●平成21年第3回定例道議会自民党・道民会議代表質問・答弁要旨

自民党・道民会議 藤沢 澄雄 議員



鳩山政権の政策は地域崩壊につながる


衆院選の結果にどう対応
(1)国の政治状況への対応について

1、道政の推進について
藤沢議員 衆議院選挙の結果、これまでとは異なる国の政治状況となるが、知事としてどのような姿勢で臨むのか。

高橋知事 道民の暮らしを守り、北海道の活性化を図る責務を有する知事として、道民や本道の将来にとって何が大切かという視点に立ち、道民本位の道政を進めてきた。今後も、国に対しては本道の厳しい実情や諸課題など地域の切実な声を伝えるとともに、必要な政策の実現に向け、全力で取り組む。

2、新政権の政策について
藤沢議員 内閣の各大臣から国の出先機関の原則廃止、暫定税率の廃止、戸別補償方式の早期実施などの発言が相次いでいる。特に地域事情に基づかない公共事業の見直しは、建設業のウエイトが高い本道にとって、地域崩壊につながりかねない。道民生活に大きな影響を及ぼしかねない新政権の政策について、どのように対応するのか。

高橋知事 北海道の活性化と将来への発展に向けて、道新幹線や高速道路網などの高速交通ネットワークや、一次産業の生産基盤の整備促進などが極めて重要。全国知事会とも連携を図りながら、本道の実情や課題を踏まえたさまざまな政策提案、要望を行い、活力ある北海道づくりをすすめていく。

予算編成の遅れをどう認識するのか
(2)国の補正予算等について

1、国の補正予算への対応について
藤沢議員 民主党は平成21年度の国の補正予算のうち、4兆3600億円の46基金造成に関する予算の未執行分の執行停止、予算の組み替えを行う方針。道ではすでに9基金の造成、積み増しが行われ、今議会に四基金の条例、予算が提案されている。この状況についてどう認識しているのか。

高橋知事 仮に補正予算の執行停止などが行われた場合には、支障が生じることも懸念される。状況によっては全国知事会とも連携し、地域の実情や課題について国へ意見をしっかり述べる。

2、道の予算編成への影響について
藤沢議員 来年度予算編成について鳩山総理は「年内に編成できるスケジュール感で取り組む」としており、年内編成が遅れる懸念がある。景気動向に悪影響を及ぼしかねない、こうした動きをどう認識しているのか。

高橋知事 日程が大幅に遅れることになれば、道の予算編成や回復には至っていない道内経済、道民生活全般にわたりさまざまな影響を及ぼすことが懸念される。必要な情報収集に最大限努めながら、来年度の予算編成作業に支障が生じないように取り組む。

2、道政上の諸課題について

中小企業向けの施策を集中的に
(1)経済政策について

1、経済政策戦略会議について
藤沢議員 先ごろ第2回目の会合を開催した経済政策戦略会議の論議を、今後どのように道の経済政策の展開に結びつけていくのか。

高橋知事 農林水産業や健康関連産業の振興、環境ビジネス、国内外のマーケットへの販路拡大、地産地消の促進などについて議論があった。さらに議論を深め、オール北海道で取り組んでいく方向性を道民に示すことができるように検討を行う。

2、産業振興施策について
藤沢議員 当面は地域経済を支える中小企業に力をつけてもらい、雇用の受け皿になってもらえるよう、経営革新や新事業展開、マーケティングの支援などに必要な資金調達の円滑化などの施策を集中的に展開すべきだ。

高橋知事 中小企業総合振興資金の機動的な運用などで資金供給の一層の円滑化に努めるほか、地域資源の活用、農商工連携による新商品開発、販路拡大、健康・環境関連分野への新事業展開など、中小企業を積極的に支援していく。

3、雇用の確保について
(1)新規学卒者の雇用対策について
藤沢議員 来年3月の新規高校卒業者の道内求人数は前年比37.3%マイナスで、就職氷河期といわれた平成11年度に次ぐ悪い状況だ。新規高校卒業者の雇用促進に積極的に取り組むべきだ。

