●平成26年第2回定例道議会一般質問(代表格)答弁要旨

自民党・道民会議 道見 重信 議員

tanaka

最重要課題「人口減少」を徹底追及

昭和20年中札内村生まれ。大蔵省税務大学校、専修大学第二商学部卒業。大蔵事務官東京国税局、北海道建鉄工業株式会社、玄米酵素グループで勤務後、平成3年から札幌市議会議員を3期務める。19年に道議会議員(札幌市北区選出)に初当選。現在、道議会農政常任委員、食と観光対策特別委員。

 平成26年度第2回定例道議会は6月17日に開会し、同20日には自民党・道民会議から道見重信議員(札幌市北区選出)が一般質問(代表格)を行った。道見議員は「道内市町村の約8割が2040年までに消滅する可能性がある」とした報告書を踏まえ、人口減少によって生ずるさまざまな問題への対応を14項目にわたり徹底追及。高橋はるみ知事は「人口減少を最重要課題と位置付け、必要な対策に取り組んでいく」と述べ、道庁内に対策本部を設ける考えを示しました。

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人口減少にどう立ち向かうのか

一.知事の政治姿勢について

①人口減少問題について
(1)人口減少問題の基本的認識と対応について

道見議員 人口減少は地域社会を支える力を低下させ、商店、医療機関、介護施設などの存続を難しくさせ、さらなる人口減少を招く。行政サービスの維持に向けた仕組みの検討が求められるが、どう対応するのか。

高橋知事 国の推計では、2040年までに道内の約半数の市町村で人口が6割未満になるなど、全国を上回るスピードで人口減少が進むとされ、その影響が懸念されている。人口減少への対応を道政の最重要課題として位置付け、分野横断的に検討し、必要な対策に速やかに取り組んでいく。

(2)少子化への対応について

道見議員 14歳以下の人口は減少傾向にあり、少子化対策の効果は現れていない。これをどう認識しているのか。

高橋知事 「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」に基づく施策により出生率は微増してきているが、さらなる対策が必要だと認識している。結婚に関する若年者フォーラム、大学生を対象とした出前講座の拡充など、結婚支援策を検討していく。

(3)自立型経済について
  1.自立型経済の達成度

道見議員 2011年に出された「ほっかいどう産業振興ビジョン」では、力強い産業構造の実現には至っていないと分析している。知事が考える自立型経済はどの程度、達成できたと認識しているのか。

高橋知事 自動車部品などの出荷額、加工食品の輸出額などは徐々に実を結んでいるが、道内総生産は縮小傾向にあり、自立型経済構造への転換は道半ばで厳しく受け止めている。

経済活性化が現状に歯止め

  2.今後の取り組み

道見議員 自立型経済の実現に至らなかった原因は、どこにあると考えているのか。

高橋知事 デフレ経済の影響のほか、道産品の販路開拓、産業間連携による域内循環の向上の取り組みが民間需要の増加につながらなかった。

(4)地域経済づくりについて

道見議員 地域経済の活性化は人口減少にブレーキをかける上でも重要だが、どのような地域経済をつくり上げる考えなのか。

高橋知事 地方からは「景気回復を実感できない」との声をいただいている。十勝の農畜産物や加工品の海外販路の拡大や、宗谷の農業人材の確保など、地域の実情やニーズを踏まえた対策に全力で取り組んでいく。

(5)地域商業の現状等について

道見議員 2012年度の調査では商店街の売り上げや店舗数が減少し、経営者の高齢化が明らかになった。この結果は10年前と同じで、地域商業の低迷が続いていることを示しているが、現状をどう認識しているのか。

高橋知事 流通構造の変化に伴い、地域の商店は厳しい状況にあると認識している。国や市町村、商工団体などの関係機関との連携を一層密にし、活性化施策を展開していく。

(6)働く人材の確保について

道見議員 14歳以下の人口が減少していく中、働く人材をどう確保するのか。

高橋知事 若者や女性のほか、中高年齢者や障がい者に対する就業の促進に努めている。食品加工業における従業員の処遇改善、建設業における訓練や実習の実施などにより人材を確保し、多様な働き手が活躍できる社会を実現する。

