2、道政上の諸課題について


新総合計画の初年度政策予算は

(1)平成20年度の当初予算について角谷議員 新しい北海道総合計画のスタート年だが、重点政策を進めるために、政策予算をどの程度確保し、どのような方針で執行するのか。

高橋知事 経済、暮らし、環境の三分野を重点施策の大きな柱と位置付け、関連予算750億円を計上した。サミット開催というチャンスを最大限に生かし、全庁一丸となって政策を推し進める。

公共事業の7年間削減は地域に打撃

(2)行財政改革の取り組みの見直しの方向について
1、今後の対策について
(1)道債残高について
角谷議員 平成26年度末の道債残高の目標は、はじめに5兆円ありきとしか思えない。

高橋知事 今後の財政見通しは、昨年示した時点と大きな変化が見込めない。この中で投資的経費の見直しを行い、削減方策を改めて示した。

(2)対策の考え方について
角谷議員 職員の人件費縮減は四年間で打ち止めして復元し、投資的経費は7年間削減して復元しないというのは、身内に甘い対策と言わざるを得ない。

高橋知事 投資的経費は現行の枠組みを前提に対策期間を平成26年度まで延長する中で、現時点における毎年度の事業費の削減率を見直した。人件費はとりわけ厳しい財政運営が見込まれる今後4年間に限り、臨時・緊急的な対策として給与の独自縮減を講じることにした。

(3)公共事業の削減について
角谷議員 わが会派は公共事業の削減を見直すように申し入れたが、どう受け止めているのか。

高橋知事 自民党道連から、公共事業の削減は地域経済に深刻な影響を与えるなどとして見直すように提言があった。対策期間を延長する中で必要な見直しをしたが、理解を得るための十分な努力が必要と考えている。

(4)削減による影響について
角谷議員 公共事業を今後七年間削減することによる地域経済への影響をどうとらえ、どう対応するのか。

高橋知事 事業費ベースで試算すると、平成23年度は約7100億円で19年度に比べ約1500億円減少する。そのうち国の削減方針に基づく影響分約1000億円を除くと約500億円減少すると推計している。影響を少しでも緩和できるように、地域経済の活力を維持・向上させる取り組みを総合的に推進する。

2、行財政改革の取り組みの加速について
(1)財政効果について
角谷議員 加速案により経費削減などの財政効果はどの程度見込んでいるのか。

山本副知事 「中長期収支試算」における平成26年度までの目標である400億円の達成に向けた取り組みを進め、持続可能な行財政構造を確立したい。

(2)改革工程表について
角谷議員 平成22年度から26年度までの改革工程表についても、年度ごとに作成すべきだ。

山本副知事 可能な限り目標値の設定を行うなど、今後とも具体的な取り組み内容の検討を行うことで、改革工程表の見直しを行っていく。

技能労務職の職務換えの実施状況は

(3)技能労務業務の見直しについて
1、給与の総合的な点検について
角谷議員 知事は昨年の3定で技能労務職員の給与見直しの方針を、本年度中に策定すると答弁したが、進ちょく状況はどうなっているのか。

高橋知事 3月末を目途に給与などの見直しに向けた取り組み方針を策定する。
2、技能労務業務職員の職務換えについて

角谷議員 これまでの技能労務業務職員の職務換えの実施状況と現給との比較をうかがう。
嵐田副知事 これまで209人の職員を一般行政職に職務換えし、来年度も約470人を同様に措置する。再計算後の給料の号俸は職務換えの前と同程度になっている。

ふるさと納税制度の積極的な活用を

(4)ふるさと納税制度の活用について
角谷議員 歳入の増大に向けてふるさと納税制度の積極的な活用が求められるが、どのような取り組みを考えているのか。

高橋知事 庁内の関係各部からなる検討会を立ち上げ、周知のあり方、効果的な道外居住者への働きかけ方など幅広い観点から検討している。法案成立後速やかに対応できるよう、今から取り組んでいく。

サミット効果で環境・観光立国に

(5)北海道洞爺湖サミットについて
1、沖縄訪問について
角谷議員 知事は沖縄県を訪問し、稲嶺前知事からホスト知事としてのアドバイスを受けたが、改めて決意を伺う。

高橋知事 稲嶺前知事からは住民、特に子どもたちが参加する取り組みが大切とのご教示をいただいた。貴重なアドバイスを参考にしながら、北海道の未来の扉を開く契機となるよう、着実に準備を進める。

