●平成25年第1回定例道議会自民党・道民会議代表質問・答弁要旨

自民党・道民会議 柿木 克弘 議員

tanaka

都道府県初のいじめ防止条例を制定

昭和43年美唄市生まれ。札幌大学経営学部卒業。美唄市議会議員を経て、平成11年に道議会議員当選。4期目。道議会環境生活委員会副委員長、同建設委員長、道議会自民党・道民会議政策審議委員長、自民党道連青年局長などを務める。現在、自民党道連政調会長、道議会道州制・地方分権改革等推進調査特別委員長。

 平成25年第1回定例道議会は2月21日招集され、3月22日までの30日間の日程で、総額2兆6875億円の25年度一般会計予算案などを審議した。開会初日に高橋はるみ知事が道政執行方針演説を行い、3期目の折り返しを迎えるこの1年を「前進の年」と位置づけた。自民党・道民会議は柿木克弘議員が代表質問に立ち、知事の政治姿勢や地域防災対策、HAC、雇用対策、野生鳥獣被害、除排雪のあり方、教育問題、公安問題などについて、知事、教育長、道警本部長の見解を求めた。

公約実現にどう取り組むのか

一、知事の政治姿勢について

(1)道政執行に臨む姿勢について

柿木議員 知事は平成25年度を本道の明日につなげる「前進の年」と位置づけ、新生北海道づくりに取り組むと述べた。知事公約の実現に向けた政策展開に向けて、3期目の折り返しを迎える来年度はどのように取り組んでいくのか。

高橋知事 新たな食品機能表示制度を活かしたフード特区の推進やASEAN諸国などアジアの成長力の取りこみ、新幹線開業を見据えた広域観光の推進や東北との連携、エネルギーの地産地消や地域防災力の強化、次期「連携地域別政策展開方針」に即した地域づくりなどに重点的に取り組む。将来にわたり持続的に発展する北海道の実現に向け、公約に掲げる政策の着実な推進に全力で取り組む。

高橋知事答弁する高橋はるみ知事

本道の考え方を粘り強く示せ

(2)TPPについて

柿木議員 日米首脳会談を終えた安倍総理は、TPPへの交渉参加について早い段階で判断するとの方針を明らかにした。知事は本道の考え方を粘り強く示していくべきだ。今後、どのように取り組んでいくのか。

高橋知事 本道の重要品目の全てが関税撤廃の対象から除外されるのか、食の安全や医療、公共事業などへの影響はどうなるのか、といった具体的な情報がないことから、国民合意・道民合意がないままでのTPP協定への参加には反対する、という道の考え方に変わりはない。3月27日に道議会や関係団体と、交渉参加を拙速に判断しないよう、緊急要請した。引き続き国に対し、農林水産業はもとより社会全般に与える影響などについて十分な情報提供を求めるとともに、国の動向を注視しながら、適時適切に対応する。

エネ政策の現状をどう受け止めるか

(3)エネルギー政策について

柿木議員 エネルギー政策の現状についてどのように受け止め、どのような方向を目指すべきと考えているのか。

高橋知事 当面するエネルギー需給の安定確保はもとより、中長期的には社会経済の変化に柔軟に対応できるよう、エネルギーの多様性を確保することが重要と考えている。国の動向を注視しながら、豊富なエネルギー資源を有する本道が、わが国のエネルギー先進地となるよう、新エネルギーの導入促進はもとより、送電網の強化や地球温暖化対策、燃料電池の開発の促進などに着実に対応していく。

景気対策の効果をどう見込むのか

(4)経済対策の効果について

柿木議員 道は国の動きに呼応して補正予算を成立させ、来年度予算案を提案している。景気経済対策の効果をどのように見込んでいるのか。

高橋知事 今回の国の景気経済対策で北海道開発事業費として、補正と当初予算を併せ6812億円が計上され、経済波及効果を推計すると約1兆7700億円になる。本道は依然として厳しい経済雇用情勢が続いており、今回の景気経済対策を最大限活用し、社会資本の効果的な整備を通じ、本道経済の成長力の強化を図り、景気浮揚や地域経済の活性化につなげたい。

