●平成25年第1回臨時道議会

自民党・道民会議 松浦宗信 議員

tanaka

1502億円の補正予算など審議

 国の緊急経済対策予算に対応し、総額1502億円補正予算案などを審議する平成25年第1回臨時道議会が2月7日開かれた。自民党・道民会議は松浦宗信議員が質問に立ち、①公共事業費の執行②保健福祉基金③農業対策予算―について高橋はるみ知事の見解を求めた。

本道経済の回復にどのように臨むか

一、国の緊急経済対策に対する認識などについて

松浦議員 自公政権の緊急経済対策について、どのように受け止めているのか。他の地域に比べて景気が後退し、回復は遅れ気味といわれる本道経済に対する今後の対策に、どのように臨む考えなのか。
高橋知事 国は景気の底割れを回避し、長びく円高・デフレからの脱却と産業競争力の強化を図るため、「15カ月予算」の考え方で、切れ目のない経済対策を実行するとしている。経済対策を機動的に行っていくことは大変重要なことと考える。
 今回の経済対策では、防災・減災対策を中心とした必要なインフラ整備や、地域経済の活性化に向けた支援に加え、公共事業に関する地方負担軽減のための配慮もなされている。本道の経済雇用情勢が、全国に比べ依然として厳しい状況の中、今回の対策を最大限活用し、足下の経済雇用対策をしっかり行うとともに、新年度の国と道の予算も併せて、食や観光、ものづくりなど本道の強みを活かした経済の活性化につなげたい。

どう効果・効率的執行をするのか

二、公共事業などの執行について

松浦議員 公共事業の効果的・効率的な執行に向けて、どのように取り組む考えなのか。
高橋知事 今回の補正予算案は、国の経済対策に呼応して、所要の予算措置を講じようとするものだ。緊急性の高い防災・減災対策に資する事業として、道路の落石対策、局地的な集中豪雨に備えた河川改修、老朽化した農業施設の補修・更新や、漁港施設の長寿命化などを実施する。
 事業の円滑な実施に向けて、これまで全道の地方建設業協会などから意見を聞き、国などとも協議の場を設け、発注機関相互の情報共有に努めている。今後の事業執行に当たっては、工事の概数発注や入札手続き期間の短縮などにより、可能な限り早期発注に努めるとともに、適切な工期の設定や現場配置技術者の選任期間の弾力的な運用など、景気の下支えや雇用の確保といった補正予算の効果が最大限に発揮されるよう効果的・効率的な執行に努める。

4病院の耐震化をどう進めるのか

三、保健福祉関係基金について

⑴医療施設の耐震化について

松浦議員 これまで33カ所の災害拠点病院のうち、29施設の耐震化が行われたと承知しているが、この度の基金の積み増しで、残る4病院の耐震化がどのように進められることになるのか。
高橋知事 これまでも未耐震部分がある4病院に対して、整備を図るように働きかけてきた。交付要件である平成25年度中に着工することが可能な、八雲総合病院の耐震化について、「医療施設耐震化臨時特例基金」を積み増しする。残る3病院についても、国の補助を活用するなどして、できるだけ早く耐震化が図られるよう積極的に働きかけ
る。

⑵社会福祉施設の耐震化について

松浦議員 社会福祉施設などについても耐震化と併せ、防火の観点からスプリンクラーの整備も急がれる。どのように取り組む考えなのか。
高橋知事 スプリンクラーは設置義務がある施設がすべて整備された一方、55施設の耐震化が未整備になっている。55施設に対し整備を働きかけてきたが、社会福祉施設耐震化等臨時特例基金の交付要件である25年度中の着工が困難などの課題があるため、この度は4施設の耐震化とスプリンクラーの設置義務がない施設については整備促進を図ることとし、基金を積み増しする。今後とも、国の補助制度を活用するなどして、整備が図られるよう積極的働きかける。
 基金の対象にならない老人福祉施設についても、改築の前倒しなどできるだけ早期の耐震化に取り組み、施設利用者の安全・安心の確保に努める。