2、地元の歓迎行事について
角谷議員 歓迎事業や交流事業の骨格はどのようになっているのか。
高橋知事 首脳らによる記念植樹、道の特産品の贈呈などのアイデアを国へ伝えた。G8各国やEU首脳が道内の各地を訪問する「未来の夢、世界との絆プロジェクト」を推進しており、各国大使館に要請を行っている。

3、北方領土問題について
角谷議員 北方領土問題を各国首脳に認識してもらうために、道は積極的に取り組むべきだ。

高橋知事 7月のサミットや日ロ首脳会談の実施を見据えて、外国人向け多言語パンフレットを拡充し、可能な限りの周知・啓発活動を実施する。

4、ポストサミット効果について
角谷議員 サミットの成果を生かし、環境立国北海道と観光立国北海道の確立に向けてどう取り組むのか。

高橋知事 「環境宣言」を国内外に発信し、サミット後も地球温暖化対策などの手引きとなる計画の策定、企業の環境への貢献を評価する制度を創設するなど、環境負荷の少ない持続可能な北海道づくりに向けた取り組みを進める。観光振興についてもサミット前後に首都圏で集中的にPRを行い、各地域の観光資源を発掘して滞在型観光の定着に向けた取り組みを着実に推進していく。

記念貨幣発行の取り組み状況は

(6)地方自治法施行60周年記念貨幣の発行について
角谷議員 平成20年度はサミットが開催される本道が記念貨幣発行の対象になっているが、取り組み状況は。発行に伴い交付される「地方分権振興交付金」の扱いはどうなるのか。

高橋知事 国は洞爺湖の景色を基本にタンチョウや道庁赤れんがなどをデザインした貨幣図案を検討しており、サミットが開催される七月の発行に向けて準備が進められるものと承知。交付金は地域活性化に向け効果的な活用方策を検討したい。

支庁改革の理念や視点はあいまい

(7)支庁制度改革について
1、集中審議の議論に対する受け止めについて
角谷議員 特別委員会で百人を超える傍聴者が見守る中、支庁制度改革の集中審議が行われたが、この議論をどう受け止めているのか。

高橋知事 道として原案についてさらに検討を加える必要があると受け止めた。市町村や道民に改革の趣旨が理解されるように引き続き努めていく。

2、町村会の意見について
角谷議員 町村会から支庁制度改革を慎重に進めるように意見書が出されたが、どう受け止めているのか。

高橋知事 市町村や道民の理解と協力が大切であり、「新しい支庁の姿(案)」についても理解が得られるように努める。

3、改革の視点について
角谷議員 道民理解が進まないのは理念や視点があいまいだからだ。改めて知事の見解を伺う。

高橋知事 新しい総合計画に沿って、より広域的な地域政策が展開できるよう、支庁の体制を整備する必要がある。地方分権改革の視点から、市町村合併や道から市町村への事務・権限移譲などの動きに柔軟に対応できように体制整備をする必要がある。行財政改革の視点としても、広域的な業務を集約し、簡素で効率的な体制を整備することが重要と考える。

本道の飛躍のためカジノ開設提案を

(8)道州制特区の第二次提案について
1、第2次提案について
角谷議員 知事は道州制特区推進本部の参与として発言権を与えられているが、どう臨もうとしているのか。

高橋知事 内閣総理大臣に直接、 提案の意義や重要性などを訴えたいと考えている。道議会、道民の後押しで提案の実現に全力で取り組む。

2、庁内の取り組み体制について
角谷議員 自民党道連は庁内体制の強化を提言したが、どう対応するのか。

高橋知事 道州制推進本部に道州制担当副知事をトップとし、庁内各部の次長級で構成する「道州制特区提案推進チーム」を新たに設置し、体制の強化を図った。

3、カジノの開設について
角谷議員 本道の飛躍的な発展をはかるために、ゲーミング・カジノの開設を提案すべきだ。

高橋知事 道内では五つの地域で研究がおこなわれており、道も情報の共有化を進めている。本道の元気につながる夢のある提案の一つであり、鋭意、検討していく。

市町村の財政に積極的な助言を

(9)市町村の財政問題について
1、市町村財政への関与のあり方について
角谷議員 道は市町村財政の実態を把握する過程で、積極的に助言を行うべきだ。

高橋知事 地方財政健全化法の施行を見据え、病院事業をはじめとした公営企業に関する庁内関係部の連携を強化しながら、市町村財政の健全化に向け必要な助言・協力をこれまで以上にしっかり行う。

2、公立病院特例債の発行について
角谷議員 平成20年度に限り予定されている公立病院特例債の発行額をどのように見込んでいるのか。

嵐田副知事 平成18年度決算では、道内の市町村立病院のうち、発行ができる不良債務比率10%以上の団体は18団体で、16年度から18年度までに増加した不良債務額は131億3000万円となっている。この特例債発行の前提となる改革プランの策定などについて積極的に助言していく。

