●平成27年第1回定例道議会自民党・道民会議一般質問(代表格)答弁要旨
自民党・道民会議 布川 義治 議員
人口減少に立ち向かう覚悟を堂々と追及
昭和24年生まれ。北海学園大学経済学部卒。江別市議会議員2期を経て、平成11年から北海道議会議員。4期。現在、道議会自民党・道民会議議員会会長、同総合政策常任委員、同新幹線・総合交通体系対策特別委員など。
平成27年第1回定例道議会は、2月20日から3月11日まで開かれ、自民党・道民会議から議員会長の布川義治議員が一般質問(代表格)に立った。布川議員は道政史上初となる4選を目指す高橋知事から、人口減少社会に立ち向かう覚悟を引き出したほか、経済活性化やエネルギー政策などの道政課題について、道理事者の見解を堂々と追及した。
布川議員 昨年の第4回定例会での私の質問に対し、知事は「北海道が直面するかつてない難局を乗り越え、確かな未来を切り拓くことが私の使命」と力強く言い切った。年明けの出馬表明では「4期目の挑戦はこれまでの延長線上にはない」と述べたが、どんな北海道の未来図を描いているのか。
高橋知事 アジアをはじめ、海外との間で人やモノの大交流が広がり、世界からみた「憧れの地」「光輝く北海道」を目指していくことが重要と考えている。地域の産業が力強く展開し、人口減少を抑えること、美しい自然環境を維持しながら地域の資源を将来にわたって受け継がれていくこと、そうした未来の姿を道民の皆さまと共有していきたい。
布川議員 道政史上初めての4選に向け、人口減少の危機突破を第1の課題に掲げている。どう取り組むのか伺う。
高橋知事 将来にわたって持続的に発展する、個性豊かな地域社会を築いていけるよう、年度内に取り組み指針を取りまとめる。これをもとに、産業振興を通じた雇用の場の創出、結婚や出産の希望をかなえる環境づくりなど、実効性のある施策に全力で取り組んでいく。
布川議員 知事は立起表明にあたり、道産食品輸出額1000億円という目標を明らかにした。現在の輸出額は約500億円で、水産物・水産加工品が9割を占めている。どう取り組んでいくのか。
高橋知事 農産物・農畜産加工品についても付加価値の高い新商品の開発、鮮度保持技術の活用、貨物輸送の効率化を促進し、競争力の強化を図る。シンガポールへの経済交流拠点の設置、ハラール制度への対応によるイスラム圏への輸出促進、今年開催されるミラノ万博への出展を通じ、1000億円の達成を目指していきたい
布川議員 平成26年度の本道への観光客数は、過去最高の5310万人で、このうち外国人は115万人だった。知事は外国人観光客300万人プロジェクトを展開すると表明したが、どう取り組んでいくのか。
高橋知事 2020年の東京オリンピック・パラリンピックをめどに、目標を達成を目指したい。ビザ要件の緩和、国際航空路線の誘致、CIQ体制などの空港の機能強化、Wi -Fi環境の整備や多言語対応の強化などに力を入れ、質の高い観光地づくりを加速していきたい。
布川議員 知事は、経済的格差によって教育の機会が失われてはいけないとの考えから、世界で活躍できる人材を育てる基金を創設するとしている。どのような目的、内容か。
高橋知事 若者が経済的理由にとらわれず、国際社会で活躍できる人材へと成長するためのもの。進学を志したり、海外に留学する若者への支援や、スポーツ・芸術・科学などのスペシャリストの育成に取り組んでいきたい。
布川議員 平成21年度に本道への移住・定住の窓口を設置したが、転入者数は18年以降、5万人前後で推移しており、その成果が上がっているとは言えない。移住・定住の拡大にどう取り組むのか。
高橋知事 移住に関する北海道全体の窓口として、首都圏と札幌市に「ふるさと移住定住促進センター」を設置し、多様なニーズにワンストップで対応できる体制を構築したい。
布川議員 定住自立圏の中心地から遠く離れた自治体の行政サービス確保について、わが党ではこれまで議論を行ってきた。知事が述べる「北海道型地域自律圏」とは、どんなものか。
