみられる。

2、市町村に対する指導助言について
大崎議員 不適切な事務処理や深刻な財政実態が明らかになっている市町村に対し、道は適切な指導助言を行う必要があると考える。
嵐田副知事 財政状況が厳しい団体においてはさらなる行財政改革の推進が図られるよう、財政運営に問題のある団体では財務手法の早期是正が図られるよう、これまで以上にしっかり対応していく。

3、公債費負担適正化計画などについて
大崎議員 市町村の公債費負担適正化計画の策定にあたり、道は計画づくりや財政健全化に向けてどう指導していくのか。
嵐田副知事 道として当該市町村の歳入確保や、公債費など歳出の抑制が計画的に行われるように、しっかりと対応していく。

4、旧空知産炭地域市町村について
大崎議員 産炭地域総合発展基金を活用した無許可起債問題で、一括返還が求められている六市町村のうち、歌志内市、上砂川町は難しいとされるが、どう対応するのか。
高橋知事 経済産業大臣に会って基金の取り崩しをお願いしたが、現時点ではまだまだ難しいと認識している。今後とも歌志内市や上砂川町と財源対策を協議するとともに、国への要望を行い、道としての対応を検討する。

5、夕張市の財政問題などについて
大崎議員 夕張市の財政健全化を実現するための計画期間はどの程度になると想定しているのか。市職員の整理にあたっては地方公務員法に基づく分限免職を適用すべきと考えるが。
高橋知事 財政再建法の規定では、再建期間は概ね七年間とされているが、国と協議しながら計画期間を定めることになると考えている。夕張市においては地公法の規定も念頭に置きながら、職員数の大幅な削減を図る必要があると考えている。

6、破綻法制について
大崎議員 総務省は破綻法制の検討を始めているが、道も国に対して積極的に提言していくべきではないか。
高橋知事 全国知事会と連携し、地方公共団体の財政健全化に向けて有効な再建法制が確立されるよう、必要な提言を積極的に行っていく。

合併協議会未設置市町村には勧告を

(7)市町村合併構想について
1、支庁説明会について
大崎議員 市町村職員や議会議員を対象にした合併の組み合わせに対する受け止め方はどうだったのか。経済団体や女性、青年団体など広く住民に向けた周知も必要と考える。
嵐田副知事 説明会では慎重、積極的それぞれの意見をいただいた。道として全道的なシンポジウムの開催、広報誌による周知などを、支庁ごとに新たに設置した担当部署が中心になって効果的な情報提供を行いたい。

2、広域連携について
大崎議員 広域連携はごみや消防などの一部行政分野では有効な手法だが、合併に代わるオールマイティーな手法たり得ないと考える。見解を伺う。
嵐田副知事 広域連携は迅速な意思決定、財政基盤、責任の所在などの面で課題もある。合併は自治体の充実・強化を図る上で最も有効な手段。

3、合併協議会設立の勧告について
大崎議員 一定の期限までに合併協議会が設置されない場合は、道が勧告を行うべきだ。
高橋知事 各地域での主体的な取り組みに基づく合併協議の進展を期待している。勧告については、情報提供や環境整備など道としての取り組みを進める中で、適切に対応したい。

一日も早く青少年条例改正の実施を

(8)青少年保護育成条例の改正について
1、健全育成への認識などについて
大崎議員 青少年健全育成にかける思いを聞く。改正は一日も早く実施すべきと考える。
高橋知事 今日の状況の中では、大人が責任を自覚し、社会全体の中で青少年の健全育成に取り組んでいくことが必要。年度内を目途に改正作業を進めてきたが、次期定例会に諮れるよう鋭意進めていく。

2、条例の普及啓発について
大崎議員 全道の中高校生のアンケートでは条例を知る者は一割にも達していない。普及・啓発、定着にどう取り組むのか。
嵐田副知事 社会全体で青少年の健全育成に取り組むためには、改正条例の周知が極めて重要。青少年や一般向けに新たな啓発資料の作成、道のホームページの活用、説明会の実施などあらゆる機会を通じて普及啓発する。