4、市町村振興基金のあり方について
角谷議員 基金をハード事業に限定することなく、減収補てん債などにも活用できるようにしてはどうか。

高橋知事 財政事情が厳しい市町村の円滑な財政運営に資するよう、市町村振興基金の見直しを検討する。

バイオ導入のため推進方針の策定を

(10)バイオエタノールの普及拡大について
角谷議員 バイオエタノールの導入推進のために「バイオエタノール普及拡大推進方針」を定めてはどうか。

高橋知事 今年度から清水町と苫小牧市で農水省事業を活用した製造プラントの建設に向けた取り組みが進められ、環境省事業では新たな製造技術に関する研究開発に取り組んでいる。原料生産から流通に至る種々の段階での取り組みが一層促進されるよう、推進方針をまとめたい。

拠点病院事業は早急対策が必要

(11)地域医療対策について
1、医療計画について
(1)第二次医療圏について
角谷議員 新たな医療計画の第二次医療圏は現行を踏襲しているが、変えなかった理由は何か。

山本副知事 第二次医療圏は介護保険、障害福祉など保健、医療と一体となって推進している個別計画の圏域にもなっていることを考慮した。弾力的な対応をしていく。

(2)都道府県がん診療連携拠点病院について
角谷議員 道は都道府県がん診療連携拠点病院をいつごろを目途に整備するのか。

高橋知事 平成20年度中の指定を目指し、今年秋まで国へ推薦できるように取り組みたい。
(3)小児救急医療体制について
角谷議員 13の第二次医療圏で複数の圏域をカバーする「拠点病院事業」方式は、遠く時間がかかるという問題点が指摘されており、早急に対策が必要だ。

高橋知事 小児救急患者ができるだけ身近な地域で救急医療が受けられるよう、救急医療体制の確保に努める。

(4)医師確保対策について
角谷議員 医療計画の推進上、現時点で不足する医師がどの程度であり、どう充足しようとしているのか。

高橋知事 実態調査で道内114の市町村立病院と公的病院のうち、54病院で152人の医師が必要との回答があった。 緊急性、必要性の高い地域で必要な医師を確保できるように積極的に取り組む。

2、医療費適正化計画について
(1)本道の医療費について
角谷議員 本道は全国に比べて医療費が高いとされているが、その要因と対策を伺う。

高橋知事 家庭における介護力に欠けるなどの社会的要因により全国に比べて病床数が多く、入院期間も長いため、医療費が著しく高い状況になっている。医療費適正化計画を策定し、生活習慣病の予防対策や医療・介護サービスの提供体制の確保などの受け皿づくりで平均在院日数の短縮に取り組み、適正化を図っていく。

(2)道財政への影響について
角谷議員 適正化計画の推進で医療費がどう縮減されるのか。

山本副知事 国の算出方法では、平成24年度は20年度に比べて1700億円が1030億円になり、670億円程度の効果があると見込まれている。

道立病院事業の改革方策は

(12)北海道病院事業改革プランについて
角谷議員 道立病院事業は平成18年度決算で累積赤字が612億円にも達している。北海道病院事業改革プランで今後、どのように経営改善を行うのか。

高橋知事 改革プランでは経営形態に踏み込んだ抜本的な見直しをする。20年度中に病院ごとの経営数値目標、各年度の収支目標などを策定し、早期に見直しされるように積極的に取り組む。

障害者に仕事確保の仕組みが必要

(13)働く障がい者応援プランについて
角谷議員 策定中の「働く障がい者応援プラン」には授産事業所などが受注できる仕事を確保するシステムが重要。どのように取り組むのか。

高橋知事 就労支援の一つとして工賃向上に向けた独自施策として、新年度から「マッチング事業」を実施するほか、就労支援に貢献している企業などの認証制度を創設する。こうした取り組みは「北海道働く障がい者応援プラン・工賃向上五カ年戦略」(仮称)に盛り込む。

支庁単位で活性化ビジョンの策定を

(14)経済雇用政策について
1、地域経済活性化ビジョンについて
角谷議員 ビジョンは支庁単位で策定すべきだ。ビジョンと政策展開方針、重点プロジェクトはどのような関係になるのか。

高橋知事 ビジョンは連携地域や支庁区域ごとの経済活性化に向けた具体的な取り組み方針を示すものとしてまとめる。

2、中小企業応援ファンドについて
角谷議員 道は新年度から国や企業と百億円の基金を造成し、中小企業への助成制度を創設するが、支援件数や役割をどう考えているのか。

高橋知事 平成20年度は25件程度、21年度以降は50件程度の支援を予定している。自動車産業など成長分野への参入促進、食品加工の新製品開発・販路開拓、新分野への進出などを通じた競争力の強化が図られると考えている。