高梨選手を顕彰すべきだ

二、道政上の諸課題について

(1)次代を担うスポーツ選手の顕彰について

柿木議員 上川町出身の女子ジャンプの高梨沙羅選手は、今シーズンのワールドカップで史上最年少、日本人選手初の個人総合優勝を果たし、世界選手権の男女混合団体でも金メダル獲得に貢献した。この快挙に応え、来年のソチ五輪に向けた激励のためにも、顕彰すべきだ。

高橋知事 今シーズンの高梨選手の活躍は、日本スキー界の歴史的快挙であり、後に続く選手たちの目標と大きな励みになる。来年のソチ五輪でさらに大きな活躍をしてもらう期待も込めて、知事表彰である「栄誉をたたえて」を贈呈したい。

道州制の実現にどう取り組むか

(2)道州制について

柿木議員 民主党政権では道州制推進の姿勢が大きく後退した。政権復帰した自民党は、制定後5年以内に実現する方向で道州制基本法案の検討を進めている。こうした最近の動きをどう認識し、道州制実現に向けどのように取り組むのか。

高橋知事 道州制基本法案は、制定により制度設計に向けた検討が加速されるなど、導入に道筋をつける観点から大変意義がある。道の考え方を積極的に発信し、地方の側から国民的な議論を喚起するとともに、道州制特区提案や市町村への権限移譲など、道としての取り組みを一層推進していく。

二重行政への取り組み視点は

(3)道と札幌市の二重行政について

柿木議員 札幌市との行政懇談会で、二重行政の対応に関する協議を始めることが確認された。どのような視点に立って取り組む考えなのか。

高橋知事 行政懇談会で、市の関係部局と「新たな協議の場」を今年度内に設置し、類似施設の管理運営や連携協力のあり方、権限移譲の推進などを、早急に点検・検討を行うこととしており、必要な改善に取り組む。

総合計画のあり方を検討すべきだ

(4)特定分野別計画などについて

柿木議員 道の現行の総合計画では、個別に特定分野別計画を策定している、個々の計画がその目的にかなっているのか疑問がある。現行の総合計画は平成29年度までとされ、特定分野別計画を含めて総合計画のあり方について検討すべきだ。

高橋知事 特定分野別計画は目的、対象、期間などが様々で、簡素で効率的、より実効ある道政を進める観点から、必要な整理・統合などについて検討する。総合計画も26年度に行う中期的な点検・評価に向け、公約との関連や計画期間などを含め、そのあり方の検討を進める。

自治体の交流連携関係構築が必要

(5)地域防災対策について

1、災害時における支援協力協定などについて
(1)市町村間の交流連携協定について
柿木議員 平時からの交流を通じて、近隣自治体に止まらず、振興局管内を越えた市町村間の交流連携関係の構築が必要だ。

高橋知事 来年度から、道内の市町村同士が産業、観光、スポーツなどの日常的な交流に加え、災害時の相互支援など広い分野での交流連携を促す取り組みを進めていく。道が仲介役となり、モデル的な試行を積み重ね、包括交流連携協定締結に向けて積極的に取り組んでいく。

(2)大学等との支援協力協定について
柿木議員 道内各地の大学など高等教育機関との間で災害時における支援協定の締結を検討すべきだ。

高橋知事 道が行う防災教育と連携した社会人向けの防災教育講座の展開、学生による災害ボランティア活動の促進など、協定の締結も含め、効果的な連携のあり方について検討する。

2、地域防災対策の女性への参画について
柿木議員 女性の視点に立った地域防災対策が図られるよう、道の地域防災所管部署へ女性の配置を拡充すべきだ。

高橋知事 高齢者、障害者、女性、子どもなどにも十分配慮した、より地域に密着した防災対策を推進していくため、防災会議への女性委員の参画や防災所管部局への女性職員の配置に取り組む。

