二、道政上の諸課題について

一、平成十八年度予算案について

1、重点政策について
 本間議員 厳しい財政事情の中で、知事は予算編成に当たって、特に意を用いたのは、どのようなことだったか。
 高橋知事 任期最後の政策予算であり、限られた財源を有効に活用し、将来を見据えた政策の展開に意を用いた。特に経済再建では、食と観光の分野において世界に通用する北海道ブランド創出、物づくり産業の集積、金融支援制度の創設など力強い産業構造の確立と、地域経済活性化に向けて取り組む。また、子どもたちが健やかに成長するよう社会全体で育む環境づくり、北海道らしい教育の推進、通学路における児童の安全対策、高齢者や障害者の自立支援など暮らしの安心の確保、循環資源利用促進税事業の先行実施など新たな政策に取り組む。

、新しい総合計画について

1、希望が持てるビジョンの策定について
 本間議員 人口減少傾向、財政窮迫など厳しい状況の中で、道民が将来に希望が持てるビジョンを、どう描くのか。
 高橋知事 厳しさの一方、アジアの急成長や地球環境問題の深刻化といった潮流を踏まえ、豊かで美しい水と緑に恵まれ、安全で良質な食料の供給力を持つ、北海道の可能性や潜在力は限りないと考えている。これを追い風にして、希望に満ちた大地・北海道を創造していくための確かなビジョン・新総合計画を道民とともに作り上げていきたい。

2、新しい総合計画の実効性確保について
 本間議員 実施計画がないだけ、着実な遂行が課題となる。実効性をどのように確保するか。
 高橋知事 それぞれの分野における政策の基本方向を明らかにした「特定分野別計画」や、重点的に推進する政策・事業を盛り込んだ中期計画の「施策・事業プログラム」、地域生活経済圏ごとに策定する「圏域政策展開方針」を推進の手立てと位置づけ、着実に取り組んでいく。

、北海道の自治の姿について

1、道州制特区について
(1)道州制特区推進法について
 本間議員 わが自民党は昨年の第四回定例会に「道州制特区推進法の早期制定を求める意見書」を発議し、採択されたが、権限・財源の移譲について道が国に対して行った二回の提案もゼロ回答に終わっている。こうした流れについて、知事の見解を伺いたい。
 高橋知事 推進法を政治主導で制定することが、今後の展開について不可欠だと考えている。道議会で意見書が可決されたことは、大変心強く思っている。
(2)北海道特例について
 本間議員 本道開発の方向づけのカギとなる北海道特例は、本道の特性を考慮した場合、当面は維持すべきと思うが、どうか。
 高橋知事 推進法に基づいて事務事業の移譲が行われる場合、財源措置については、国庫補助率のかさ上げなどのいわゆる北海道特例を含めた額を確保し、そのすべてを地方の裁量性が高まるような制約の少ない「北海道道州制特区推進交付金」として、道に財源移譲されるよう国に求めている。
(3)北海道開発局の位置づけについて
 本間議員 組織の移譲について、北海道開発局のような国の出先機関は、どのように位置づけされるのか。
 高橋知事 将来、道州制になった時には、現在の道庁も含め道州政府として再編されると考えられる。道州制特区は、今直ちに組織統合することを提案しているのではなく、例えば直轄砂防事業や鳥獣保護法にかかわる権限など、北海道開発局も含めた幅広い地方支分部局の持つ事務事業や財源を段階的に道に移していくという考えを示している。また、北海道開発法、北海道特例、開発予算の一括計上といった北海道開発の枠組みは、今後維持すべきと考えている。
(4)道州制特区推進法に関する議論について
 本間議員 わが党の論議について、真に地方分権が推進され、地域主権社会へと改革されるものと考えているか。また、道が考える分権型社会に近づいていくものと捉えているか。
 高橋知事 推進法は、道州制特区を北海道における地方分権改革のモデル的、先行的取組と位置づけ、道州制を展望し、地方分権を先導するものとして検討されていると承知している。また、地域の行政は、地方が自主的・総合的に担うという地方分権の視点に立ち、道州制実現に資するものとなるよう、今後とも政府に働きかけていく。
(5)地制調の答申に対する評価について
 本間議員 地方制度調査会の最終答申では、道州制の目指す方向として地方分権の推進、地方自治の充実強化、自立的で活力ある圏域の実現、国と地方を通じた効率的な行政機構の構築などを示している。知事はこの答申をどう評価しているか。我々は過日、小泉首相と会い、「これが始まりである。しっかり頑張ってほしい」と激励を受けた。改めて知事の決意を伺いたい。
 高橋知事 道州制の重要性を位置づけたもので、道州を自治体としたこと、道州と市町村の二層制の自治としたこと、国と地方の役割分担を整理したことなど、分権型社会のあるべき姿が示されたものと考えている。日本の中で特に広大な面積を持ち、開発の歴史が浅い中で、多くの先人が地域の自立に向け、幾多の苦労を重ねて取り組んできた北海道が、全国に先駆けて道州制特区のモデル地域となって、本道の特性を生かした分権型社会を築き上げていくよう、全力で取り組む。