高橋知事 道内では、100を超える市町村が近隣とのネットワークにより、定住自立圏の形成に取り組んでいる。地域の実情に応じた効果的な連携が可能となるよう、新たな広域連携の仕組みの創設について議論するほか、道職員の市町村派遣の拡充にも取り組んでいきたい。
布川議員 T P P については、政府が牛肉・豚肉の関税率引き下げやコメの輸入拡大を検討しているとの報道があり、関係者から先行きを懸念する声が上がっている。農林水産業を次世代に引き継ぐという、道の考え方を国に伝えるべきではないのか。
高橋知事 国会決議を順守するとともに、本道における重要品目の関税維持など、万全な対応を行うよう国に強く求めていく。
布川議員 本道の子どもの学力・体力は、全国に比べ低い水準にある。本年4月施行の教育委員会制度改正により、知事の教育行政への関わりがこれまで以上に求められるが、教育のあり方をどう認識しているのか。
高橋知事 本道の小中学生の学力や体力は、全国下位に低迷しており、危機感を持っている。制度改革の趣旨も踏まえ、道教委と連携しながら、市町村や学校、家庭、地域の皆さまと一緒に教育環境の充実に取り組む必要があると考える。
布川議員 火力発電の燃料が増加したため、北電は2度にわたり電気料金を引き上げ、道民にとって大きな負担増を招いた。わが党は原発への依存度を可能な限り低減させることとしているが、電力確保に向けた電源構成にどう取り組むのか。
高橋知事 将来、原発に依存しない北海道を目指した取り組みを進めていくことが重要と考えている。技術革新の成果の効果的な取り込み、環境エネルギー産業の振興、省エネの推進などに積極的に取り組んでいく。
布川議員 大間原発の建設に関して、地域の不安に向き合い、説明責任を果たすよう国や事業者に求めているが、函館市が工事差し止めの提訴中である昨年12月、電源開発により設置変更許可申請がなされた。より慎重な対応を求めるべきではないか。
高橋知事 事業者が変更許可申請したことは、極めて遺憾だ。施設が未完成であり、エネルギー政策上の必要性なども明らかにされていないことから、一度立ち止まって検討すべきと考える。
布川議員 道内21カ所の地域プラットフォーム会議で議論された地域経済への対応策は、すでに産業振興ビジョン実施計画等で述べられているものと大差がない。経済活性化を目指す事業を、切れ目なく展開する必要があるのではないか。
高橋知事 補正予算では、地方創生の足がかりとして若者・女性の創業支援、外国人観光客の受け入れ体制整備などに取り組むとした。地域に根差した施策をしっかり展開していく。
布川議員 強靭化計画を確実に推進していくには、いかに公共事業予算を確保できるかにかかっている。推進にどう取り組む考えなのか。
高橋知事 防災・減災対策に加え、電力、交通、情報通信などの社会資本の整備に重点的に取り組むため、国に対し、新たな予算枠の創設を積極的に提案していく。
布川議員 道内の建設業は、国の公共事業削減により厳しい経営環境におかれている。事業を安定的に継続するための事業量の確保、人手不足、就業者の高齢化などの課題にどう取り組むのか。
高橋知事 建設投資額の大幅な減少により、新規入職者が減少し、技術・技能の継承が困難になると懸念されている。社会資本整備に必要な予算を国に強く求めるとともに、道単独費を含めた公共事業予算の確保に取り組んでいく。
布川議員 エゾシカによる農林業の被害は、依然として深刻な状況が続いている。わが会派はジビエ料理の食材としてブランド化を図るべきだと主張してきたが、エゾシカの有効活用にどう取り組むのか。
高橋知事 より高度な衛生管理の下での処理を自治体が認証する制度や、消費者ニーズに合わせた販路開拓について積極的に取り組んでいく。
布川議員 4機目のドクターヘリが道南地域で運航開始されたが、より迅速な長距離搬送ができる小型ジェット機を利用した輸送システム、メディカルウイングの研究が行われている。実用化にどう取り組むのか。
高橋知事 北海道航空医療ネットワーク研究会から、全国を2〜3のブロックに分け、都道府県を越えた広域運航が望ましいとの報告を受けた。一日も早く実用化できるよう国に強く働きかけていく。