高橋知事 ジョブカフェ北海道でのカウンセリング、セミナーや合同企業説明会を、地域や回数を拡充して実施する。雇用動向を注視しながら、適時・適切な施策の推進に努め、1人でも多くの若年者が就職できるよう、全力で取り組んでいく。

(2)道職員の採用について
藤沢議員 新規学卒者の厳しい雇用情勢が続く中で、来年度の職員採用についてどのように考えているのか。

高橋知事 「職員数適正化計画」の目標の範囲内で採用を前倒しすることとし、平成21年度採用試験の採用予定者数を拡大した。来年度についても新規学卒者の雇用情勢などを十分見極めながら検討する。

事実上困難な10月条例施行
(2)支庁制度改革について

1、広域事務に関する基本フレームについて
(1)素案見直しの考え方について
藤沢議員 「広域事務に関する基本フレーム素案」について、組織機構標準フレームなどを見直すとし、修正案を報告しているが、基本的な考え方をうかがう。

高橋知事 市町村などから、総合振興局・振興局の産業部門における「課」体制の維持などについて多くの意見があった。地域の強い要請に応え、組織機構の標準フレームを中心に見直すことにして、修正素案を先般示した。修正案についても地域と双方向で対話を重ね、理解が深まるように努める。

(2)組織機構について
藤沢議員 素案の見直しで、当初想定していた行政改革効果を生み出すことができるのかどうか見解をうかがう。

高橋知事 危機的な財政状況などを踏まえ、引き続き職員数適正化計画に基づき組織のスリム化を着実に推進し、本庁や出先機関を含めた全ての組織で徹底した行政改革に取り組む。

2、条例の施行について
藤沢議員 素案では、10月1日の条例施行のために、7月に施行日を定める規則を制定するとしていた。現時点で規則は制定されていないので、10月1日の条例施行は事実上困難ではないのか。

高橋知事 条例の施行に向けて、これまで積み重ねてきた市町村との事前協議を踏まえ、今後、正式な「協議の場」をできるだけ早期に開催するなど、双方向での対話や協議を重ね、地域の理解を得ることなどを基本に、できるだけ早期に条例を施行できるように努める。

消費者行政推進で新組織の設置は
(3)行政改革について

1、総務業務の集約化について
(1)支庁等の総務業務の集約化について
藤沢議員 10月には支庁職員に関する事務・会計事務を集約化するが、改革効果はどの程度なのか。来年10月に立ち上げる総務業務効率化センターの進め方をどう考えているのか。

高橋知事 これまで各支庁や出先機関がそれぞれ処理していた事務の集約化により、全体で約170人人工相当の業務量の減少を見込んでいる。業務効率センターは平成23年4月の設置に向け、業務プロセスのさらなる電子化を進めるなど、より簡素・効率的な執行体制となるように鋭意、検討を進める。

(2)道教委の総務業務集約化について
藤沢議員 道教委も教育庁本庁、教育局、道立学校、小中学校を含めた総務業務の集約に関する全体像を示し、行政改革に取り組むべきだ。

高橋教育長 道教委事務局職員にかかわる総務業務を業務効率化センターへ一元化する。教職員にかかわる給与・旅費関係事務は教育庁本庁への一元化を検討している。道立学校の物品調達や支払い、委託・補修工事契約などは「道立学校運営支援室」を設置して、集約化を予定している。今後も可能な限り一元化する方向で取り組む。

2、類似業務の一元化について
(1)消費者行政の一元化について
藤沢議員 消費者庁が9月1日に発足したのに歩調を合わせて、道も消費者行政の一元化を打ち出した。どのような業務を対象にするのか。実施にあたり新たな組織を設置する考えなのか。

高橋知事 消費者庁が所管する関連事務の集約化を進めるとともに、消費者事故などの被害の発生・拡大の防止、情報提供や情報共有、事故対応の体制を整備する。来年度、環境生活部内に消費者行政に関する事務を一元的に扱う組織を新たに設置する。