2、支庁制度改革について
(1)支庁再編論議の深め方について
 本間議員 支庁再編については、要望が相次いでいるが、道州制、市町村合併とも絡み合い、道の行政の枠組みを変え、道民生活に大きな影響を及ぼす問題である。道民の幅広い意見を求め、さらに論議を深めなければならないと思うが、どうか。
 高橋知事 昨年3月に「支庁制度改革プログラム」を策定したが、6月と11月に2回、論点整理としてまとめたほか、道民意見の聴取、地域意見交換会などを行ってきた。こうした論議を踏まえ、来年度の早い時期に新しい支庁の骨格案について示し、さらに道議会の議論、市町村や道民の意見を十分伺いながら、検討を進める。
(2)地域生活経済圏形成状況調査報告書について
 本間議員 道がまとめた報告書では、一部で6圏域と実態が一致しない地域が見受けられる。この地域生活経済圏は20年余前の「北海道新長期総合計画」で示されているものだが、現在でも支庁所管区域の基となる圏域であると考えているのか。
 高橋知事 全体的にみると一定の都市機能の集積や都市と農山漁村の結びつきが見られ、おおむね適当と考えている。

3、市町村合併について
(1)合併構想の決定時期について
 本間議員 合併構想の公表時は、いつになるのか。
 高橋知事 最終組み合わせ案は総合的に検討し、次期定例会で十分な議論をいただいた上で、速やかに成案を得たい。
(2)合併に至らなかった自治体の扱いについて
 本間議員 道は、「合併したばかりの市町は、小規模自治体でも意向を最大限尊重する」としているが、合併に至らなかった自治会の取り扱いを、どう考えているか。
 高橋知事 合併協議が整わなかった地域においても、市町村同士が自主的に合併の組み合わせを示した場合には、道の分析結果にかかわらず、その組み合わせを尊重して構想に位置づけることにしている。いずれにしろ、道の合併構想をきっかけとして、新たな視点で積極的に取り組んでいただきたい。
(3)小規模自治体同士の合併について
 本間議員 道は基礎自治体の完成型として、最も小さい自治体で「おおむね人口五〜十万人」としているが、市町村の意向を確認する段階で、小規模自治体同士が合併の意思を示せば、人口三万人に満たない町村の組み合わせでも了解するのか。
 高橋知事 合併新法の下では、人口三万人以上の組み合わせにすべての市町村が含まれることを基本として検討している。しかし、北海道の特性を考慮すると、こうした基準は画一的に適用するのではなく、市町村間の距離など地域の実情に応じて柔軟に適用することが必要。住民の意向などにより、自主的に合併協議に取り組む地域については、道が示す望ましい合併の組み合わせに至るステップと捉え、構想に位置づける考えだ。
(4)合併推進への決意について
 本間議員 道内市町村では一段と財政硬直化が進んでいるが、税制基盤の弱い自治体がこのまま生き延びていくのは難しい。合併により強い基礎自治体を作るため、市町村合併に対する知事の決意を伺いたい。
 高橋知事 来年度、新たに各支庁に合併を含めた地域主権の推進体制を整備するなど、地域の実情に応じた情報提供や助言・調整機能の強化を図り、合併に向けた協議は円滑に進められるよう、道としての役割を積極的に果たしていきたい。

