●平成23年第2回定例道議会自民党・道民会議代表質問・答弁要旨

自民党・道民会議 遠藤 連 議員

komatsu


災害対策本部の代替施設は道庁別館

 昭和28年福島県河沼郡会津坂下町生まれ。早稲田大学第一文学部中国文学科卒。苫小牧市議(2期目)を経て、平成11年道議会議員に初当選、現在4期目。道議会議会運営委員会委員長、同道州制問題等調査特別委員会副委員長、党道連総務副会長、道議会自民党・道民会議政策審議委員会副委員長、同幹事長、同議員会会長など。

 平成23年第2回定例道議会は6月14日招集され、7月8日まで25日の会期で開かれた。高橋はるみ知事が3期目最初の道政執行方針を述べるとともに、政策予算となる総額2,780億円の一般会計補正予算案などが提出された。自民党・道民会議は遠藤連議員が代表質問に立ち、知事の政治姿勢をはじめ、地震防災計画、プルサーマル計画、HACの安全運航、JR北海道の安全管理、観光対策、医療問題、教育問題などについて、知事、教育長の見解を求めた。

本道の将来をどう描くのか

1、知事の政治姿勢について

(1)道政執行に臨む基本姿勢について
1、基本姿勢に係る現状認識について
遠藤議員 北海道として暮らし方や産業・経済のあり方をどのように考え、将来に向けどのような姿を描いているのか。
高橋知事 それぞれの地域が、個性と活力のある「ふるさと」として発展していくことが何より大切と考えている。自立型の地域経済への転換、地域の人々がともに支え合い、生き生きと暮らすことのできる社会の実現などを目指した政策を重点的に展開する。
 急速に発展するアジアの動向など経済社会の流れを先取りし、成長する世界市場への挑戦、国内外のモデルとなるような環境イノベーション産業の創出といった目標を掲げ、力強い本道経済の実現に向け全力で取り組む。
 わが国の食料供給基地としての役割に加え、産業の分散立地の受け皿や災害時のバックアップ拠点として貢献する、新たな北海道づくりを推進していく。

2、3つの基本姿勢について
遠藤議員 「地域とともに行動する道政」「世界を視野に展開する道政」「果敢に挑戦する道政」の3つの基本姿勢にどのように取り組むのか。
高橋知事 まちおこしや新たな定番商品づくりへの支援、地域活性化プロジェクトチームの推進、小売商業振興のための条例制定など、持続可能な地域経済と活力ある地域社会の実現に向けて、全庁を挙げて取り組む。
 また、上海市への新たな拠点の設置をはじめ、トップセールスを含めた北海道の魅力発信、「ターミナル構想」の推進に努める。さらに、「食産業立国」の推進、森林や水環境の保全といった目標を掲げ、柔軟な発想と行動力で新たなステージに挑戦する「攻めの道政」を推進する。

経済の活性化にどう取り組むか

(2)本道経済への対応について
遠藤議員 本道経済の状況をどう受け止め、どのように活性化に取り組んでいくのか。
高橋知事 大震災の影響に対する的確な対応はもとより、中長期的には本道経済を自立型経済構造に加速的に転換させていくことが必要。今年度は、「食産業立国の推進」「次世代型環境モデルの創造」「グローバル・ネットワークの構築」などを展開する。本道経済の活性化に向けた道筋を明らかにする新たな産業振興ビジョンを年内に策定し、オール北海道で取り組む。

成熟社会の課題にどう対応するのか

(3)成熟社会について
遠藤議員 「成熟社会」とはどのような社会と認識しているのか。どのような課題があり、どう対応するのか。
高橋知事 高齢者がさまざまな世代の人々と支え合い、健康で生きがいを持って暮らすことのできる持続可能な地域を実現することは、社会の成熟化ととらえることができる。今後は、医療や福祉はもとより、産業、環境、まちづくりなどさまざまな分野について自由かっ達な議論を行う「成熟社会総合フォーラム」を設置して、政策提言をもらい、道政運営に反映したい。

バックアップの機能とは何か

(4)バックアップ拠点構想について
遠藤議員 バックアップ拠点構想で、バックアップする機能は何か。どのような方向で、いつまでに検討するのか。
高橋知事 北海道は、政府や企業のデータの保管や、食料などの救援物資の円滑な供給、大規模な立地企業や集団移転の受け入れなど、わが国の大規模災害や産業活動のリスク低減を担う拠点となりうる地域と考えている。本年度末を目途に構想を取りまとめ、必要な施策の推進を国へ提言する。