大震災被災地をどう支援するのか

(6)東日本大震災被災地への支援について

柿木議員 大震災被災地市町村では多くの問題を抱えていている。道として今後、どのように支援に取り組んでいくのか。

高橋知事 来年度から新たに、避難先の地域や被災地の情報を盛り込んだ広報紙の発行や、帰郷に向けた交通費の支援を行う予定。被災地支援をオプションに組み込んだ、復興応援ツアー商品の造成や受け入れ可能となった観光地のPRを行うなど、東北の観光振興が図られるよう積極的に支援する。市町村職員の派遣や意欲あるOB職員の情報提供などに取り組む。

事業計画達成をどう見ているか

(7)HACについて

柿木議員 旅客収入は計画を下回る状態が続いている。現行の事業計画では、平成26年度には黒字を見込んでいるが、計画達成についてどのように見ているのか。

高橋知事 HACでは、4月に利用者層の拡大を目指した割引運賃制度の見直しや、7月に予定されているJALとの共同運航、三沢線開設などで収益改善に取り組む。道としてHACに厳しい経営状況の要因分析や対応策を踏まえた修正案の提出を求め、経営委員会などの確認を行い、計画達成に向け適切に対応する。

交通行政体制は大胆に見直しを

(8)交通行政について

1、北海道交通ネットワーク総合ビジョンについて
柿木議員 ビジョンの計画期間は平成29年度までだが、策定後に道新幹線の札幌延伸、国際バルク戦略港湾指定などの変化進展があった。ビジョンのあり方を含め見直す必要がある。

高橋知事 道の交通政策の基本指針として20年に策定したビジョンの見直しが必要と考えている。見直しを行うとともに、本道経済や地域の活性化に向けた総合的な交通ネットワークの形成に積極的に取り組む。

2、交通行政の執行体制について
柿木議員 交通にかかわる課題が各部に分かれ、連携が不十分なまま執行されている。交通行政の執行体制は大胆な見直しをすべきだ。

高橋知事 来年度から陸上・海上・航空交通や物流などの所管を一元化し、交通施策全般にわたり企画・調整を行う総合的なセクションを設けるとともに、専任の部長担当職を配置するなど、執行体制を拡充する。

開業に向け官民併せた取り組みを

(9)新幹線開業に向けた観光振興について

柿木議員 道新幹線の開業に向けた観光面での事業に、官民併せてどのように取り組んでいくのか。

高橋知事 新年度から各種メディアを活用した観光PRの展開に加え、イベントや商談会を実施する。特に道南地域の資源を活用した観光地づくりを重点的に支援していく。函館商工会議所が中心になった観光の魅力創造ゼミナールのような人材育成の取り組みが、他地域にも広がるように働きかけ、道内観光業界とも幅広く連携し、東北などへのトップセールスや共同でツアー商品造成を行う。

政策展開で各部の施策の連携が必要

(10)連携地域別政策展開方針について

柿木議員 方針の実効ある推進のため、地域づくり総合交付金や振興局独自事業といった支援策の充実とともに、各部施策との連携が必要と指摘してきたが、どのように取り組むのか。

高橋知事 来年度予算案では、地域づくり総合交付金や振興局独自事業の予算の増額を図る。本庁各部の施策などを効果的に活用するため、振興局との連携を一層強化し、国や道の地域振興施策をフルに活用しながら、次期方針の実効性ある推進にしっかり取り組む。