仕事と子育て両立できる環境を

(7)女性が活躍しやすい環境づくりについて

道見議員 道は条例と基本計画によって施策を展開しているが、男女平等参画社会への道はまだ遠い。女性が活躍しやすい環境をどう実現するのか。

高橋知事 社会全体の意識改革により男女ともに仕事と子育てを両立できる環境をつくるためのネットワークを新たに構築し、女性が一層活躍できるように取り組んでいく。

(8)農業の振興について

道見議員 本道の農家の75%は同居の後継者がいない。農業生産をどう維持拡大していくのか。

高橋知事 後継者の育成や就農促進とともに、法人化の推進、営農支援組織の整備を進め、経営の安定化や生産性の高い地域農業を確立していく。

(9)高齢者介護について

道見議員 介護サービス水準を確保していくため、今後の介護保険制度のあり方を含めてどう対応するのか。

高橋知事 事業者が参入しやすい仕組みづくりなど、地域特性に配慮した介護保険制度になるよう国に強く要望していく。

(10)地域医療の確保について

道見議員 道内には産科・産婦人科を標ぼうする病院・診療所がない市町村が132、整形外科がない市町村は67にのぼる。地域医療の確保のために、どう対応していくべきだと考えているのか。

高橋知事 地域の中核医療機関などへ医師を派遣するとともに、バランスのとれた病床の機能分化を促進するなど、本道の実情にあった体制をつくっていく。

政策を総動員し持続可能な地域へ

(11)地域における義務教育の確保について

道見議員 昨年、小学1年生が35人以下だった市町村は76ある。人口が減る中、地域における義務教育をどう確保していくのか。

立川教育長 小規模校に対し、中学校での免許外教科担任の解消、学習指導等を行う教員の加配やスクールバス購入費などの支援を行い、教育水準の低下を招かないように努めている。望ましい学校規模を念頭に置きつつ、教育環境の充実を図りたい。

(12)社会資本整備について

道見議員 建設後、長期間を経過したインフラをどう維持・更新していくかが問題になる。効率的な社会資本整備について、どう対応していく考えなのか。

高橋知事 新たにインフラ長寿命化計画や国土強靭化地域計画を策定し、経済の活性化や安全・安心な道民生活の確保に資する社会資本整備を着実に進めていく。

(13)地方行政のあり方について

道見議員 道州制、人口減少対策を検討するにあたり、地方行政のあり方について市町村とともに国などに対して提言をすべきではないか。

高橋知事 これまでも北海道市長会や町村会とともに、事務委託や共同処理などを協議してきた。地域の課題について、国に対し必要な提案を行っていく。

(14)持続可能な地域デザインについて

道見議員 人口問題は、道のすべての施策が関わらないと解決できない。持続可能な地域デザインの検討をどう進めるのか。

高橋知事 私をトップとする人口減少問題の対策本部を設置し、医療福祉、経済雇用、観光、まちづくりなど、あらゆる政策分野を総動員し、対策を進めていく。

安全が確認された原発は稼働へ

②エネルギー政策について
(1)電力の電源構成について

道見議員 エネルギーの多様化を図り、安定的な電力供給を確保していく上で、電源構成をどのような割合にするのか。

高橋知事 天然ガスなどの環境負荷が低く経済性に優れたエネルギー、本道が高いポテンシャルを有する新エネルギーなど、さまざまな電源の特性が生かされた多様な構成としていくことが必要である。

(2)電力供給について

道見議員 安全性が確認された原発については稼働させる必要があると考えるが、見解を伺う。

高橋知事 再稼働は安全性や必要性を十分に考慮した上で、国が責任を持って判断し、国民や関係自治体に丁寧な説明を行うよう求めている。

(3)大飯原発に関する判決について

道見議員 福井地裁は5月、メルトダウンにつながる規模の地震が起きないとするのは楽観的な見通しにすぎないとして、大飯原発の運転差し止めを命じる判決を言い渡した。これをどう受け止めているのか。