2、道政上の諸課題について

防災計画作成で何を見直すのか

(1)地震防災計画の見直しについて
1、地震・津波の想定について
遠藤議員 現計画の想定地震には東日本大震災を引き起こした連動型の地震として、釧路・十勝沖の500年間隔地震が含まれている。防災計画の見直し、津波浸水予測図の作成にあたり、どのような規模の地震や津波を想定するのか。
高橋知事 6月1日に道防災会議地震専門委員会を開催し、ワーキンググループを設置してさらなる検討を行うことにした。北海道周辺の地震連動型の巨大地震や規模などについて、できるだけ早期に結論を得るよう検討を進めてもらい、その結果を道地域防災計画の見直しや新たな津波浸水予測図の作成に順次反映させていく。

2、課題について
遠藤議員 地震防災計画の見直しにあたって、どのような課題があると認識しているのか。どのように対応するのか。
高橋知事 沿岸市町村との意見交換会で、避難所の位置や耐震化といった避難所のあり方、避難指示などの住民への情報の伝達手段の確保などが課題として上げられた。課題解決に努め、年度内を目途に順次、地震防災計画の見直しを進める。

大間原発への認識と対応は

(2)原子力防災計画の見直しについて
1、計画の見直しについて
遠藤議員 福島原発事故の経過を踏まえ、防災計画にどのような課題があるのか。
高橋知事 5月24日に初会合を開いた有識者による専門委員会で、情報の早い段階での提供、オフサイトセンターのあり方、事故状況に応じたモニタリング地点の拡大などの課題が挙げられた。今後も専門委員会でさまざまな課題を抽出し、10月を目途に論点整理を行い、国の「原子力防災指針」の策定状況に合わせて、速やかに原子力防災計画を見直す。

2、大間原発について
遠藤議員 道は大間原発について国と電源開発に申し入れを行っているが、道南の市町村では必要性や安全確保などを求める意見が強まっている。知事の認識と今後の対応を伺う。
高橋知事 大間原発は現在、建設工事を中断しているが、住民の気持ちは十分理解している。大間原発に関する情報を入手し、函館市民はもとより広く道民に情報提供を行うなど、道民の安全確保を最優先に対応する。

原発安全宣言にどう対応するか

(3)泊発電所の安全対策について
遠藤議員 海江田経産大臣は「電力会社の安全対策は適切に実施されており、原発の再稼働をお願いする」との安全宣言を行った。この安全宣言をどう受け止め、泊発電所の安全性にどう対応するのか。
高橋知事 道は国へ、地震の影響や浜岡原発と泊発電所の扱いが異なる根拠について更なる説明を求めたが、回答に至っていない。国からの説明を受けた上で、泊1、3号機の取り扱いを含め、道としての対応を検討していく。今後とも泊発電所の安全対策がしっかり講じられるよう、国や北電に強く求める。

MOX燃料挿入は福島の検証結果で

(4)プルサーマル計画について
遠藤議員 MOX燃料については、年明けにも泊発電所に搬入されると聞いているが、燃料を原子炉に挿入するには福島原発の検証結果に基づいた判断が必要だ。それまでは燃料の挿入を認めるべきではない。
高橋知事 原発は何よりも安全性の確保が不可欠。今回の福島原発の事故でMOX燃料がどのように影響したかについて、国の検証結果で問題がないことが確認される必要がある。その検証結果に基づき、適切に対応するよう北電に求める。

被災地廃棄物の処理への対応は

(5)震災被災地の廃棄物処理について
遠藤議員 被災地の廃棄物を地元だけで処理することは困難であり、復興の大きな妨げになっている。このため、他都府県での処理受け入れが検討されており、本道もその対象になっていると伝えられているが、どのように考えるのか。
高橋知事 国から道に対し、岩手県内の木くずや廃プラスチックの処理についての協力の依頼があった。放射性物質の状況確認など、本道の環境への影響についても十分留意する必要があり、関係市町村や企業としっかり相談しながら対処する。

災害時要援護者の支援策の見直しを

(6)福祉避難所について
1、指定の促進について
遠藤議員 道内の福祉避難所の指定状況は、4月末で28市町村、137施設に過ぎない。今後どう取り組むのか。
高橋知事 すべての市町村で指定されることが望ましい。支援策として本年度、「地域づくり総合交付金」のメニューに福祉避難所に必要な器材などの整備を加える。今後の指定状況を見極めながら、市町村に福祉避難所の指定が図られるよう積極的に取り組む。

2、災害時要援護者に対する支援対策マニュアルについて
遠藤議員 平成17年度に作成した「災害時における高齢者・障がい者等に対する支援対策マニュアル」には、福祉避難所に対する国のガイドラインが反映されていないなど、十分とはいえない。早急に見直すべきだ。
高橋知事 平成20年に国から示されたガイドラインの内容を、現段階ではマニュアルに反映できていなかった。国のガイドラインの内容を加えるなどして、8月までに改訂したい。