、環境行政などについて


1、「北海道モデル」について
 本間議員 知事は執行方針で「環境と経済が調和した『北海道モデル』を構築していかなければならない」と述べたが、これを具体化していくため個別政策を戦略的、有機的に組み合わせていく必要がある。どのように展開していくのか。
 高橋知事 環境と経済が両立し好循環する社会の形成を進めるため、環境の価値を積極的に評価することを基盤として、「自然の保全と有効活用」「廃棄物の発生抑制と資源化」「環境保全技術の利用といった視点が重要であり、このような考え方で取り組みを総合的に展開し、「北海道モデル」を構築していきたい。

2、バイオエタノールの活用について
 本間議員 北海道はバイオマス資源の宝庫であり、工業試験場をはじめの農業試験場、水産試験場、食品加工研究センターなど道立試験研究機関を総動員し、産学官の連携をコーディネートするなど、「北海道モデル」の構築に向けた研究開発を積極的に進めるべきだ。
 高橋知事 バイオエタノールの実用化を進める観点から、昨年八月、産学官による「バイオマス燃料等実用検討会議」を立ち上げ、法制面での課題解決や推進方策などを検討し、年度末をめどに、原材料の効率的な製造や流通体制の整備などを念頭に置いたビジネスプランの策定を進めている。今後とも、庁内関係者や試験研究機関が一体となり、十勝や苫小牧など、地域の積極的な取り組みを支援し、ビジネスプランの具体化に向けて国などの支援制度を活用して、産学官連携を進めていきたい。

、医療制度改革について

1、後期高齢者医療制度について
 本間議員 七十五歳以上の後期高齢者を対象に創設予定の医療保険制度は、都道府県単位で全市町村が加入する広域連合が行うことになっているが、運営上の役割・責任がまだ明確でなく、地方側は警戒感を強めている。知事は、国に対して何を求めていくか。
 高橋知事 広域連合の設置、運営については、市町村の主体性を尊重するとともに、国、都道府県、市町村、広域連合の役割・責任の明確化や、安定した保険運営の確保が図られるよう、制度の設計・維持に責任を負う国において、十分な財政措置を行うよう求めている。

2、療養病床の削減について
 本間議員 本道には約三万床の療養病床があり、今回の改正案は、少なからず影響があると思うが、どうか。また、改正案は、道の高齢者保険福祉計画・介護保険事業支援計画に影響を与えるものかどうか。
 吉澤副知事 地域における十分な受け入れ体制を整備した上で、療養病床の再編を進めることが重要と考えている。道の現行計画については、今後、国の考え方を踏まえながら、具体的な対応を検討する。

、雇用対策について

1、後期高齢者医療制度について
 本間議員 国や市町村との連携の下、道は今後、どのような雇用拡大策に取り組む考えか。
 高橋知事 「一村一雇用おこし事業」の創設、国との連携による「ジョブ・カフェ北海道」の開設、国が創設した「地域提案型雇用創造促進事業」の積極的な活用、建設業のソフトランディング対策の推進、経済団体との連携によるトップセールスなど雇用の受け皿づくりに努めてきた。その結果、雇用情勢は改善傾向を示している。しかし、依然として厳しい状況にあり、平成十八年度には引き続き「一村一雇用おこし事業」を実施するほか、市町村における新たな官民協働による雇用おこしの取り組みに向けた、環境づくりを進めるとともに、市町村の主体的でモデル性のある季節労働者支援などに取り組む。

、ものづくり産業の振興について

1、振興方策について
 本間議員 ものづくり産業を今後、基幹産業分野として発展させていくためには、総合的・計画的なビジョンを示し、産業の集積を確かなものにしていくべきでないか。
 高橋知事 中長期的な視点に立って、自動車産業などの集積促進や基盤技術産業の育成・振興を図っていくことが必要と考えているので、その基本的な方向や方策などを盛り込んだ「ものづくり産業振興指針(仮称)」を平成十八年度中に策定する。

