●平成26年第4回定例道議会自民党・道民会議一般質問(代表格)答弁要旨

自民党・道民会議 内海 英徳 議員

tanaka
高橋知事、年内に道の取り組みを再構築

女性活躍支援の方向性など鋭く質問

昭和17年生まれ。明治大学卒。当別青年会議所理事長、当別町商工会副会長、当別町議会議長などを経て、平成15年石狩支庁管内から北海道議会議員初当選。3期。道議会建設常任委員など歴任。現在、道議会自民党・道民会議筆頭副会長、同環境生活常任委員、同食と観光対策特別委員長など。

 平成26年第4回定例道議会は、衆議院議員選挙を挟んで11月26日から12月19日まで開かれ、自民党・道民会議から内海英徳議員が一般質問(代表格)に立った。内海議員は人口減、新北海道総合計画の見直し、女性の活躍支援などに関する知事の政治姿勢や、地域経済対策、土砂災害警戒区域などの指定促進、教育問題など道政上の諸課題について知事や教育長など道理事者の見解を鋭くただした。 

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地方創生に向け、道から国へ積極的な提案を

一、知事の政治姿勢について

(1)人口減少問題への対応について
①市町村との関係について

内海議員 人口減少問題について、地域の人々と日々接触している市町村と、どのように対応を進める考えか。

高橋知事 地域づくりの拠点である振興局の機能強化を図りながら、市町村との一層親密な連携の下、地域の実情に応じたきめ細かな取り組みを進める。

②国の長期ビジョンなどへの対応について

内海議員 国は「人口減少克服・地方創生」を目指して基本方針を決定し、「長期ビジョン」と「総合戦略」の骨子案を示している。
道は、本道の実情を踏まえた意見を積極的に反映させるべきである。

高橋知事 地元の定住希望率など市町村ごとのデータ提供や広域分散型の本道における定住圏自立構想の見直しなどのほか、地域特性に配慮した実効性ある施策の展開につながるよう積極的に提案していく。

③地方版総合戦略策定に当たっての連携について

内海議員 道の戦略は市町村の戦略の策定を待って策定するのか。市町村の策定に向けて道の戦略を示すのか、並行して検討し調整しながら策定していくのか、市町村との協力の状況も含め聞きたい。

高橋知事 来年度に策定することになるが、道の考え方を示した上で、振興局が中心となって市町村と連携を進めながら、道の総合戦略との整合性に配慮しつつ、市町村における戦略の策定や、それに基づく取り組みを積極的に支援していく。

(2)新・北海道総合計画の見直しについて

内海議員 国土形成計画の見直しに伴い、新・北海道総合計画の改定に向けた検討が行われている。その見直しにどのように取り組む考えか。

高橋知事 人口減少問題など喫緊の課題に適切に対応するため、国の総合開発計画の策定状況や現在進めている中期的な点検・評価などを踏まえながら、平成29年度までに新総合計画の見直しに向け検討を進める。

(3)女性の活躍への支援について
①道の支援の方向性について

内海議員 本道の社会、経済・産業構造の状況を踏まえた対応が必要だが、支援の方向性の取りまとめと支援の実施について、どのように取り組む考えか。

高橋知事 年内にも子育て支援や就業支援、地域活動など女性の活躍の視点から道の取り組みを再構築し、年明けに開催を予定している応援会議において、オール北海道としての女性の活躍支援に関わる方向性を取りまとめる。できるものから直ちに取り組むよう努めたい。

②女性の地位などに関する実態調査の結果について

内海議員 道は昨年度、農村における女性の地位や社会参加の状況を把握するため、実態調査を行っているが、営農計画策定や新規投資、農作業の役割分担に消極的で、農業経営への参画も低調である。知事は、この結果をどう受け止め、どのように対応していく考えか。

高橋知事 農村女性による起業件数や女性認定農業者数などに関し、目標指標を設定し研修会開催などに取り組んできたが、引き続き地域でのさまざまな機会をとらえ、参加促進に努め、さらに10月に設置した「北の輝く女性応援会議」を通じ、意識啓発や情報提供を進める。

③他の産業における女性の参画について

内海議員 農業だけでなく、水産業、林業、商工業などについても調査し、対策が必要な場合はしっかり対応すべきと考えるが、見解を伺いたい。

川城環境生活部長 その分野においても女性の地位や経営への参画意識など、実態に応じた調査を実施したい。その結果を踏まえ家庭と仕事を両立させながら、意欲を持って働ける環境整備にしっかりと取り組む。

④ものづくり産業への女性の就労促進について

内海議員 ものづくり産業に対する女子高校生や保護者の認識を改めてもらい、求職者と企業のマッチングや企業への働きかけを進めるなど、女性の就労促進に向けた取り組みを、引き続き展開するべきである。

辻経済部長 道では今年度から新たに「ものづくりなでしこ応援プロジェクト」に取り組んでいる。今後とも、地域と連携した女性従業員との懇談会の開催、女性採用に向けた合同企業説明会への参加、女性登用や就業環境の整備などについて、国の取り組みと連携しつつ積極的に取り組んでいく。