(2)文化・スポーツ行政の一元化について
藤沢議員 競技スポーツは知事部局、アマチュアは教育委員会の所管であり、道民からは扱いが分かりづらい。文化・スポーツ行政の一元化を平成22年度から実施するとしているが、どのような見通しなのか。

高橋知事 市町村や関係団体の意見を十分に聞き、道教委とも密接に連携しながら、来年度前半を目途に方針を取りまとめ、できるだけ早期に一元化できるように積極的に取り組む。

3、関与団体の見直しについて
藤沢議員 最終年度を迎えた「関与団体見直し計画」の達成状況をどう受け止めているのか。本年度中に策定する「新たな見直し計画」はどのような観点で策定するのか。

高橋知事 団体数は165団体を40%削減する目標に対し33%の削減、派遣職員数は136人を90%削減する目標に対し87%の削減で、本年度末には111団体、18人になる見込み。経済情勢の悪化などの事情もあり、概ね当初の目標を達成できたと認識している。新たな計画は本年度中に策定できるよう検討しており、道の監督が及ばなくなる一般法人からの出資引き揚げをはじめ、道の関与は原則として公益法人に限定していく方向で検討していく。

離島生活は空路の存続が不可欠
(4)道内航空ネットワークについて

1、道内航空ネットワークの確保について
藤沢議員 A‐netの千歳空港移転や日本航空の北海道エアシステムへの出資率引き下げなどの動きがあり、道民の利便確保、道内観光振興が懸念される。丘珠空港の機能維持を含め、道内航空ネットワークの確保についてどう考えているのか。

高橋知事 道内航空を取り巻く情勢は極めて切迫していると痛感している。関係自治体や経済団体などとの連携を深め、航空会社との協議などをしっかり行い、全力で取り組む。

2、北海道エアシステムの存続について
藤沢議員 日本航空は丘珠、奥尻空港発着の路線からの撤退を検討しているようだ。これらの路線は離島生活の欠かせない交通手段であり、北海道エアシステムの存続が不可欠だ。

高橋知事 路線を運航している北海道エアシステムについて日本航空との協議をしっかり行い、離島航空路線を含む道内航空ネットワークの中核を担う航空会社として存続させることができるように全力で取り組んでいく。

避難支援対策を早期に策定せよ
(5)防災対策について

1、土砂災害対策について
(1)緊急調査について
藤沢議員 道は災害時要援護者関連施設があると思われる土砂災害危険個所約8000カ所の緊急調査を行っているが、調査状況はどのようになっているのか。

高井副知事 848カ所の現地調査を行い、565カ所に関連施設の所在を確認した。ただちに対応を必要とする個所は確認されていないが、7カ所で小規模な斜面の崩れが確認されており、必要な対策を講じる。

(2)ハザードマップの作成について
藤沢議員 7月末で28町村、258カ所が土砂災害警戒区域に指定されているが、ハザードマップが作成されているのは13市町村に止まっている。作成が促進されるように支援すべきだ。

高井副知事 指定した土砂災害警戒区域258カ所のうち、148カ所で作成を終えている。市町村に対しハザードマップのひな型を提供するなどの支援を行う。

2、災害時要援護者の非難支援について
藤沢議員 市町村が策定する「避難支援プランの全体計画」は、3月末で全体計画が55.6%にとどまるなど対応が不安だ。要援護者の避難支援対策が早期に策定されるよう取り組むべきだ。

山本副知事 取り組みが進んでいない市町村に対しては、早期に策定されるように働きかけを一層強化する。

研究試験機関の法人化の考え方は
(6)道立試験研究機関の地方独立法人化について

1、中期目標について
藤沢議員 22の試験研究機関の法人化に向け、中期目標素案の修正案が示されたが、基本的な考え方をうかがう。

高橋知事 研究の重点化と戦略的展開や、外部機関との連携の推進、組織や業務内容の不断の見直しなどについて定めた。法人が個々の目標に着実に取り組むことができるように、研究ニーズや分野横断型課題への対応強化などの仕組みを構築し、法人の機能強化に取り組む。