関西の採用試験実施で人材確保を

(11)道職員採用試験について

柿木議員 採用試験を札幌、東京に加えて関西でも実施し、有為な人材確保に努めるべきだ。

中沢人事委員長 新たに関西地区でゼミナーの開催などにより受験者の掘り起こしをするとともに、本年5、9月に行う大卒程度の行政「A区分」第1次試験を実施する。

地財対策の給与削減への方針は

(12)職員給与の削減について

柿木議員 これまでの道の人件費削減をどのように受け止め、この度の地方財政対策に盛り込まれた給与削減にどのように臨むのか。

高橋知事 長期にわたり給与の減額措置や計画的な職員数の削減に取り組み、財政構造の改善が進みつつあると考えている。国から地方公務員の給与に関し、国家公務員と同様の給与減額措置をとるよう要請があったことは、これまでの地方の主張が受け入れられず、遺憾であるとともに厳しく受け止めている。

北方領土で組織をどう強化するのか

(13)北方領土隣接地域の振興について

柿木議員 知事は一昨年の第3回定例会で「効果的・機動的な執行体制を検討する」と答弁しているが、どのように組織体制の強化を図るのか。

高橋知事 新年度に北方領土対策本部長を現行の次長担当職から部長相当職に格上げし、総務部長がその職を担当するとともに、新たな計画を専掌するスタッフも配置する。今後の北方領土問題の動きに応じて、本部体制の充実強化を検討する。

地域の若者にも雇用支援対策を

(14)雇用対策について

1、障害者雇用の拡大について
柿木議員 法定雇用率を達成している法内企業は、昨年6月現在、半数程度で、企業努力だけでは限界がある。障害者雇用の円滑な推進に向けてどのように取り組んでいくのか。

高橋道議 昨年12月に締結した北海道労働局との雇用対策協定に基づき、ハローワークから特別支援学校への求人情報の提供や、企業による学校見学会の開催などに取り組む。新たに函館市や美唄市など道内6地域に「障がい者就業サポーター」を配置し、新規雇用に当たり、障害特性に応じた就業環境の整備などについてアドバイスを行う。

2、地域の若年者対策について
柿木議員 企業合同説明会などは、開催地から離れた地域の子どもはなかなか参加できない。主要都市から離れた地域の若者にも、支援の手を差し伸べることが必要だ。

高橋知事 これまで就職支援が行き届かなかった地域でも、若者が円滑に就職活動できるよう、高校生などを対象としたセミナーや企業合同説明会を新たに14地域で開催し、一人でも多くの若者が就職できるように取り組む。

地域商業活性化により一層の支援を

(15)地域商業の活性化について

柿木議員 道は昨年、地域商業活性化条例を施行し、総合的な支援制度を創設した。より一層の支援に取り組むべきだ。

高橋知事 地域商業を取り巻く厳しい環境は、全道に共通している。新年度も新たな取り組みを採択することができるよう必要な予算を計上した。今後とも、地域の顔である商店街の振興を図り、道民生活の持続的な安定や地域コミュニティの活性化につながるよう積極的に取り組む。

本社機能の地方展開を踏まえよ

(16)企業誘致について

柿木議員 今年度これまでの誘致状況と、今後の見通しを伺う。本社機能の地方展開などを踏まえ、どのような方針で取り組むのか。

高橋知事 本年度の企業立地件数は1月末現在で65件、その直接雇用は1422人で、現在、食関連企業など51社が本道を立地先の候補として検討していることを把握している。来年度は、自動車関連や食関連産業などに加え、本社機能の移転を重点的な誘致対象とし、事務局開設に必要な経費への新たな助成制度を創設する。

がん患者の就労にどう取り組むのか

(17)がん患者の就労支援対策について

柿木議員 道では現在、がん患者の就労状況に関するアンケート調査を実施している。その取りまとめ状況と、今後の取り組みについて伺う。

高橋知事 がんにり患した後も、引き続き同じ職場に勤務している人が57%、職場を異動した人が6%、再就職した人が12%、無職になった人が20%などとなっている。来年度は事業対象者などを対象にフォーラムを開催し、働きながら治療できる職場環境の整備を働きかけるほか、拠点病院の相談担当者に対し、就労支援に関する研修会を開催する。