布川議員 道立病院の経営は、極めて厳しい状況にある。赤字体質から脱却し、収益向上を図るため、地方公営企業法の全部適用へ移行し、経営形態を変更すべきではないか。
高橋知事 道立病院の経営改善を着実に進めるため、経営形態を見直す必要がある。他県の事例を参考に、具体的な検討を進めていく。
布川議員 団塊の世代が75歳以上になる10年後には、全国で介護職員30万人が不足する恐れがあるとの指摘がある。高齢者人口が増加する中、介護職員の安定的な確保と定着にどう取り組んでいくのか。
高橋知事 地域医療介護総合確保基金の活用を検討するなどして、介護職場のイメージアップ、キャリア形成のための研修実施、労働環境・処遇の改善支援などを推進していく。
布川議員 農業における高齢化や労働力不足が大きな課題となる中、これまで以上に農作業の効率化、生産性向上が求められている。競争力を強化するため、農業農村整備をどう進めていくのか。
高橋知事 地域からは、農地集約の促進や基盤整備に多くの要望が寄せられている。農地の大区画化、排水対策の強化、施設等の長寿命化など、農業農村整備の推進に一層力を尽くす。
布川議員 国は漁業者の所得向上を目的に、各地域ごとに「浜の活力再生プラン」を策定するように促している。道内では日本海地域などに策定が遅れており、積極的な支援を行うべきではないか。
高橋知事 3月末までに、全漁協においてプランを策定できるよう助言・協力し、確実に実行されることで地域全体の活性化が図られるよう積極的に支援していく。
布川議員 知事就任時に約2万人だった知事部局の職員数は、現在1万3600人となった。道の組織力の維持・向上を図るため、今後の職員採用についてどう考えているのか。
高橋知事 質の高い行政サービスを提供していくためには、中長期の視点に立った計画的な採用を行っていくことが重要。受験者確保に向けた取り組みを進め、来年度の採用は、500人程度の募集を行う必要があると考えている。
布川議員 学力・体力の向上、いじめ、不登校などの課題解決を図るためには、校長のリーダーシップのもと、次世代のリーダーとなる中堅・若手教員を育てなければならないと考えるが、見解を伺う。
立川教育長 道教委は研修実施などを通じて、学校経営のノウハウの習得や参画意識の醸成に努めている。今後とも、学校の組織力、教育力を高める取り組みを強化していく。
高橋知事 地域医療介護総合確保基金の活用を検討するなどして、介護職場のイメージアップ、キャリア形成のための研修実施、労働環境・処遇の改善支援などを推進していく。
布川議員 文部科学省は、小中学校の統合を議論するための手引を作成したが、道内の市町村教育委員会のうち、学校の適正規模について検討しているのは一部にとどまっている。必要な情報の提供や指導助言に努めるべきではないか。
立川教育長 道内には、手引にある「学校規模の標準」を下回る学校を抱える市町村が多く、今後も教育委員会や自治体関係者、PTA代表者などでつくる検討会議での協議を踏まえ、道教委としての支援策を整理する。
布川議員 全刑法犯の総数が減少傾向にある中、振込詐欺などの特殊詐欺は増加しており、被害金額は過去最高となる12億5000万円に達した。被害者の6割以上が高齢者で、繰り返し被害に遭う人もいる。犯罪や事故のない安心して暮らせる北海道の実現に向けて、どう取り組むのか。
室城道警本部長 交通事故による死者数や刑法犯の認知件数が減少する一方、ストーカー・DV、暴行、詐欺、器物損壊が増加した。本年は子ども、女性、高齢者を重視した「犯罪の起きにくい社会づくり」のほか、「重要犯罪等の徹底検挙」「暴力団等犯罪組織の壊滅と薬物・銃器犯罪の根絶」「交通死亡事故の抑止と安全な交通社会の実現」「災害等の危機管理対策の強化とテロの未然防止」の5つを活動重点として推進していく。
3期12年、道内各地域に出向き、自らの目で地域の実情を見つめてきた知事が、わが党の方向性も踏まえ取り組んでいこうとの考えを明らかにしており、その成果を期待している。わが党、わが会派としても、道民の生活を守り、豊かな北海道を創り上げるため、引き続き、知事とともに取り組んでいくことを道民の皆さまにお約束する。
自民党・道民会議 一般質問項目