3、雇用創出基本計画について
角谷議員 素案では四年間で10万人の雇用創出を目指すとしているが、派遣社員やパート、ニート、フリーターが多い中でどう取り組むのか。

高橋知事 「雇用の受け皿づくり」「就業の促進」を二本の柱として取り組む。中小企業の育成強化や企業誘致の戦略的な展開を通じて雇用拡大を図り、フリーターや若年無業者などへの就職支援をはじめ、非正規労働者に対する働き方に見合った均衡ある処遇の確保などに取り組む。

酪畜政策をどう評価しているか

(15)農業問題について
1、水田・畑作経営所得安定対策について
角谷議員 わが会派は品目横断的経営安定対策について、政府に適切な措置を講じるように働きかけた。その結果、平成19年度補正予算、20年度当初予算案に111億円が措置されたが、今後の本道農業にどのように役立てるのか。

高橋知事 小麦などの安定的な生産や経営所得安定対策への加入促進、水田農業の構造改革を積極的に進め、地域農業を支える担い手の育成と経営の安定に取り組む。

2、酪農畜産問題について
角谷議員 生乳増産と消費拡大、飲用消費の拡大にどう取り組むのか。わが党の要請で20年度の酪農畜産政策・価格関連対策が決定されたが、この内容をどう受け止めるのか。

高橋知事 ミルク&ナチュラルチーズフェアの開催など牛乳・乳製品の消費拡大に全力を挙げ、安全・安心で良質な原料乳の安定供給に努め北海道ブランドの確立を図る。酪農畜産政策・価格関連対策は本道の酪農が抱えている課題に応えたものと受け止めている。

森林保全・利用にどう取り組むのか

(16)新しい森林環境政策について

角谷議員 森林づくり審議会から答申された「森林の保全と利用のための新たな施策と財源のあり方」を受けて、どのように取り組んでいくのか。

高橋知事 新たな森林環境政策を加速させることが必要であり、施策の仕組みや税による財源確保などを含め、基本的な考え方をできるだけ早い時期に明らかにする。

栽培漁業振興への研究開発の方針は

(17)新栽培漁業の振興について
角谷議員 栽培漁業の振興のための研究開発スケジュールなど今後の取り組みはどうなるのか。

高橋知事 近年、タラバガニの漁獲量が大きく減少しており、生産増大に向け技術開発に取り組むことにした。平成22年度を目途に種苗生産技術の開発を行い、その後、稚ガニの育成までの一貫した技術へと発展させ、道産タラバガニの生産増大につながるように取り組む。

建設業振興のため特別対策を講ぜよ

(18)建設業の振興について
1、建設業振興計画について
角谷議員 道は「建設業振興計画」の原案を公表したが、建設業の危機的な状況に対応するために、これとは別に特別な対策を講じるべきだ。

高橋知事 平成20年度中に「地域経済活性化ビジョン」を策定するが、これらのビジョンなどと十分に連携しながら建設業に対する対策を講じる。

2、地場中小企業への優先発注について
角谷議員 道は国の出先機関や独立行政法人などに対し、中小企業の受注機会を拡大するように要請活動を行っているが、どのような成果を上げているのか。

近藤副知事 国の出先機関と中小企業との工事契約の割合は、平成15年度は70%だったが、18年度は74%と増加した。今後も要請する機関の範囲を広げ、受注機会が確保されるように努める。

暫定税率の廃止で道事業への影響は

(19)道路特定財源の暫定税率について
1、暫定税率廃止の影響について
角谷議員 暫定税率が廃止になれば、道の税収や道路整備事業にどのような影響が出るのか。

高橋知事 平成18年度の道の決算額による試算では、道税は約423億円の減収が見込まれる。救急搬送や生鮮食品などの輸送などを担う高規格幹線道路などの感性が大幅に遅れることから、道民の生活基盤や産業活動、地域の経済・雇用にも大きな影響を与える。除雪の維持管理、橋りょうの老朽更新などに大きな財源が必要になり、道財政にも大きな影響を与えることが懸念される。

2、道の取り組みについて
角谷議員 暫定税率の維持に向け、どのように取り組むのか。

高橋知事 これまで全道緊急総決起大会やシンポジウムを開催したが、今後もホームページやパネル展などを活用して道民に理解してもらう。必要な財源確保を図るために全力で取り組む。