生活保護は体制整備をすべきだ

(18)生活保護業務の体制整備について

柿木議員 道職員として実務経験のない新採用職員が、ケースワーカーとして勤務している事例が、平成22年度からの3年間で18人いる。必要な職員数や、一定程度の社会体験と行政実務経験を持つ職員を配置するなど、体制の整備を図るべきだ。

高橋知事 3年ごとに配置数の見直しを行ってきたが、1年早く暫定的に見直しを行い、本年4月から緊急性のある6振興局に各1人ずつ増員する。今後、ケースワーカーの配置のあり方も含めて検討し、26年度の組織改正に反映させる。

児童福祉司は増員すべきだ

(19)児童相談所の体制について

柿木議員 児童相談所の対応について、きめ細かく手が回っていないなどの指摘があり、業務のあり方などを速やかに改善し、児童福祉司の増員を図るべきだ。

高橋知事 年度内にマニュアルを整備し、DVや障害児に対応するための研修を強化するなど、職員の専門的な能力の向上を図る。児童相談所の厳しい業務実態を踏まえ、来年度は緊急的に児童福祉司を4人増員する。

子育て支援で日記帳の配布を

(20)子育て支援について

柿木議員 知事が進めている「母になる人への贈りもの運動」への一環として、「マタニティー・サポート・ダイアリー」を、母子健康手帳と同時に配布してはどうか。

高橋知事 本道を出産や子育てに優しい地域としていくためには、妊娠中から健康管理を行い、将来の思い出になる「マタニティー・サポート・ダイアリー」は、大切な取り組むだと考える。市町村や団体の意見も聞いて、作成に向け検討していく。

ネット依存対策で現状把握と対応を

(21)インターネットへの依存について

柿木議員 国立病院機構の調査では成人で270万人、未成年を含めると500万人を上回るインターネット依存者がいると想定されている。陰となる面にも目を向け、現状を把握し、対応していく必要がある。

高橋知事 道もこれまでに児童生徒に対するネット利用状況調査などを行ってきた。まず、教育や犯罪防止をはじめ幅広い関係部局で構成する会議を開催して情報共有を図るとともに、道民のネット利用実態などを把握し、必要な対応の検討を進める。

道民に周知をして鳥獣被害対策を

(22)野生鳥獣による被害について

柿木議員 深刻化するエゾシカ、トドなどによる被害防止に、関係部による対策チームを組織して被害実態の把握に努め、その状況を道民に周知し、全道民の理解を得ながら対策を講じるべきだ。

高橋知事 平成23年度の農業被害は過去最大の72億円、漁業被害は過去最大だった前年度と同額の22億円で、JR事故なども加えると鳥獣被害は深刻化し、大きな社会問題になっている。関係部局横断の対策チームを設置して正確な実態把握に努め、道のホームページやマスコミへの情報発信などを通じて、広く道民の理解を得ながら対策に取り組む。

4地域の取り組みを積極支援せよ

(23)世界自然遺産について

柿木議員 「阿寒・屈斜路湖・摩周」など4地域の地元では、世界自然遺産の登録に向けて取り組みを進める考えと聞く。道も積極的に支援すべきだ。

高橋知事 国の「新たな世界自然遺産候補地の考え方に係る懇談会」で検討することとされた16地域には、道内4地域も含まれている。国へ積極的に情報発信するとともに、地域と連携を密にして登録に向けた取り組みを推進する。

PM2・5の飛来に道民は不安の声

(24)大気環境について

柿木議員 3月に入ると、中国から「PM2・5」の微粒子が本道に飛来すると予測されている。道民から不安の声が聞かれるが、どう対応するのか。

高橋知事 現状の測定値は全国的に見ても低いレベルにあるが、注意深く監視を続ける必要がある。モニタリングを行っている自治体との連携を強化し、きめ細かい情報提供に努めるなど、適切な対応を図る。