2、いぶり地域工業地帯について
 本間議員 ものづくり産業の集積を目指す苫小牧東部地域や室蘭、白老などの工業団地の「いぶり地域工業地帯」に、千歳市や恵庭市を含め対象地域を広げる考えはないのか。また、産業集積を進める具体的な施策、推進体制をどう構築し、特に地場の技術力向上や人材育成を図るため、道がコーディネート機能を発揮し協議会を設置すべきと考えるが、どうか。
 高橋知事 提言を踏まえ、千歳市などとの連携を必要に応じて連携を図っていく。平成十八年度から支庁に設置する「経済戦略懇話会(仮称)」などを活用し、関係自治体や経済団体、大学などと連携を強め、情報発信、企業誘致、地場企業の技術力向上、人材育成などに取り組んでいく。

3、工業高校教育の充実について
 本間議員 自動車関連産業の本道進出は、道内工業高校の生徒の質の高さ、人材の確保の容易さなどが理由として挙げられているが、進出企業をバックアップするため工業高校において、自動車関連産業などものづくり産業と関係が深い学科の整備充実を急ぐとともに、企業と連携した教育活動に取り組むべきと思う。教育長の見解を伺いたい。
 相馬教育長 今後は、インターンシップやデュアルシステムなどのキャリア教育をさらに推進するため、地場企業はもとより、進出企業と連携を一層深めるとともに、新たに実施する「北を活かす人づくり推進事業」において、工業高校を指定し、企業と連携した工業製品の製作などを行い、専門的な知識や技術・技能の習得を図る。

、「新生ほっかいどう資金」について


1、融資利率、保証料について
 本間議員 新たに創設する金融制度に「地域パートナーシップ枠」を設けているが、融資利率や保証料は、どう設定しようとしているのか。
 高橋知事 地域経済の担い手である中小企業をはじめNPO法人、公益法人など幅広い事業者が新分野への進出や経営革新などに積極的に取り組めるよう、金融機関と連携して円滑な資金供給を行うもので「たんぽぽ資金」と命名した。無担保で取り扱うが、一定の利率とはせず、取扱金融機関ごとに市場の実勢水準を目安に決めてもらい、信用保証料も信用保証協会の協力により、通常より安く設定し、利用者の負担軽減を図ることにしている。

2、市町村の役割について
 本間議員 「新生ほっかいどう資金」の「地域パートナー枠」の活用に当たって、市町村にどのような役割を求めるのか。
 麻田副知事 地域における経済活動や雇用創出を一層促進させる立場から、一村一雇用おこし的な事業や産業プロジェクト、コミュニティービジネスといった地域独自の取り組みをより活発化したい。そのため中小企業やNPОなど地域の多様な事業主体に対して道と市町村が連携し、金融面の支援を行う。

、智の拠点再生プログラム等について

1、智の拠点再生プログラムについて
 本間議員 国は十八年度から「智の拠点再生プログラム」として、地方自治体と大学が連携した「地域再生計画」を募集するが、これについて道の取り組み方針を伺いたい。
 高橋知事 この支援施策を最大限に活用して、地域に貢献する人材の育成やネットワークづくりに取り組む考えだ。道は過日、「構造改革特区・地域再生に関する検討会議」を開催し、関係部局で具体的な事業に取り組むこととした。年度内に大学や市町村を対象に説明会を開く。

2、リサーチ&ビジネスパーク構想の展開について
 本間議員 北大リサーチ&ビジネスパークの機能の充実・整備を早急に進めるべきではないか。また、この構想の地域展開も急がれるが、どう取り組む考えか。
 高橋知事 北大については、札幌市、経済界など関係機関と連携し、北大を核としたインキュベーション機能整備を進める。地域展開では、すでにさまざまな取り組みが進められているが、引き続き国の大型プロジェクトの活用を図るとともに、地域大学などと連携したプロジェクトの事業化に向けた取り組みを積極的に支援し、新事業、新産業の創出に努めたい。