⑤道における女性活躍支援について

内海議員 道としても道政の執行に当たって、女性を積極的に登用するとともに、活躍に向けた環境を整備し、組織の活力強化や地域の活性化、産業の振興に結び付けていく取り組みを、どう進める考えか。

高橋知事 先輩職員や職場に相談できるメンター制度の創設など、子育てしながら活躍できる環境整備を進める一方、今後さらに、女性登用に向けた目標を持って積極的に取り組み、女性職員の活躍促進を図っていきたい。

土砂災害警戒区域の指定を促進せよ

二、道政上の諸課題について

(1)地域経済対策について

内海議員 プラットフォーム形成事業を通じて把握した課題への対応は、道として方向性を示しながら臨み、年内にも対応方向を定める必要があると考える。地域プラットフォーム会議におけるテーマへの対応など、地域経済対策に向けて、どのように取り組むのか。

高橋知事 地域課題として共有された1次産品の高付加価値化や地域資源を活用した観光振興などにつき、道の施策に反映させるとともに、地域の取り組みを国に提案して、国の経済対策や地方創生の働きを効果的に取り込みながら、各地域において景気回復が実感できるよう取り組む必要がある。

(2)大規模建築物の耐震改修への支援について

内海議員 平成25年5月に公布された改正耐震改修促進法で、一定規模以上のホテル、旅館、商業施設などの大規模建築物については、27年末までに耐震診断を終え、その結果を公表することになっている。耐震改修への道の支援をどのように進めるのか。

高橋知事 来年度に向け、耐震改修の補助制度の創設に関する市町村との協議を進めるとともに、耐震改修を行う事業者の資金ニーズを踏まえ、中小企業向け融資制度の見直しを検討するなど、地域経済などへの影響が可能な限り軽減されるよう取り組む。

(3)土砂災害警戒区域などの指定促進について

内海議員 道内には今年10月末現在で、1万2000カ所があり、このうち基礎調査が終了したのは2424カ所にとどまっている。土砂災害警戒区域などの指定促進に向けて、どのように取り組む考えか。

高橋知事 道としては来年度から基礎調査を加速させる。調査コストの大幅削減を図るため、引き続き国に対し国費比率のかさ上げや起債充当など地方負担の軽減を求め、必要な予算確保に努め、市町村と一層連携を強め早期指定に最大限度努力する。

(4)冬季オリンピック等の誘致について

内海議員 札幌冬季オリンピック開催は、北海道にとって極めて有意義である。積極的な誘致に努めるべきと考えるがどうか。

高橋知事 道はスポーツ王国北海道を目指し、「スポーツチャレンジ教室」や「北海道タレントアスリート発掘育成事業」などにより、選手の育成や強化に取り組んでいる。冬季オリンピックをはじめ、競技力の向上などにつながる国際大会の誘致について、道内市町村や競技団体と協力して取り組みたい。

(5)青少年の健全育成について
①どさんこユースプランについて

内海議員 ニートや引きこもりの実態は正確に把握することが難しいが、どさんこユースプランの素案にうたわれた新たな支援策を、対象となる青少年にどのように周知し、取り組みを進めるのか。 

川城環境生活部長 今後、市町村に理解してもらうとともに、相談窓口の一層の周知を図り、本人やその家族が適切な支援を受けるよう努めたい。

②子どもの貧困対策について

内海議員 知事は「子どもの貧困対策の推進に関する法律」に定められた道の計画について、「国の大綱の趣旨を踏まえ、子どもの貧困対策に関する総合的な施策を盛り込んだ計画を早期に策定する」と述べているが、どのように進めているのか。

高田久保健福祉部長 ワーキンググループを設置し、現在、道内の子どもの貧困に関する実態把握を進めている。その結果を基に、特性や重点施策の検討などを年度内に行い、パブリックコメントや議会議論を経た上で、速やかに計画を策定する。

③経済的貧困を抱える家庭の子どもに対する学習支援について

内海議員 退職教員や学生ボランティアを活用した生活保護世帯の子ども対象の学習支援事業は、来年4月の生活困窮者自立支援法施行に伴い、事業主体である道や市町村で対象者を生活保護世帯家庭以外にも拡大できるようになった。その一方、国費負担は2分の1に変わるため、事業縮小が懸念されている。この事業を一層充実する必要があるが、どう対応するのか。

高橋知事 国の責任において必要な財源が確保されるよう全国知事会などと連携して要望している。経済的に困窮する世帯の子どもの学習支援が、後退することのないよう努力する。

④子どもの携帯電話等の利用について

内海議員 本道の子どもたちの携帯電話やスマートフォンの所有率は全国平均より高く、インターネットの長時間使用も目立つ。このような状況について見解を聞きたい。今後、適切な対応にどう取り組むのか。

川城環境生活部長 今後、道教委など関係機関と連携し、インターネットの利用時間など家庭内でのルールづくりを促す啓発や、青少年の安全教育など次代を担う青少年の健全育成に努めたい。

危険ドラッグ対策にどう取り組むか

(6)保健福祉問題について
①がん対策基金について

内海議員 現在、第2期北海道がん対策推進計画に基づき、医師会や患者団体、企業とともに患者などの支援を一層充実させる「がん対策基金」の早期設置に向け、どのように取り組むのか。