高橋知事 関西電力が名古屋地裁に控訴している状況にあり、今後の裁判の推移を注視してまいりたい。

③本道農業の方向性などについて

道見議員 政府の規制改革会議は、農業委員会や農協の見直しを断行していくとしている。本道農業をどう発展させていこうとしているのか。

高橋知事 農業改革の検討にあたっては、本道農業の特質や農業・農村の振興に果たす農協の機能の強化が重要と考えている。今後の検討に反映させるよう国に働きかける。

知事自らがJRを監督すべきだ

二.道政上の諸課題について

①地域経済に係る施策の効果について

道見議員 地域経済の好循環に向けた取り組みにより、どこまで景気回復が進むと考えているのか。

辻経済部長 公共工事の早期発注として5月末までに約1000億円の予算を執行しているなど、スピード感をもって取り組んでいる。

②観光振興について

道見議員 北海道観光振興機構のあり方について、どう認識しているのか。

高橋知事 民間の発想を最大限に生かした企画力の強化、地域との連携強化、自主財源の確保など、機能の充実を図っていくことが重要と考えている。

③JR北海道への関与について

道見議員 JR北海道の社外取締役として職員を派遣するとともに、知事自らも安全に関する第三者委員会の委員に就任した。これまでは監督権限がないとして申し入れだけにとどめてきたが、どう対応していくのか。

高橋知事 道民の視点、地域の立場に立って、JRが安全を最優先とする企業として一日も早く再生することができるよう、その役割を果たしていく。

④地域強靱化計画について

道見議員 道は国土強靭化の基本目標として、まず本道が強靭になってから、国全体のバックアップ機能を強化するとしているが、一体的に進められるべきではないか。

高橋知事 道民の安全・安心のための施策を取りまとめるとともに、農水産物の生産・流通体制、送電網、交通ネットワークの強化など、必要な施策の推進に向け強く発信していきたい。

⑤基金事業について

道見議員 国からの交付金を原資として実施している基金事業の中には、今年度で終了するものもある。どう対応するのか。

高橋知事 木材利用を進める「森林整備加速化・林業再生基金」、海岸環境の保全を図る「北海道グリーンニューディール基金」は課題が多く、引き続き基金の活用が必要と考えている。基金の継続や恒久的な財政支援を国に強く要望していく。

北教組には毅然とした対応を

三.教育問題について

①新たな教育委員会制度について

道見議員 教育委員会制度の抜本的改革の一環として、来年度から首長が教育委員会と協議しながら施策の大綱を策定するようになる。知事の果たすべき役割がより重要になるが、どう取り組むのか。

高橋知事 自らが主宰する「総合教育会議」を活用しながら、地域の実情を把握し、子どもたちが心身ともに健やかに育っていけるよう役割を果たしたい。

②中・高校生のインターネット利用について

道見議員 中高生のネット依存について道教委が実態調査を実施したが、どのような結果だったのか。

立川教育長 高校生のスマートフォン所有率が9割を超えている、中高生の半数が1日2時間以上ネットを利用しているなどの実態が明らかになった。有機者会議を設置し、年内をめどに対応策を検討する。

③職員団体について

道見議員 北教組の不適切な活動に関し、不当な要求に対しては毅然として対応するよう市町村教育委員会に強く指導すべきではないか。

立川教育長 昨年2月からの1年間、職員団体に対応した事例が660件あり、このうち職員団体側が一方的に交渉を行うなどの不適切な事例は19件あった。交渉等の法的根拠、進め方を指導・助言し、円滑な学校運営に向けた支援に努めていく。

重大事件から道民生活を守る

四.公安問題について

①警察職員による不祥事について

道見議員 一昨年に本部長をトップとする「北海道警察刷新強化委員会」を設置し、不祥事防止の取り組みを進めているが、昨年は28人の警察職員が懲戒免職を受けた。どう対応していくのか。

坂警察本部長 昨年11月に同委員会を改組し、「道民の期待を信頼に応える強い警察確立委員会」として発展・強化した。道内外で発生した不祥事案の原因や発生プロセスの分析、不祥事案を発生させない業務管理システムを導入することにより、道民の安全確保のためにまい進していきたい。

②安全安心な道民生活の確保について

道見議員 道内の刑法犯認知件数は昨年まで11年連続で減少し、交通事故者数も200人以下となった。しかし、北区の連続ガスボンベ爆発事件、厚別区の女性殺人事件、手稲区の障害物放置事件が発生し、市民を不安に陥れている。犯罪・事故抑止にどう取り組むのか。

坂警察本部長 犯罪の未然防止には、警察官による街頭活動はもとより防犯指導、情報発信、防犯ボランティアへの支援などの対策を一層強化する。交通事故については歩行者を早期に発見するための「こまめにハイビーム運動」、街頭指導、飲酒運転取り締まり、シートベルト全席着用の周知などを展開する。犯罪や事故のない北海道の実現に向け、道民の期待と信頼に応えていく。