⑶保育士の確保等について

松浦議員 子育てをしながら働く親にとって保育所の充実や、保育にあたる保育士の処遇改善を図ることは重要。それらの事業に対し助成を行う「安心こども基金」の設置期間を、平成30年6月まで延長し、積み増しが行われることになったが、今後どのように進めるのか。
高橋知事 待機児童の早期解消に向け、保育サービスの量的拡大に伴う、質の高い保育士の安定的な確保が図られるよう、国の補正予算により、安心こども基金で保育士の処遇改善に取り組む保育所に対し、運営費に交付金を上乗せする事業や認可外保育施設従事者の保育士資格取得を支援する事業などが創設された。
 道として、これらの事業を実施するため基金を積み増しし、市町村や関係団体と連携して、国から示される安心こども基金管理運営要領に基づき、保育所の保育士の確保に積極的に取り組む。

⑷自殺防止対策について

松浦議員 自殺者の減少を図るためには、自殺につながる危険性が高いうつ病患者に対する取り組みや、子どもの段階からの取り組みは求められている。今後、自殺防止に向けどのように取り組む考えなのか。
高橋知事 平成20年以降、本道の自殺者数は減少傾向にあるものの、依然として多くの人が大切な命を自ら絶っていることは、深刻な事態と受け止めている。これまで、かかりつけ医を対象としたうつ病対応向上研修の実施や児童生徒に対する命を大切にする指導の充実、民生委員や保健師などを対象とした自殺防止の役割を担う人材の養成などの自殺対策に取り組んできた。
 今後は地域自殺対策緊急強化基金を活用し、かかりつけ医と精神科医との連携や、教職員向けゲートキーパー研修の充実強化に取り組むなど一人でも多くの命を救い、生きがいを持って暮らすことのできる社会の実現を目指す。

農家の要望受け止めた政府予算

四、農業対策予算について

松浦議員 国の農業農村整備などの予算額は、大幅に削減され続けてきた。この度の補正予算と来年度政府予算原案に盛り込まれた施設整備や基盤整備関係予算は、道内農家の要望をしっかりと受け止めたものとなっているが、この予算をどうみているのか。
高橋知事 本道農業の持続的な発展をはかるためには、安全・安心で良質な農畜産物の安定供給に向けた集出荷・貯蔵施設や生産性の向上に向けた農地の排水対策・ほ場の大区画化などの生産基盤の整備を着実に推進していくことが重要と考えている。
 「15カ月予算」の農業対策予算は、地域からの切実な要望や本道農業の活性化につながっていくものと受け止めている。これらの予算を最大限に活用しながら、地域や農業者が必要としている施設の整備や、計画的な農地などの基盤整備を進め、本道農業の体質強化に一層取り組んでいく。

補正予算は約6割が公共事業

防災・減災、老朽化対策など

 道は、緊急経済対策などを盛り込んだ国の平成24年度補正予算案が閣議決定されたことを受け、総額1501億9700万円の道補正予算案を編成し、2月7日の臨時道議会で可決された。このうち一般会計は1482億7100万円が計上された。
 このうち公共事業費は934億300万円と総額の約6割を占め、防災・減災対策、老朽化対策などに充てる。
 投資的事業は、特別対策事業費が334億1600万円を計上し社会資本整備総合交付金で道路や街路整備を行う。
 施設建設事業費は16億8700万円を計上し、15億8100万円で特別学校の増改築、1億600万円で札幌運転免許試験場耐震改修工事を行う。
 一般施策は、「強い農業づくり事業費」で52億8400万円を計上し、産地競争力や経営力の強化を図るために必要な共同利用施設や農業用機械の導入を支援する。
 原子力防災安全対策費は3億8700万円で、UPZ(緊急時防護措置準備区域)圏域内の簡易サーベイメ―タの整備や代替オフサイトセンター(後志総合振興局)の換気設備や無停電電源装置などを整備。
 このほか、医療施設耐震化臨時特例基金、社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金、地域自殺対策緊急強化基金、森林整備加速化・林業再生基金、安心こども基金などに充てる計160億3200万円を計上した。
 歳入のうち651億1800万円が道債になるが、約8割を国の「地域の元気臨時交付金(仮称)」で肩代わりされる。政府の補正予算案は13 兆1054億円で、このうち北海道開発予算は補正としては過去最大規模の2135億円が計上されている。