●平成30年第3回定例道議会 自民党・道民会議 代表質問答弁要旨

三好 雅 議員(みよし まさし) (宗谷地域選出)

miyoshi
1日も早い復旧・復興、災害に強い北海道づくりに向けた決意をただす

胆振東部地震災害への支援強化を強く要請

昭和49年11月26日、オホーツク管内美幌町生まれ。岩手大学教育学部卒業後、盛岡市大通商店街協同組合勤務、国会議員秘書を経て、平成23年道議会議員初当選。2期目。現在、自民党道連筆頭副幹事長、道議会総合政策常任副委員長、同北方領土対策特別委員会理事、同北海道地方路線問題調査特別委員会理事、同自民党・道民会議政策審議筆頭副委員長など。

 第3回定例道議会は9月11日から10月10日まで開かれ、最大震度7を観測した胆振東部地震の復旧・復興事業費476億円を含む、総額496億円の平成30年度補正予算案が、全会一致で可決された。9月20日の本会議における自民党による代表質問では、三好雅道議が今回の地震に関する道の対応について、直接の被害にとどまらず、ブラックアウト(大規模停電)や節電による本道経済への影響を含めた支援策を国に働きかけるよう強く求め、高橋はるみ知事から早期復興に向けた前向きな答弁を引き出した。

全電源喪失を防ぐための対策は

1、道政上の諸課題について

(1)北海道胆振東部地震について
1.災害からの復旧復興

三好議員 約295万戸に上る停電や断水、公共交通機関の運休、高速道路の通行止めにより道民生活が混乱し、経済社会活動が完全にマヒしかねない事態となった。災害からの復旧復興、災害に強い北海道づくりにどのように取り組むのか。

高橋知事 避難生活を余儀なくされている方々への支援に努めるほか、ライフラインの速やかな復旧を国に要請するなど、1日も早い復旧・復興に一丸となって取り組んでいく。

2.災害発生時の情報伝達

三好議員 停電によりテレビやインターネットの利用が困難となり、デマ情報が不安をかき立てた。正確な情報伝達にどう対応していくのか。

高橋知事 避難情報等を登録者の携帯電話などに送信したほか、避難所情報をテレビ・ラジオで伝達した。正確な情報伝達に努めるとともに、このたびの対策の検証を進めていく。

3.電力の安定供給体制

三好議員 このたびの全電源喪失についてどのような認識を持っており、こうした事態を二度と生じさせないため、どう対処するのか。

高橋知事 深刻な事態と受け止めており、電力事業者としての北電の責任は極めて重い。しっかり検証を行い、エネルギーの安定供給に取り組んでいく。

4.観光産業に対する対応

三好議員 節電などの状況が報道で発信され、多くのキャンセルが発生し、ホテル・旅館や飲食店、貸し切りバスなどの観光関連産業にとって打撃となることは確実だ。どう対応するのか。

高橋知事 旅行代金の割引制度「ふっこう割」の導入を国に要請しているほか、道内観光の安全性を情報発信し、誘客の一層の促進に取り組む。

5.ガソリンスタンドの機能確保

三好議員 電力供給が途絶え、在庫があるガソリンスタンドでも給油ができなくなり混乱が生じた。暖房用燃料でもある灯油供給に大きな役割を果たすガソリンスタンドの機能維持に、どう対応するのか。

高橋知事 非常用電源の確保や、医療機関などの重要な施設へ優先的に給油する災害時協定の周知など、課題の把握・分析に努め、必要な対策に取り組む。

6.自転車の利用促進

三好議員 地元の利尻島では自転車道路が緊急車両の貴重な代替路として活用できることが確認された。道は条例に基づき自転車活用推進計画の策定を進めているが、災害時の利用を念頭に置いた環境整備をどのように推進する考えなのか。

高橋知事 国の検討状況を踏まえながら、自転車の幅広い利活用が促進されるよう積極的に取り組んでいく。

7.国への要望等について

三好議員 国から実効ある支援を引き出すためには、直接の被害額にとどまらず、節電対策やバックアップ電源対策で生じる企業のコスト負担やキャンセルによる逸失利益を含めた影響を積み上げ、国に対策を求める必要があるのではないか。