高橋知事 さらなる原資の確保方策の検討やPRに努め、今年度中の基金設置を目指して取り組む。

②危険ドラッグ対策について

内海議員 先の道議会常任委員会において、道においても条例を制定するなど積極的に危険ドラッグ対策に取り組む姿勢を示していたが、知事は具体的にどう取り組む考えか。

高橋知事 道や道民、関係団体などの責務、知事指定薬物など道独自の規制、さらに警察官に対する立入権限の付与などを明文化した条例を制定したいと考えている。道警など関係機関と一層連携し、北海道全体で危険ドラッグを撲滅するという強い決意で取り組んでまいる。

(7)JAグループ北海道の改革について

内海議員 JAグループ北海道は、政府の閣議決定を受けて北海道独自の改革プランを決定、5年間を農協改革集中期間として自己改革に取り組むことを公表した。知事はこの改革プランをどう受け止めているか。道としても歩調を合わせて取り組む内容が多く含まれており、積極的な連携を図るべきではないか。

高橋知事 今後とも、この改革プランに示されている生産力の強化や担い手の経営安定、魅力ある農村づくりなどに、農協組織と連携して取り組む考えである。

(8)新規漁業就業者に対する支援策について

内海議員 沿海地域の均衡ある発展を図るためには、漁業振興策を進めると同時に、地域外からの新規就業者を含め、やる気のある人たちが安心して漁業に取り組めるよう、収入が安定するまで経済的支援や漁業の技術習得、住宅の確保など、しっかりしたサポート体制を整える必要があるが、見解を伺いたい。

高橋知事 新規就業者が地域に定着して、安心して漁業を営むことができるよう収入が不安定な時期について、一定の所得を確保する新たな支援を国に求める。市町村や漁協などと連携し、きめ細かな技術指導を行うとともに、地域協議会の設置を働きかけ、住宅の確保などの受け入れ体制の整備を進める。

道徳教育に対する北教組の遺憾な反対行動

三、教育問題について

(1)学力テストの結果の活用について

内海議員 いわゆる全国学力テストの結果の活用について、全国平均より「高い」、「低い」と説明した学校だよりを配布するだけでなく、保護者に課題などを具体的に説明し、一緒に考えるような取り組みが大切だ。今後、市町村教育委員会などに対してどのように対応するのか。

立川教育長 今後、保護者や地域住民に直接説明する機会を設定し、丁寧な説明や公表を行っている事例について、情報提供とともに、年度末に各市町村教委や学校の取り組み状況を把握し、必要な指導助言を行うなど、学校・家庭・地域・行政が一体となった取り組みを進める。

(2)道徳教育の充実について

内海議員 道徳教育は、学校教育に不可欠です。しかし、北教組は、道徳の教科化や道徳教育推進教師の配置に反対し、文部科学省が作成・配布している「私たちの道徳」については、活用しないなど形骸化を図り、実態化を阻止すると主張している。誠に遺憾であり、高等学校を含めた道徳教育の充実に向け、どのように進める考えか、見解を聞きたい。

立川教育長 中教審の答申などを踏まえた国の動向も注視しながら、本道の特色ある取り組みを一層充実するとともに、各学校の実態に即した指導助言に努め、道徳教育の充実を図り、生きる力を支える豊かな心の育成に努める。

(3)公立学校教員の服務について

内海議員 道教委は選挙などに関する教職員の違法行為防止を狙いに、平成22年度に創設した違法行為を道民から連絡していただく情報提供制度を、周知徹底すべきと考えるがどうか。

立川教育長 来年度の統一地方選挙も含めて、選挙に関わり違法行為が行われることのないよう、諸会議を通じ、教員の服務規律の保持について指導徹底するとともに、情報提供制度の周知、適切な運用を図る。仮に違反があった場合は、厳正に対処する。

 

自民党・道民会議 一般質問項目

○川畑 悟議員(室蘭市)
  1. 工業製品・技術の地産地消について
  2. 観光スペシャリストの活用・育成について
  3. 大学院修了者など高学歴者活用及び失業対策について
  4. 行政情報発信について
  5. ネットトラブル防止の取り組みについて
○笠井龍司議員(釧路市)
  1. 北のTOPプロジェクトについて
  2. 医療費の適正化について
  3. 野生動物対策について
  4. 空港・港湾の災害時対応について
  5. 捕鯨について
○三好 雅議員(宗谷管内)
  1. 移住・定住の促進について
  2. 離島振興について
  3. スポーツ少年団について
  4. エゾシカ対策について
  5. 道立病院について
  6. 除雪対策について
  7. 特殊詐欺対策について
○田中芳憲議員(恵庭市)
  1. 関与団体の適正化について
  2. アライグマ対策について
  3. 農業委員会改革について
○大崎誠子議員(札幌市東区)
  1. 国土強靱化について
  2. 狩猟者育成に伴う環境整備について
  3. 女性の活躍について
  4. 中国・ロシアとの経済などの交流について
  5. 道民の健康づくりについて