、まちづくり三法について

1、改正案について
 本間議員 今国会に提出されているまちづくり三法について、その問題点を指摘した消極論も聞かれるが、知事はどう受け止めているか。
 高橋知事 一体的に進めるまちづくりの枠組みの再構築が図られるものと期待している一方、市町村によるゾーニングの活用促進、近隣市町村への関連情報の公表など事前手続きの確保、大規模集客施設の設置者による主体的な地域貢献の促進―など解決すべき課題もある。

2、道の取り組みについて
 本間議員 改正案では、都道府県知事に大型店出店にかかわる広域調整機能などの権限付与が盛り込まれている。法改正前に駆け込み出店も予想されるが、道としてどのような手法で、どう対応しようと考えているか。
 高橋知事 改正趣旨を踏まえながら、都市機能の郊外への拡大抑制と市街地への集約」といったコンパクトなまちづくりを基本に、大規模集客施設の立地に関し、機動的、迅速な対応を図るため、十八年度の早いうちに「ガイドライン」を策定したい。

3、コンパクトシティづくりについて
 本間議員 わが会派は、これまでコンパクトシティの推進を求めてきたが、知事は「高齢者、子育て世代などが住みやすい、活気と潤いのあるコンパクトなまちづくりを目指した取り組みに着手する」と表明しているが、どう推進する考えか。
 高橋知事 来年六月をめどに「コンパクトなまちづくりに向けた推進方針(仮称)」を策定し、市町村に対して必要な都市計画の指導や中心市街地活性化基本計画に対する助言を行うなど、コンパクトなまちづくりを推進してまいりたい。

十一、農業問題について

1、WTO農業交渉について
 本間議員 WTO農業交渉の状況をどのようにとらえているか。本道農業が国際競争に打ち勝ち、今後一層発展していくために、どのような取り組みを重点的に進めようとしているのか。
 高橋知事 高関税品目を多く抱える本道農業にとって、予断を許さない状況が続きていると認識している。このため本道の主要産品である畑作物、乳製品などにかかわる適切な国境措置の確保などについて、引き続き国に強く求めていく。重点施策としてクリーン農業の一層の推進、付加価値の高い食品づくり、国内外を視野に入れた販路拡大、消費者に信頼される食ブランドの構築などに努めたい。

2、品目横断的経営安定対策について
 本間議員 「経営所得安定対策等大綱」に基づく支援水準などの制度実施に向けて、農家の不安の声を踏まえ、どう対応しようと考えているのか。
 高橋知事 現在、制度の細部について国は詰めの作業を行っており、道としても、本道農業者の意見も踏まえ、多様な経営に配慮した所得特例基準の運用や支援水準の確保など、本道の実情に即した制度となるよう農業団体と連携し、国に働きかけを行っていく。

3、酪農対策について
(1)生乳の安定生産について
 本間議員 厳しい状況に直面している本道酪農に関し、安価な輸入乳製品に対抗できるコスト削減と、新しい市場や新製品の開拓による消費拡大が必要だが、生乳の需給回復に向けて、道はどう取り組んでいくか。
 高橋知事 全国農業団体とホクレンが取り組んでいる戦略的な消費拡大対策を支援する観点から、本道の恵まれた自給飼料基盤活用などによるコスト低減や徹底した衛生管理を通じて、安全・安心な生乳生産を促進する。また、輸入品との競争が可能なチーズ増産に向けて、大手乳業メーカーが国内最大規模のチーズ工場を本道に建設する動きも見られ、今後とも農業団体や乳業メーカーと連携し、道産牛乳・乳製品の需要拡大に努める。
(2)酪農近代化計画について
 本間議員 近く策定する「酪農・肉用牛生産近代化計画」に当たって、本道酪農の将来像をどう描いていくのか。
 高橋知事 農業の機関部門として、地域経済を支える産業として環境に調和しながら発展することを目標に、自給飼料基盤を活用した「土・草・牛」が調和する低コストな資源環境型酪農の確立、人と家畜にやさしい生産構造の確立、消費者に信頼される安全・安心で良質な畜産物の安全供給―を基本的推進方向としている。