道産子運動選手の定着を支援せよ

(25)道産子アスリートの道内定着について

柿木議員 道は道産子アスリートの道内定着にどのように取り組むのか。

高橋知事 平成21〜23年に高校総体と国体で入賞した高校生は、指導者の存在や活動費の支援、施設整備などが要因で、約8割が卒業後に道外を選択している。五輪などで活躍した選手3人にアスリートキャリア連携専門員として就任してもらい、年間を通じた支援を行うほか、競技環境の向上に努め、有望なアスリートの道内定着を図る。

多様な道産米需要に対応すべきだ

(26)多様な北海道米の需要確保について

柿木議員 高級ブランド米だけではなく、外食産業などが求める多様なコメ重要にも対応できるよう取り組むべきだ。

高橋知事 道として、用途に応じた品質・食味、収量性を備えた品種の開発はもとより、安定生産や省力化に向けて技術開発を進める。美唄や岩見沢などで先進的に取り組んでいる直はん栽培を普及拡大するなど、外食産業が求める需要にも的確に応えられるよう、低コストの生産・供給体制の確立に取り組む。

老朽漁船が全体の7割を占めている

(27)老朽漁船の更新について

柿木議員 20年以上経過した漁船が全体の70%を占め、資金面に大きな課題や不安を抱えている人が95%もいる。この状況をどう受け止めているのか。

高橋知事 将来にわたり漁業生産の安定を図るためには、既存の融資制度の拡充に加え、漁協が取得し漁業者へ貸与するリース事業や共同利用事業など、漁船の更新を促進する新たな仕組みづくりが必要と考えている。国に対し支援制度の創設を働きかけるなど、積極的に取り組む。

政府施策で道産木材需要拡大を

(28)道産木材の利用拡大について

柿木議員 政府の24年度補正予算には地域材の需要拡大を図る施策が盛り込まれた。このような状況を追い風にして、道産木材の需要拡大を図るべきだ。

高橋知事 この度の国の補正予算を活用して、木質内装材などの新製品の開発などに取り組むとともに、木造公共施設の整備や木質バイオマスをエネルギーとして利用する暖房ボイラー、発電施設などの整備を支援し、道産木材の利用拡大による地域産業の活性化を図る。

効果的な除排雪にどう取り組むのか

(29)除排雪のあり方について

柿木議員 今冬も大雪により市長村道の除排雪に支障があった。効果的・効率的な執行や除雪受託業者への機械貸与を含めた、除排雪のあり方についてどのように取り組むのか。

高橋知事 昨年度や今年度の豪雪時における除排雪の実態を検証したうえで、特に幹線道路の確保について、効果的な除排雪の方法など検討を進める。降雪状況に応じた、柔軟な対応ができる除排雪予算のあり方についても検討する。

道営住宅を今後どう整備するのか

(30)道営住宅について

柿木議員 本道の新たな広域的な住宅需要への対応に向けて、今後の道営住宅の整備をどのように考えているのか。

高橋知事 道営住宅でも、市町村が進めるコンパクトシティなどとの連携を一層強化するとともに、新幹線次代を迎え、新たな広域需要へ対応するため、整備方針を早急に整備し、本年6月をめどに取りまとめる。

まず道立高校で土曜授業を

三、教育問題について

(1)学力向上対策について

1、高校入試との連動について
柿木議員 本道では札幌市を除く全市町村の学校が、全国学力テストと道教委の「チャレンジテストトライやるウィーク」に参加している。高校入試との連動を強化すべきであり、高校入試担当課が義務教育担当課と道立教育研究所と連携し、詳細な分析を中学校に提供して学力向上に取り組むべきだ。

高橋教育長 平成24年度の公立高校入試の詳細な分析を、中学校や保護者に示すとともに、解答状況を高校から中学校に提供する仕組みづくりに取り組む。さらに、全国学力・学習状況調査やチャレンジテストで見られた課題も踏まえた学力検査問題を作成するなどして、義務教育段階の学力定着を図る指導が一層充実するよう努める。