道内3医育大学に地域枠を設定せよ

(9)新医師確保総合対策について
1、医学部の地域枠について
大崎議員 医師の定着を図るために、道内の3医育大学に地域枠の設定を進めるべきだ。
高橋知事 北海道医療対策協議会に設置された「地域医療を担う医師要請検討分科会」の協議・検討結果を踏まえながら、具体化に向けた検討を進める。

2、小児科・産科の集約化・重点化について
大崎議員 厚生労働省は小児科・産科医師の確保が困難な地域がある都道府県に対し、平成18年度中に「集約化・重点化計画」の策定を求めているが、どう対処するのか。
山本副知事 北海道医療対策協議会に設置した「自治体病院等広域化検討分科会」で案を早急に作成したい。

3、助産師の活用について
大崎議員 いわゆる「助産師外来」の提言を行ったが、検討結果と活用策を聞く。
山本副知事 妊婦健診で異状が認められた場合、速やかに医師との密接な連携のもとに助産師外来を実施するとの共通認識が得られた。導入に向けて関係者と協議していく。

4、自治体病院の再編・ネットワーク化について
大崎議員 自治体病院の再編・ネットワーク化のためには、都道府県が強いリーダーシップを発揮しなくてはならない。道の取り組みを聞く。
高橋知事 北海道医療対策協議会に設置された「自治体病院等広域化検討分科会」で、平成十九年夏を目途に自治体病院等広域化・連携構想を策定したい。この構想に基づき広域化に向けた取り組みを支援していく。

5、医学部の定員増について
大崎議員 国の「新医師確保総合対策」では北海道は医学部の医師定員増の対象外になっている。この方針をどう受け止めるのか。
高橋知事 へき地を有する本道では医師の地域偏在が著しい。北海道医療対策協議会で医育大学の地域枠設定や奨学金制度の創設を協議・検討しており、これと連動させる入学定員増を引き続き国へ要望していく。

後期高齢者医療の広域連合支援対応

(10)後期高齢者医療制度について
大崎議員 後期高齢者の医療制度は全市町村が参加する広域連合が運営し、都道府県は助言や財政負担をする。準備段階での支援が求められているが対応を聞く。
山本副知事 この広域連合は道内百八十市町村が加入する初めての取り組み。円滑に設立できるように支援していく。

先進的認定こども園の研究開発の普及を

(11)障害福祉計画について
大崎議員 小さな町村では単独で計画を策定することは困難。複数の町村による共同福祉計画の策定が必要になると考える。
高橋知事 市町村が計画を策定するに当たっては、地域の実情に応じて共同で計画を策定することも一つの手法と考えている。

(12)認定こども園について
大崎議員 今議会に認定こども園に関する条例案が提案されているが、制度の普及啓発にどう取り組むのか。全国に誇れる先進的な取組みを研究開発し普及させるべきではないか。
高橋知事 利用者や設置者、市町村などに対し、幅広く周知徹底を図るとともに、子育て支援機能が総合的に展開されるよう適切に対応していく。

季節労働者の「特例一時金」の対処方針

(13)雇用対策について
1、「一村一雇用おこし事業」について
大崎議員 「一村一雇用おこし事業」と「市民協働型雇用おこし促進事業」の成果について伺う。
高橋知事 道内の八割近くの百四十三市町村で地域に根ざした事業が創出されている。現在、五つの地域でNPO法人や社会福祉法人が事業に取り組んでいる。

2、ジョブカフェについて
大崎議員 本年度でモデル事業が終了するジョブカフェの成果と今後の取り組みについて聞く。
高橋知事 平成16年7月に開設以来、今年7月までの延べ利用者は12万人、進路決定者数も1万2千人を超え、若者の雇用対策に果たした役割は大きい。このため道では事業の効果的・効率的な展開が図られるよう検討を行っている。

3、地域の雇用再生プログラムについて
大崎議員 国は本道や沖縄など七道県に対し、「地域の雇用再生プログラム」を策定し、集中的な支援を行うが、プログラムの充実に向けて道は積極的な提案を行うべきだ。
近藤副知事 本道の厳しい雇用情勢に対応していくため、地域提案型雇用創造促進事業などの継続実施、事業予算の重点配分など提案していく。