高橋知事 直接的な被害のみならず、産業面への影響も含めた総合的な支援を求めていく。

(2)豪雨災害について

三好議員 7月に西日本で発生した豪雨災害では、経験したことがないほど広い範囲で土砂崩れや洪水などが発生した。防災・減災の取り組み強化に向け、どう対応するのか伺う。

高橋知事 ソフト面では一日防災学校の充実、スマートフォンへの情報提供方法の検討などにより、地域防災力のさらなる強化に取り組む。ハード面では、河川氾濫防止対策、緊急輸送道路や避難路における橋梁の耐震補強などの予算を国に要望する。

(3)地方創生について

三好議員 道内の人口は4年連続で3万人を超す大幅減となり、地方創生の展望が開ける状況からは程遠い。道が先頭に立ち、国に対策を働きかけるべきだと考えるが、見解を伺う。

高橋知事 宗谷管内と東京都港区などとの交流事業を発展させるとともに、移住促進に向けた税制優遇措置の創設などを国に働きかけていく。

(4)道産食品の輸出拡大戦略について

三好議員 道産食品の輸出拡大を図るためには、販売動向などを定期的に提供できる体制や、相手先市場の特性などを考慮した高付加価値の商品を安定的に売る仕組みが重要である。策定を進めている輸出拡大戦略にどう反映していく考えなのか。

高橋知事 品目別の展開方向や輸出先の市場ニーズ・課題の把握に努めるとともに、フード塾の開催、どさんこプラザを活用した販路開拓などを進める。

(5)環境配慮型経営への対応について

三好議員 プラスチック製ストローや買い物袋を見直す動きが広まっている。環境配慮型経営を志向する経済社会の潮流を捉え、道内経済の活性化につながるよう取り組むべきと考えるが、どう対応していくのか。

高橋知事 新エネルギーの導入促進、環境配慮型データセンターの誘致、リサイクル・省エネルギー関連ビジネスの振興などの取り組みを積極的に推進していく。

(6)歴史・文化・自然「体感」交流空間構想について

三好議員 先の環境生活委員会で、野幌森林公園に点在する北海道博物館や開拓の村を核とした交流空間構想の素案が報告された。どのように取り組むのか。

高橋知事 本道の歴史、文化を体感し、交流できる空間として、年内をめどに構想を策定する。百年記念塔は安全性などから解体し、新たなモニュメントを配置した広場として再生する。

人手不足に備え外国人材を受け入れよ

(7)若年人材の職場定着・確保について

三好議員 雇用情勢の改善を背景に、道内の新規高卒者の就職内定率は98%を超えているが、3年後離職率も約47%に達している。道はミスマッチ解消の取り組みを進めているが、参加割合は低く、新卒者の職場定着にどう取り組むのか。

佐藤教育長 生徒や保護者が職場見学により企業理解を深めるマッチング事業などのほか、研究指定校6校において離職理由などを取りまとめた資料を作成し、各校へ活用を促す。

(8)外国人材の受け入れについて

三好議員 深刻化する人手不足の状況などを踏まえ、国は来年4月から新たな在留資格による新制度スタートを目指しており、水産加工業などから期待の声が寄せられている。外国人材の受け入れと共生について、どう対応していく考えなのか伺う。

高橋知事 関係法令に基づく雇用管理や在留管理が適切に行われることが必要であり、受け入れ業種の検討、受け入れ環境の整備を国に働きかけていく。

(9)JR路線見直しについて

三好議員 JR北海道が単独では維持困難とする8線区をめぐっては、国が支援期間内の取り組み結果によって、その後の支援の行方を判断するとしていることなどの課題を含んでおり、中でも地域負担の法的根拠が不明確なことが大きな問題である。負担割合や負担額は、法的根拠について納得のいく整理が行われた後に議論されるべきであるが、どのように道筋をつけていくのか伺う。

高橋知事 地域負担に関する法的根拠、自治体が負担可能な支援規模、地方財政措置の内容などについて、改めて国に詳細な説明を求めていく。JRに対しても、震災の影響を踏まえた経営再生の見通しの修正案を提示するよう求める。