2、土曜授業について
柿木議員 学校週5日制による学習内容3割削減が、学力低下を招いたとの強い批判を受け、他府県では土曜授業を復活させる動きがある。まず道立高校で土曜授業に取り組むべきだ。

高橋教育長 教員の勤務時間の調整などの課題もあるが、授業時数が増加し、学習内容の確実な定着や発展的な充実などが図られることから、来年度から道立高校で試行的に取り組む。

条例を制定していじめの解消を

(2)いじめ防止条例について

柿木議員 依然として公立、私立を問わず、いじめは後を絶たない。社会全体でいじめ問題の解消に取り組むため、他の府県に先駆けて条例を制定すべきだ。

高橋教育長 国は教育再生実行会議でいじめ防止対策のための法律制定を視野に入れながら議論を進めている。道教委としては知事部局と連携して取り組む。

高橋知事 国の動向も注視しながら、より実効あるいじめ防止対策を進めるための条例制定に向け、道教委と連携しながら取り組む。

体罰根絶のために指針を示すべきだ

(3)体罰について

柿木議員 体罰の根絶を図るとともに、教職員が日常の学校生活の中で信頼関係に基づいた指導に取り組めるよう、教師向けの指導資料として「懲戒と体罰のガイドライン」「部活動指導の手引」を示すべきだ。

高橋教育長 体罰によらない指導を行い事ができるよう、@懲戒と体罰の違い、体罰に該当する具体的な事例、体罰防止のためのチェックリストなどを盛り込んだガイドラインA授業などで様々な場面を想定した児童生徒への対応を記載した指導資料B部活動での効果的な指導例などを取り上げた手引―を作成・配付し、学校や教育委員会に対し、積極的に指導・助言する。

退職者などを訪問相談員に

(4)指導力不足教員について

柿木議員 指導力不足教員とされた中には、指導がうまくいかないことに、悩んでいる教員もいるのではないのか。退職者などベテランを訪問相談員に充てるなどの取り組みが必要だ。

高橋教育長 平成23年度に把握していた教員のうち、34人は依然として課題のみられる状況。今回の調査で新たに把握した31人を加え、併せて65人となった。新年度から指導教員として再任用した退職校長らが巡回指導や校内研修を実施するなどして指導力の改善に取り組む。管理職研修で教員の指導力向上に向けた職員マネジメントに関する内容を新たに加えるなど、取り組みを着実に推進する。

公立高の入試に北方領土問題を

(5)北方領土教育について

柿木議員 平成16年に内閣府特命担当大臣から、道教育委員長に対し「入学試験等への北方領土問題に関する出題」「北方領土学習を含む修学旅行の実施」について協力要請があった。道内の公立高校の入学試験で出題すべきだと考える。

高橋教育長 国から協力があって以降、本道の公立高校入学者選抜学力検査でも4回出題しているが、正答率は低く、十分に定着していない状況ある。26年度入学者選抜から毎年取り上げることを出題の方針に加える。

通学路危険箇所を早急に改善せよ

(6)通学路の安全対策について

柿木議員 昨年実施した通学路の緊急合同点検の結果、道内で1233箇所の危険箇所が明らかになったが、早急な改善が必要だ。

高橋教育長 その中で道道85箇所については、今年度中に38箇所で歩道や標識の設置を行い、残る箇所も平成26年度までの着手を予定している。道警では46箇所の横断歩道や交通安全施設を今年度中に整備することにしている。

安心して暮らせる北海道を

四、公安問題について

柿木議員 安心して暮らせる北海道の実現に向けて、本年はどのように取り組むのか。ベテラン職員の大量退職に加え、女性被害者への対応が求められている中、体制の維持・確保に向け、どう取り組んでいるのか。