厳しい現実を正面から受け止めよ

再質問

一、人口減少問題について

道見議員 民間組織の日本創成会議は約25年後、出産可能な女性人口が大幅に減少し、大都市への人口集中と地方消滅が同時進行するという衝撃的な予測を発表した。知事は就任以来あらゆる施策に取り組んできたが、地方の衰退は止まらず、消滅する町村が出る可能性も語られている。道政運営11年間を振り返り、政治課題への対応をどう自己評価しているのか。

高橋知事 道内は全国を上回るスピードで人口減少が進行し、抜本的かつ早急な対応が求められていると認識している。将来にわたって持続的に発展する北海道を築いていけるよう、厳しい現実を正面から受け止め、取り組んでまいりたい。

二、自立型経済について

道見議員 北海道が自立するために一番大事なことは経済と財政の自立であるが、中央依存の体質が依然として続いており、域際収支の大幅な赤字につながっている。答弁にあった「地域が元気になることにこだわった取り組み」について、市町村とどのような連携を図るのか。

高橋知事 食産業や自動車産業で成果が現れつつある一方、地域においては経済の停滞が見られる。経済活性化には、最大の強みである食と観光を核として全体の底上げを図ることが重要。食クラスターの展開、企業誘致、海外からの観光需要などで市町村と一体となった取り組みを広げていきたい。

三、電力の電源構成について

道見議員 知事の答弁では、電力の電源構成について明確な回答はなかった。本道には新エネルギーについての高いポテンシャルがあるとしているが、将来的なビジョンを示さないままでは、新エネルギー普及は進まない。エネルギー基地北海道を目指していく上で、ビジョンを早急に立てて推進すべきと考えるが、知事の考えを伺う。

高橋知事 地域の特色を最大限に生かした新エネルギーの導入加速、北本連携などのインフラ整備を通じ、中長期的なエネルギーの多様化に貢献すると同時に、関連産業の集積・振興による本道経済の活性化を図っていきたい。

自民党・道民会議一般質問項目

○梅尾要一議員(千歳市)
  1. 防衛施設等周辺の外国資本の土地取得について
  2. 消防防災ヘリのパイロット不足について
  3. 災害時の外国人への対応について
  4. 特別支援学校高等部への就労支援について
○三好 雅議員(宗谷管内)
  1. 地方行政のあり方について
  2. 地方公務員法の改正への対応について
  3. 私立学校の耐震化について
  4. ホテル・旅館等の耐震改修について
  5. 産業人材の育成促進について
  6. 道立病院の経営体制について
  7. 新千歳空港の民営化について
  8. 支庁制度改革に伴う衆議院小選挙区の選挙区域の見直しについて
  9. サイバー犯罪対策について
○大崎誠子議員(札幌市東区)
  1. 雇用問題について
  2. 観光振興や経済交流などについて
  3. サービス付き高齢者向け住宅について
  4. エキノコックス症対策について
  5. ストーカー事案や配偶者からの暴力事案について
○佐々木俊雄議員(函館市)
  1. 道の組織機構について
  2. 少子化対策について
  3. 道営競馬について
  4. マグロの漁獲規制について
  5. 小中連携について
  6. 教職員の体罰について
○吉田祐樹議員(札幌市豊平区)
  1. 新たな公会計制度について
  2. 海外との経済交流について
  3. 乳幼児における虐待未然防止の取り組みについて
  4. 認知症対策について
  5. 更生保護について
○内海英徳議員(石狩市・石狩管内)
  1. 新たな視点での産業振興などについて
  2. 道立総合研究機構について
  3. トドによる漁業被害について
  4. 「道民の森」の活用について
  5. 自治体の業務継続計画(BCP)について
  6. 消費者対策について
  7. 北海道手話条例の制定について
○小畑保則議員(釧路市)
  1. 農業問題について
  2. 地域医療について
  3. 閉校後の道立学校校舎等の利活用について
○小野寺秀議員(帯広市)
  1. 道立高等看護学院の入学試験について
  2. 財政的援助団体について
  3. 農地の管理について
  4. アイヌの文化と歴史について
○岩本剛人議員(札幌市清田区)
  1. 消防力の向上に向けた取り組みなどについて
  2. 次世代施設園芸の推進について
  3. ニュージーランドとの酪農協力について
  4. 東京オリンピック・パラリンピックに係る事前合宿誘致について
  5. 観光振興などについて