4、トレーサビリティシステムの構築について
 本間議員 牛肉以外の品目については、生産団体や販売業者に委ねられている自主的なトレーサビリティの取り組みには限界があり、道としてもハード、ソフトの両面で支援する必要があると考えるが、どうか。
 麻田副知事 これまで品目に応じたシステムのあり方の検討、道内産地を対象にしたモデル的な実証、産地や流通段階でのデータ入力、量販店における情報表示などの支援を行ってきたが、今後とも生産から流通、加工、販売まで関係者が連携して取り組むための体制づくりや電子機器の整備などを支援していく。

十二、食と観光の連携について

 本間議員 食と観光を一体化した地域ブランドづくりについて、どのような見解を持っているか。
 麻田副知事 十八年度においては、掘り起こし、磨き上げ、発信という施策展開の中に食と観光の連携の要素を加味し、JR札幌駅における食と観光の総合情報拠点整備や、地元食材を生かしたお土産用のお菓子づくり、アンテナショップの設置などによる東アジア地域への食と観光のプロモーション活動といった事業を実施する。また、各地域と連携した取り組みを強化、食の観光ルートづくりや特産品を使った伝統料理、名物料理の提供などを進める。さらに官民一体となり、食と観光の地域ブランドづくりを加速していく。

十三、栽培漁業の振興について

1、新たな対象魚種について
 本間議員 漁業生産高全体の五割に達する栽培漁業の成果を踏まえ、漁業者からは新たな対象魚種としてナマコ、毛がになどの技術開発が待ち望まれている。今後、どう取り組んでいくか。
 高橋知事 四月に開所する栽培水産試験場において、漁業者から要望の強いナマコやハタハタなどの新たな栽培対象魚種の研究開発を進めることにしている。関係漁業者との連携を強化して、放流漁場や資源管理の徹底に努め、栽培漁業を一層推進してまいりたい。

2、全道展開について
 本間議員 海域拠点センター構想において、今後はえりも以東海域、オホーツク海域での構想推進が急がれるが、その取り組みの現状と今後の進め方を伺いたい。
 麻田副知事 えりも以東の太平洋海域については、昨年十一月に関係市町村や漁協で構成する協議会を発足させて具体的な課題について検討を進めている。オホーツク海域については、現在、協議会の設立に取り組んでいる。

十四、高速道路の整備について

 本間議員 国土交通省が高速道路の整備について、本道の一部は有料道路方式、新直轄方式で整備することが認めたものの、残りは当分着工しないとしている。高速道路網整備が全国の半分程度しか進んでいない北海道として、この決定をどう受け止めているか。
 高橋知事 この決定は、道の意見が十分反映されたほか、抜本的見直し区間に「緊急に整備すべき区間」が設けられ、着工の見通しが立ったことなどから、本道における「高速道路ネットワークの早期完成」に一歩前進したものと受け止めている。今後、今回認められた新直轄方式区間の早期事業整備とともに、「当面、着工しない」とされた区間の早期着工についても、国や関係機関に働きかけていく。

十五、耐震改修促進計画について

1、道の取り組みについて
 本間議員 国の耐震改修促進法の改正に伴う、道の耐震改修促進計画は、いつごろをめどに策定する考えか。学校や病院、老人ホームなどの耐震診断や整備にどう取り組むのか。
 山本副知事 耐震改修計画は、年内をめどに策定する。耐震化の目標値は九〇%を基本として検討する。多数の人たちが利用する公共的建物についての耐震診断は、関係部局や市町村と連携しながら計画的、重点的に促進する。

2、市町村への指導について
 本間議員 市町村については、計画策定が努力義務とされているが、可能な限り策定が望まれる。道としてどう指導していくのか。
 山本副知事 市町村と協議会を設置するなどして、道内すべての市町村について策定されるよう指導する。