(10)政策情報の発信について

三好議員 道のホームページは政策情報発信に中心的な役割を果たしているが、内容は各課の裁量にゆだねられている。政策方針の形成過程や国への働きかけの状況については、統一的基準のもとで内容を判断するようルールを整備すべきではないか。

高橋知事 情報の種類や内容について統一的な考え方をまとめ、的確な情報発信に努める。

(11)道職員の働き方改革について

三好議員 道職員の働き方改革は健康管理や人材確保、行政サービスの質の向上を図る観点からも重要である。勤務環境の整備への積極的な取り組みを求めた人事院報告を踏まえ、どう働き方改革を進めていくのか。

高橋知事 副知事をトップとした生産性向上会議において、内部業務の減量化、ICT利活用などの検討を進めている。年内をめどに「ワークライフバランスの推進に関する指針」の見直しを行う。

(12)北方領土問題について

三好議員 9月にロシアで開催された東方経済フォーラムで、プーチン大統領から、無条件で日ロ平和条約を締結すべきだとの提案がなされた。北方領土の帰属問題を解決し、その後、平和条約を結ぶというわが国の立場とは相入れない。今後の対応を伺う。

高橋知事 大統領の発言が仮に領土問題解決の先送りの可能性を含むものであるとすれば、受け入れがたい。外交交渉の進展を踏まえながら、関係者と連携して国に対する要請活動を行うなど、早期解決に向けて粘り強く取り組んでいく。

(13)公共施設等の維持管理について

三好議員 自然災害に備えるためにも、橋梁・堤防・道路などのインフラ、学校・病院などの建築物の維持管理・更新を効率的・効果的に行うことが重要になる。インフラ長寿命化計画に基づき、着実な維持管理を図る必要があるのではないか。

高橋知事 今年度中に中長期的な経費の見込みを示し、総合的かつ計画的な管理を推進する。

(14)縄文遺跡群の世界遺産登録について

三好議員 国の文化審議会で、1万年以上も平和で協調的な社会を作り上げた「北海道・北東北の縄文遺跡群」が世界文化遺産の推薦候補に選定された。世界遺産の早期登録に向け、機運の醸成にどう取り組むのか。

高橋知事 ユネスコ本部があるパリで講演会やパネル展示によるプロモーションを行うほか、10月をめどに札幌で総決起大会を開き、全力で登録を目指す。

(15)児童虐待防止について

三好議員 国は増加する児童虐待に対応するため、緊急総合対策を取りまとめた。警察との一層の連携を図るなど、児童相談所全体で対応する必要があるが、どう取り組んでいくのか。

高橋知事 すべての虐待事案を警察と児相で情報共有する仕組みを協議しているほか、警察との合同模擬訓練の実施地域の拡大、児相の機能強化など、児童虐待の未然防止や早期対応に全力で取り組む。

(16) 主要農作物種子の取り扱いについて

三好議員 道は主要農作物の種子生産に関する条例の骨子案を明らかにした。これまで同様、コメや麦、大豆などの種子を取り扱うこととしているが、本道の基幹作物である豆類・そばといった主要畑作物も含めた条例にすべきではないか。

高橋知事 農業・農村振興審議会などでは、条例の対象を小豆やインゲン、ソバなどの作物まで広げてほしいとの意見が出された。議会や審議会での議論を踏まえ、検討していく。

(17)新たな森林管理システムについて

三好議員 国は放置された森林を、市町村が主体となって適切に管理する新たなシステムを来年4月から導入する。約6割の市町村で林業担当職員が1名以内となっている現状を踏まえ、林業事業体の一層の育成強化にどう取り組むのか。

高橋知事 市町村に対し、所有者への意向確認に必要な情報の提供などで負担軽減を図るとともに、林業機械の導入支援、担い手の確保に向けた取り組みの強化を進めていく。

2、教育問題について

(1)学力向上について

三好議員 今年度の全国学力・学習状況調査の結果は、中学校では3教科で全国平均と同等かそれ以上となるなどの改善が見られた一方、小学校ではどの教科も全国平均に達していないことや地域間格差が課題である。学力向上にどう取り組むのか。