2、関係団体からの意見について
藤沢議員 経済団体から道立試験研究機関の機能強化などに関して意見があった。どのように反映していくのか。

高橋知事 これまで果たしてきた役割の継続、重点的に取り組む研究分野の公開などの意見があった。法人化後も関係団体や地域の意見の把握に努め、法人運営に反映させる。

勤務評価制度を早急に導入せよ
(7)札医大の業務実績について

藤沢議員 勤務実績評価制度の構築と評価制度に基づく給与制度の導入が遅れている。「中期計画」でうたわれていく事項なので、早期に導入すべきだ。

山本副知事 勤務実績評価制度の構築と評価結果に基づく給与制度の導入に関しては、平成20年度も実施できず、今後の課題として残された。判定基準や評価体制の検討を進めており、労働組合との早期合意を含め実現に取り組む。できるだけ早期に適切な評価制度が構築されるように強く求める。

基金を活用してNPOの支援を
(8)環境問題について

1、グリーンニューディール基金について
(1)取り組みについて
藤沢議員 グリーンニューディール基金を活用して、どのように本道の環境問題に関する課題の解決に取り組むのか。

高橋知事 この基金を23年度まで効果的・計画的に活用し、公共施設などへの省エネ設備の導入や木質バイオマス利用施設の整備、海岸漂着物の改修・処理などに取り組み、環境と経済が調和した「エコアイランド北海道」づくりを進める。

(2)海岸漂着ゴミ対策について
藤沢議員 海岸漂着物処理推進法では、都道府県の責務として「地域計画」を策定することが規定されているが、どのように進めるのか。NPO法人などが行う海岸の清掃活動に対し、基金を活用して積極的に支援するべきだ。

高橋知事 国が年内に定める基本方針を踏まえ、地域計画を早期に策定したい。NPO法人や市民団体などにも参加を呼び掛け連携し、基金を積極的に活用して地域の海岸漂着ゴミ対策を円滑、効果的に行う。

ミュージアムにどう取り組むか
(9)アイヌ民族政策について

1、北海道ミュージアムについて
藤沢議員 知事は2期目の公約で「北海道ミュージアム」の設置を約束したが、北海道文化審議会の答申を踏まえ、どう取り組むのか。

高橋知事 この答申を踏まえるとともに、アイヌ文化の保存・伝承のあり方など、より具体的な検討を進め、今年度中を目途に基本計画を策定し、事業を実施する。

2、学校教育の役割について
藤沢議員 アイヌの歴史や文化を理解する上で、学校教育が果たす役割についての認識をうかがう。

高橋知事 小学校で差別が今なお残されていることは、誠に残念だ。アイヌの子どもたちが楽しい学校生活を送ることができるように、十分配慮しなければならない。学校教育が果たす役割はたいへん大きいと認識している。基礎的な知識が習得できることが大切であり、副読本の活用やゼミナー、イオルの体験交流事業へ参加してもらうように取り組む。

高橋教育長 総合的な学習時間の指導プログラムを開発して、各学校で副読本が有効に活用されるよう働きかけるとともに、アイヌ教育相談員らを積極的に活用し、初任者研修や10年経験者研修の充実を図るなどして教育の充実を図る。

医師確保のために3医育大と協議を
(10)保健福祉問題について

1、医師養成について
藤沢議員 道内の3医育大学は道州制特区による措置を含め27人の定員増をしているが、さらに増員が図られるように3医育大学と協議すべきだ。

高橋知事 国の奨学金を活用した増員を認めており、道内の5人枠は旭川医大が受け入れ可能との意向を示している。道外枠2人は来年度、本道分の入学定員枠を設定できる大学はなかった。今後ともさらなる定員増に努める。

2、新型インフルエンザ対策について
藤沢議員 道内でも学級閉鎖が続発しているが、診療体制の確保にどう取り組むのか。道職員に一定の患者が発生した場合、どう対応するのか。

高橋知事 国から示された通知に基づき、重症化の恐れのある基礎疾患を持つ方などに対する入院病床の確保などの対策に取り組んでいる。道庁内の対策は、業務継続のための指針を月内にも示し、順次、段階的に業務継続計画を策定する。