4、季節労働者対策について
大崎議員 国は雇用保険制度の見直しを進めており、季節労働者の失業期間中に支給される「特例一時金」も対象になっている。本道の雇用に大きな影響が及ぼすことが憂慮されるが、対処方針を聞く。
高橋知事 特例一時金は失業中の労働者の生活安定や求職活動促進に重要な役割を果たしている。厳しい状況だが、制度の存続に向けて国へ積極的に働きかける。

中心市街地活性化基本計画へ支援を

(14)中心市街地の活性化について
大崎議員 まちづくり三法の改正に伴う新たな中心市街地活性化に関する基本方針が示された。道は市町村が作成する基本計画づくりをどう支援するのか。
嵐田副知事 中心市街地活性化協議会に参加して意見交換を行うほか、庁内各部で構成する「まちづくり推進会議」や地元支庁を通して助言指導に努める。

道民に理解できる使用権の売り払い

(15)二風谷ダムのダム使用権の売り払いについて
大崎議員 二風谷ダムの使用権の売り払いは、全国初のケースであり、道民に理解を得られるような論拠と価格が求められる。道の対処方針を伺う。
高橋知事 沙流川水系の治水対策は流域住民の生命・財産を守るための大切な課題。治水対策として妥当な投資額の範囲内という考え方を基本に、国との早期合意に向けて努力する。

先進取り組み地域へ積極的な支援が必要

(16)雪氷冷熱エネルギーの活用について
大崎議員 雪氷冷熱エネルギーの利用促進に向けた道の対処方針を聞く。先進的に取り組んでいる地域への道の支援が重要と考えるが、見解を伺う。
高橋知事 本道ならではの「地産地消型」の新エネルギーで、積極的に開発・導入を進める必要がある。利用への取り組みを支援するために今後とも助成制度の活用や研究機関による技術指導を行うなどして、地域の先進的な取り組みを支援していく。

全庁一体で推進体制を整備し、実用化へ

(17)バイオエタノールの実用化について
1、庁内体制の整備について
大崎議員 原料は農政部、製造は経済部といった縦割りの対応ではなく、全庁一体の推進体制を整備すべきだ。
高橋知事 バイオマス資源の活用は重要な課題として認識している。庁内に各部横断型の輸送用エコ燃料の普及拡大にかかわるプロジェクトチームを新たにした。バイオエタノールの実用化に向け全庁一体となって取り組む。

2、産学官共同研究の推進について
大崎議員 実用化に向けては産学官の共同研究を推進すべきだ。
近藤副知事 昨年八月に「バイオマス燃料実用化検討会議」を設置した。この検討会議を活用するなどして産学官の連携をより密にし、実用化に向け積極的に取り組む。

3、大型施設の設置について
大崎議員 農水省が進めようとしている大型施設に対する対処方針を聞く。
近藤副知事 JAグループが設置した検討委員会で、規格外小麦などを原料としたエタノールの実証プラントを平成19年度に設置するという方向性を公表した。この農業団体の取組みを支援していきたい。

意識改革・需給体制への確実な条件整備

(18)農業問題について
1、米の生産調整について
大崎議員 平成19年度産から米の生産調整は農業者・農業団体が主体となって行う。農業者の意識改革、需給体制を確実に進める条件整備にどう取り組むのか。
高橋知事 国は品目横断的経営安定対策に導入に併せて米政策を見直し、メリット対策を措置した。この対策を効果的に活用し、地域の実情に即した水田農業の構造改革、的確な米の需給調整に努めたい。

2、農地・水・環境保全向上対策について
大崎議員 この対策は都道府県、市町村が二分の一負担であり、財政状況の厳しい市町村で十分な取組みができるかどうか懸念されている。道の対処方針を伺う。
高橋知事 対策の実効性を検証するために全道十五カ所で実験を行っており、市町村の要望をまとめている。十分な地方財政措置を講じることなどを、市町村と連携して国に要望する。