佐藤教育長 管内別の分析を進めており、学校、家庭、地域、行政が一体となって実効性のある取り組みを展開していく。

(2)教員不足への対応について

三好議員 道教委が任用する小中学校の産休・育休代替や期限付き教員の欠員は、8月現在で58人に上り、学校運営への深刻な影響が心配される。教員の確保にどう取り組むのか。

佐藤教育長 勤務環境の整備、大学への教員志望者の推薦依頼、期限付き教員経験者を対象とした特別選考検査の実施、受検会場の拡大などに取り組む。

3、公安問題について

(1)テロ対策について

三好議員 札幌にあるオウム真理教の教団施設では、信者の勧誘活動が活発に展開されていると報じられ、道民の間に不安が高まっている。来年はG20観光大臣会合が倶知安町で開催される予定だが、テロの脅威にどう対応していくのか。

和田道警本部長 4月に総合警備対策室を設置し、情報収集や警戒警備等を徹底するとともに、爆発物原料や小型無人機の管理者対策、サイバー攻撃対策、自治体・交通機関との共同対処訓練などを推進していく。

指摘・再質問

  1. 災害からの復旧復興について、道民が復興に向けて前向きな気持ちで立ち上がっていただくため、トップである知事が先頭に立って復旧復興に全力で取り組んでいただきたい。
  2. 電力の安定供給体制について、北電経営陣に猛省を促すとともに、道も主体性をもって検証を行い、二度と全電源喪失を繰り返すことがないよう取り組んでいただきたい。
  3. 観光産業に対する対応について、観光入り込み客数の大半を占める道内需要に目を向ける必要がある。知事自らが道民に訴えかけることも、効果の高い支援策になる可能性があることに留意すべきである。
  4. 国への要望等について

    三好議員 全道が対象となる激甚災害、いわゆる「本激」の指定が見込まれるのは、農地や農業施設、林道の復旧に限られる。わが国始まって以来のブラックアウトにまで発展した今回の災害の特異性を考えれば、対象事業を拡大するよう国に求めていく必要があるのではないか。

    高橋知事 直接的な被害のみならず、産業への影響など、深刻な実態を踏まえた支援の充実が図られるよう働きかけていく。

  5. 豪雨災害について、多くの自然災害の脅威にさらされている本道の強靱化が早急に図られるよう、国に予算の確保を働きかけるべきである。
  6. JR路線見直しについて、JRの責任がなし崩し的に地方に押し付けられることになりかねず、同様の立場にある地方の力を結集し、道外にも積極的に情報発信していくことが重要である。
  7. 主要農作物の種子生産に係る条例について、豆類など主要畑作物の優良な種子の安定的な生産や円滑な普及に向けて、その取り扱いを条例に位置付けるよう指摘する。

自民党・道民会議 一般質問項目

○太田憲之 議員(千歳市)
  1. 災害被害の把握と今後の対応について
  2. 被災地域からの要望への対応について
  3. 食の輸出拡大戦略等について
○加藤貴弘 議員(札幌市西区)
  1. 災害対応について
  2. 地震による教育への影響について
  3. 北方四島における共同経済活動について
○清水拓也 議員(帯広市)
  1. 障がいのある方の避難と情報保障について
  2. 盲導犬やペットなどとの避難について
  3. 米政策について
  4. 被災地の治安対策について
○内田尊之 議員(檜山地域)
  1. エネルギー源の確保等について
  2. 中小企業の振興について
  3. 地域センター病院の連携強化について
  4. 日本海漁業の振興について
  5. 学校における働き方改革について
  6. 学力向上について
○野原薫 議員(美唄市)
  1. 農業被害などについて
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  3. がん診療連携拠点病院について
○松浦宗信 議員(根室市)
  1. 沿岸漁業の振興について
  2. 厚岸道立自然公園の国定公園指定に向けた取り組みについて
  3. 道の文書管理等について
  4. 人材育成について
  5. 北方領土隣接地域の振興について
○千葉英也 議員(室蘭市)
  1. 自治体消防について
  2. 停電対策について
  3. 事業継続計画等について
○梅尾要一 議員(千歳市)
  1. 港湾施設の空洞化対策について
  2. 自然災害への対応について
  3. 道有建築物等のストックマネジメントについて
  4. 新たな住宅セーフティネット制度について
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