3、介護問題について
藤沢議員 先ごろ、要介護認定の認定調査項目の定義の修正、認定調査員のテキストの見直しが行われた。このテキストによる認定は10月から適用されるが、十分に周知されているのか。

山本副知事 今月中に全道26カ所の道立保健所で研修会を開催する。道のホームページに見直しの内容を掲載し、市町村の広報誌にも登載を働きかけた。10月以降の要介護認定が円滑に行われるように内容の周知を徹底する。

4、子育て支援について
(1)子育て支援に対する表彰等について
藤沢議員 わが会派は道と経済団体による「子育てを応援する共同宣言」の実施を提案し、知事は今年度から実施すると答弁をしたが、どう進めるのか。

高橋知事 北海道商工会議所連合会や北海道経営者協会など経済団体と検討を重ね、「社会全体による子育て支援の推進」「ワーク・ライフ・バランスの促進」の2つを柱にし、宣言についての調印式を11月11日に実施したい。

(2)企業を対象とした講座の実施について
藤沢議員 企業で働く父親を対象にした「子育て出前講座」も提案したが、対応をうかがう。

山本副知事 道内約470企業に意向調査を行い、8月から「企業子育て応援事業」を実施した。すでに1企業で開催し、年度内に7企業に講師を派遣する。さらに事業の充実を図り、仕事と子育ての両立支援を推進していきたい。

(3)地域子育て支援拠点事業について
藤沢議員 わが会派が提案した「地域子育て支援拠点事業」の推進にどのように取り組んでいるのか。

高橋知事 市町村に情報提供しながら、事業の積極的な活用を周知する。事業実施の意向調査を進めており、今月中にまとめる。市町村の次世代育成支援対策推進法に基づく後期行動計画の中に、事業が盛り込まれるように働きかける。

速やかに冷湿害対策本部設置を
(11)農業問題について

1、WTO交渉等について
藤沢議員 民主党はマニフェストに日米FTAの「締結」を盛り込み、農業関係者からの猛烈な反発で「促進」に修正した。ところが小沢幹事長は「農産物価格が安くなっても戸別所得補償制度を実施すれば問題ない」と発言している。わが会派は農業大国との貿易自由化は本道農業を壊滅状態に追い込むと主張してきた。WTO農業交渉などに対する認識をうかがう。

高橋知事 オール北海道であらゆる機会をとらえ、本道の主要産品である米や畑作物、乳製品などにかかわる適切な国境措置の確保に向け、不退転の決意で交渉に臨むように国へ強く求めていく。

2、冷・湿害等への対策について
藤沢議員 今回の冷・湿害は水稲、畑作、野菜などに深刻な影響を及ぼし、壊滅的な被害が生じている地域もある。速やかに対策本部を設置し、対応策を講じるべきだ。

高橋知事 低温や長雨で全道的に大きな影響を受けた。「天候不順等対策連絡会議」を「冷湿害等農業対策本部」に切り替えて、対策に万全を期す。共済金の早期支払いや畜産経営の越冬用飼料の確保、営農資金の融通など、必要な対策を検討する。

3、道営競馬について
藤沢議員 道は北海道競馬改革ビジョンに基づき、平成22年度までの収支均衡を図るための改革に取り組んでいるが、達成に向けた決意をうかがう。

高橋知事 北海道軽種馬振興公社への全国初の「競馬の実施に関する事務」の委託、門別競馬場の全日程ナイター開催、民間活用型のミニ場外発売所3カ所の開設などの取り組みで、8月中旬以降は回復傾向にある。徹底した経費の削減、魅力あるレースの提供などが重要と考えており、産地力が最大限活かされるように全力で取り組む。

磯焼け対策への取り組み状況は
(12)水産問題について

1、磯焼け対策について
藤沢議員 一定で産学官連携による有効な磯焼け対策に取り組むべきだと指摘したが、その後の取り組みをうかがう。藻場・干潟の保全活動を行う環境・生態系保全活動支援事業はどう取り組んでいるのか。