園田道警本部長 「犯罪や事故のない安心して暮らせる北海道の実現」を基本理念に掲げ、@地域住民が不安に感じる犯罪の予防と検挙A重要犯罪等の徹底検挙B交通死亡事故の抑制と安全な交通社会の実現―など6つの基本施策を定め、これを強力に推進して治安の維持に当たる。「ストーカーへの対応」については、今春の組織改正でストーカー・DV事案を所管する生活安全部門の強化を検討している。「特殊詐欺への対応」については、犯行グループの徹底検挙、助長犯罪の取り締まりによる犯行ツールの供給遮断や無力化など捜査活動を一層強化し、防犯指導や広報啓発活動の推進など、総合的な諸対策に取り組む。事件・事故に対応する体制の維持・確保に向け、「若手警察官に対する教養の充実」「女性警官の採用・登用の拡大」「組織・人員の運用や業務運営の見直し」など、社会情勢の変化に対応して、警察活動を支える基盤の充実・強化に取り組んでいる。

■自民党・道民会議一般質問項目■

□佐藤禎洋(小樽市)
  1. 原子力防災対策について
  2. 冬期間の交通安全対策について
  3. 就航路線の拡大について
  4. 認知症疾患医療センターについて
  5. 空き家・廃屋対策について
  6. 石狩湾新港地域の用水供給について
□吉川隆雅(札幌市北区)
  1. バイオ関連産業について
  2. クール北海道の発信について
  3. 有機農業について
  4. 成熟社会総合フォーラムについて
  5. 下請業者の現状について
  6. HACについて
□中野秀敏(名寄市)
  1. 社会資本整備の重点化方針について
  2. 消防の広域化について
  3. 生活保護世帯の子どもたちの学力向上対策について
  4. 石炭対策について
  5. 東郷ダムについて
□三好 雅(宗谷管内)
  1. 地域づくり拠点としての振興局の体制整備について
  2. 集落対策について
  3. 離島振興について
  4. 情報システムの運用について
  5. エゾシカ対策について
  6. 世界自然遺産について
  7. 除排雪体制について
  8. 学校の職業体験活動について
□花崎 勝(札幌市厚別区)
  1. 新たな科学技術振興戦略について
  2. レアメタルの回収について
  3. いじめ問題について
  4. 学校図書館について
□八田盛茂(小樽市)
  1. 市町村における消防業務について
  2. 漁港における親水施設の整備について
  3. 外航クルーズ船の誘致について
□吉田祐樹(札幌市豊平区)
  1. 市町村間の広域的な連携について
  2. 道と札幌市との二重行政について
  3. 鳥獣被害対策について
  4. 中小企業対策について
  5. 観光振興について
  6. 次世代北方型居住空間モデル構想について
□梅尾要一(千歳市) 
  1. 北海道都市型地震災害対処訓練について
  2. 空港の民営化について
  3. 道産食品の輸出促進について
  4. 高校における発達障がい支援連携モデル事業について
□田中芳憲(恵庭市)
  1. 道の規制・基準の緩和について
  2. 地球温暖化防止対策について
  3. 住宅供給公社の経営状況について
  4. 教科書の採択について
□東 国幹(旭川市)
  1. 公務員獣医師について
  2. 本道農業と農業高校について
  3. 生活保護について
  4. 修学旅行について
□中司哲雄議員(根室管内)
  1. ものづくり産業の振興について
  2. 北海道ブランドについて
  3. 農業水利施設を利用した小水力発電について
  4. 北方領土問題について
  5. 教員の初任者研修について
□藤沢澄雄(日高管内)
  1. L1津波への対応について
  2. 農地集積と耕作放棄地問題について
  3. 海外成長の取り込みについて
  4. いじめ・不登校対策について
  5. 道徳教育について
  6. 親学について
  7. 小中学校の土曜授業について
  8. 履修進度について
□小野寺秀(帯広市)
  1. 商工業振興事業などについて
  2. 私立学校のいじめ等について
  3. 学校給食について
□村田憲俊(後志管内)
  1. 札幌医科大学の整備について
  2. エネルギー政策について
  3. 交通網の整備について
  4. 日本海漁業について
  5. 海岸防災林の保全について