高原副知事 7月に「北海道磯焼け対策連絡会議」を設置し、専門委員会の開催準備を進めている。環境・生態系保全活動支援事業の活動を支援する「北海道環境・生態系保全対策協議会」が4月に設置され、現在、45のグループが藻場保全への取り組みを進めている。これらのグループへ技術的な指導や助言を行うなどして、磯焼け漁場の回復に積極的に取り組む。

2、噴火湾のホタテ養殖について
藤沢議員 フジツボやザラボヤなどが大量に付着する被害が発生しており、地元漁業者からは付着物処理や追加設備投資などの支援を求める切実な声が上がっている。どう対応するのか。

高原副知事 現状の把握に努めるとともに、関係団体と協議を重ねている。洗浄機器の導入や経営資金の融通などへの取り組みを進め、国に「有害生物被害防止総合対策事業」の適用を強く働きかける。

新税導入は道民の理解が難しい
(13)林業対策について

1、新たな森林環境政策について
藤沢議員 道は新税で人工林の間伐などを進めようとしたが、国の経済対策で事業量の大部分が実施できる。道内経済がまだ厳しい情勢では、新たな税負担について道民に理解を得るのは難しいと考える。森林環境税の導入にどう取り組むのか。

高橋知事 新税の導入については、今年度から実施する事業の検証・評価や今後の国の政策、道内経済の状況などを踏まえ、道民の意見を十分に聞きながら慎重に検討する。

2、山のみち地域づくり交付金事業について
藤沢議員 滝雄・厚和線、置戸・阿寒線、平取・えりも線の大規模林道事業3路線のうち、未完成の7区間について、道は事業継続の判断の是非を検討するために地元の意向調査、意見交換会を行ってきた。今後どのように結論を得ようとするのか。

高橋知事 区間ごとに、事業の必要性や有効性、費用対効果の分析などについて検討の論点をまとめ、できるだけ早い時期に判断する。

3、教育問題について

学力テストの結果公表を
(1)学力向上について

1、学力テストの結果について
藤沢議員 今年度の学力テストの結果は、過去2回と同様に小、中学校とも全国順位は40番台で、3年連続で下位グループに甘んじた。この結果をどう受け止めているのか。

高橋教育長 基礎・基本の確実な習得や学習慣習の定着などに課題があるとの結果を厳しく受け止めている。庁内に「学力向上対策チーム」を立ち上げ、学力向上の施策の総点検を行うとともに、市町村や学校のそれぞれの実情に応じて集中的、重点的に支援する。

2、教育委員会と知事の懇談について
藤沢議員 さまざまな教育課題の重さを考えると、知事と教育委員がきたんなく意見交換できる機会が必要ではないか。

高橋知事 今回の全国学力・学習状況調査の結果を踏まえ、教育委員との懇談の機会を早期に設けたい。

3、結果等の公表について
藤沢議員 大阪府や秋田県、鳥取県では教育委員会が、市町村別の平均正答率を公表した。道教委も公表すべきだ。市町村の2割が調査結果を保護者や住民に説明しない予定だが、公表するように指導すべきだ。

高橋教育長 個々の市町村名・学校名を公表しないとされている文部科学省の実施要領の趣旨を踏まえながら、市町村の状況が把握できる公表の仕方を検討する。市町村教育委員会の公表については、保護者や地域住民にしっかり説明することは重要なことだ。強化の課題、生活習慣や学習環境の状況などについて、説明責任を果たすことができるように働きかける。

4、学力テストのあり方について
藤沢議員 川端文部科学大臣は就任会見で、学力テストは抽出調査とすることについて述べた。現在の方式を継続すべきと考えるが見解をうかがう。

高橋教育長 全国と比較することで、教育委員会や学校がこれまでの取り組みの検証・改善を図ることができ、児童生徒1人ひとりがどの程度学習内容を理解しているか知ることができるなど、子どもたちの確かな学力の向上を図る上で、意義のあるものと考えている。道教委の考え方をしっかりと国へ述べる。

活動報告書は総花的で不十分
(2)北海道教育委員会の活動状況に関する点検・報告書について

藤沢議員 平成20年度に関する報告書は、例えばいじめ問題では事件を防ぐための日常活動、行税制改革では職員数適正化計画に対する評価などが不十分であり、総花的な項目の列挙にとどまっている。

高橋教育長 学力の向上やいじめ・不登校といった重要な教育課題については解決に向けた分析・検討が必要と考えている。今後さらに工夫を重ねていく。道教委の考え方や今後の方向性を、より分かりやすく道民に伝えることができるように、報告書の改善に努める。

道徳教材の活用をどう指導するのか
(3)道徳教育について

藤沢議員 新しい学習指導要綱の趣旨を踏まえた道徳教育を推進するため、市町村の小・中学生に教材を配布する事業費予算が提案されたが、配布される教材の活用をどう指導するのか。

高橋教育長 市町村教育委員会や学校に対して、教材を活用した具体的な実践事例を示し、積極的な活用を働きかけるとともに、「心のノート」の活用状況も踏まえて、道徳教材の活用状況を把握するなどして、必要な指導助言を行う。

私学助成はさらに拡充をすべきだ
(4)私学助成について

藤沢議員 私立学校に対する助成措置は維持にとどまらず、さらなる拡充をするべきと考えるが、知事の見解をうかがう。

高橋知事 私学教育の振興を図るための支援は重要な施策の1つ。今後とも国に対し財源措置の充実を要望するとともに、限られた財源の効率的・効果的な配分に努める。

教員の違法活動に厳正な処分は当然
(5)違法な組合活動等について

1、教員の違法な組合活動について
藤沢議員 報道によると、十勝管内芽室町の中学校で、職員室に衆議院議員選挙の候補者のポスターがはられていた。厳正な処分は当然と考える。

高橋教育長 芽室町の案件は法令等に抵触するおそれがあると考える。校長、教頭が見過ごしていたのは誠に遺憾だ。全道の公立学校に調査を行ったが、他の事例は確認されなかった。今後、このようなことがないように指導を徹底し、本件については事実関係を調査して厳正に対処する。

2、ヤミ専従問題について
藤沢議員 いわゆるヤミ専従問題については、違法状態がなし崩し的に息を吹き返すことのないように、毎年度、きちんと確認することが必要だ。

高橋教育長 市町村教委に対し指導するとともに、道教委職員が学校訪問をする際に、新たに教職員などの勤務状況について確認を行うなど、勤務時間の適正な管理が図られるように努める。

4、公安問題について

飲酒運転撲滅への取り組みは
(1)交通問題について

藤沢議員 道内の飲酒運転による交通事故の発生状況や取り締まり検挙の状況はどのようになっているのか。飲酒運転撲滅に向けてどのように取り組んでいるのか。

鎌田警察本部長 8月末現在で発生件数が133件、死者が11人、傷者が181人で昨年同期に比べていずれも増加している。逮捕者は187人を含む1002人を検挙したほか、車両や酒類の提供と同乗で13人を検挙した。週末の集中取り締まりや繁華街を包囲した大型検問などによる指導取り締まりを強化している。
 「飲酒運転をしない、させない」という規範意識を醸成するために、Eメールなどによる交通安全情報の発信や、飲食店に対しては飲酒運転をさせない「ハンドルキーパー運動」の普及を協力要請している。

禁止薬物の撲滅に向けた対策は

(2)禁止薬物の乱用防止について

藤沢議員 本道での、禁止薬物乱用の現状と撲滅に向けた対策をうかがう。

鎌田警察本部長 8月末で薬物事犯の全検挙人員は471人で前年同期に比べ25人増加、覚せい剤事犯は検挙人員340人で同29人減少、大麻事犯は検挙人員128人で同62人増加している。暴力団などによる密輸・密売事件の摘発、乱用者に対する取り締まりの強化、学校での薬物乱用防止教室の実施、繁華街での街頭啓発などを強力に推進する。