代替施設をどう具体化するのか

(7)道災害対策本部等の代替施設について
遠藤議員 道は第1回定例会でわが会派の指摘を受けて、災害対策本部などの代替施設について「本庁周辺に最低限運営できるスペースの確保に努める」とした。どう具体化するのか。
高橋知事 道庁別館を災害対策本部となる本庁舎の代替施設として使用する。災害対策本部などの執務室の確保や、非常用電力、通信設備などについて年内を目途に整備を進めたい。

HACに社内改革を求めよ

(8)HACの安全運航について
遠藤議員 今月4日、奥尻空港行きのHAC機が、大惨事につながりかねない事故を発生させた。道はこの事態を深刻に受け止め、安全運航の確保に向けて、HACの社内体制や運航管理体制の改革を求めるべきだ。
高橋知事 職員や乗員の訓練の問題や組織的な情報共有のあり方なども含めて、しっかりとした原因究明を行った上で、再発防止に向け、万全の対策を講じるよう、HACの西村社長に直接要請した。
 7月下旬までの運休することによる収支の影響がどの程度になるのか、現時点では見通すことは難しいが、経営に与える影響は大きく、収支計画の見直しも必要と考えている。HACに対して最大限の経営努力を求める。

公共交通機関の安全管理徹底を

(9)JR北海道などの安全管理について
遠藤議員 JR石勝線のトンネル内の特急列車炎上事故や信号機の故障対応をみても、JR北海道の安全管理には問題がある。JRやバス事業者に安全管理の徹底を求めるべきだ。
高橋知事 これから本格的な観光シーズンを迎える本道には、多くの人が訪れることが期待されている。安全で安心して旅行ができるよう、JRやバス事業者などの公共交通機関には、人命を預かる社会的な責任を自覚し、乗客の安全確保にしっかり取り組むよう申し入れる。

施策の継続が地域を改善する

(10)地域にこだわった施策について
遠藤議員 知事は「地域にこだわる道政」を道政執行の基本姿勢に据え、具体化に取り組んでいる。地域の厳しい状況は、こうした積極的な地域重視の施策の継続があって改善に向かうと考えるが、見解を伺う。
高橋知事 地域経済や雇用の状況などを踏まえ、投資単独事業の確保などに最大限努めるとともに、さまざまな地域振興施策やマンパワーをフルに活用しながら、各振興局を地域づくりの拠点とし、市町村や地域との対話を通じ、「活力ある持続可能な地域づくり」に向け一体となって取り組む。

本道観光の回復にどう取り組むのか

(11)観光対策について
遠藤議員 東日本大震災以降、観光地の入込客や宿泊状況は外国人観光客の大幅な落ち込みもあり、極めて厳しい状況にある。福島原発事故の収束の目途が立たず、観光業界は引き続き厳しい状況に置かれるものと懸念するが、どう対応するのか。
高橋知事 安全・安心な本道観光の的確な情報発信に努めることを基本に、首都圏や中部・関西圏への「クール北海道」のPR、台湾や韓国、中国などへの誘客キャンペーンなど、ターゲットやテーマを明確にした効果的な誘客活動を積極的に展開し、本道観光の早期回復に向けてしっかり取り組む。

人件費の取り扱いをどうするのか

(12)公務員の人件費について
1、国家公務員の給与削減について
遠藤議員 政府は東日本大震災の復興財源に充てるため、国家公務員の給与削減とそれに伴う地方交付税を削減する考えを示した。道財政が厳しい状況でも、本道経済の活性化を通じて道民生活を支える施策が求められる中、交付税の削減は断じて認められない。
高橋知事 地方交付税は地方固有の財源であり、国家公務員の給与減額措置に連動した削減があってはならない。地方交付税の更なる削減は、道の財政運営に著しい支障をきたしかねないことからも容認できない。全国知事会などと連携し、地方の意見を国へ主張していく。

2、道の人件費について
遠藤議員 道の収支見通しでは、職員給与の縮減を今年度までとしていることから、人件費は来年度約240億円増加すると見込まれている。来年度以降の人件費の取り扱いについてどのように考えているのか。
高橋知事 今後、来年度以降の収支対策について、歳入・歳出全般にわたり、さまざまな視点から検討を進める。人件費の取り扱いも、これまでの経緯などを踏まえながら対処する。

札医大の整備は加速の必要あり

(13)札幌医科大学の施設整備について
遠藤議員 知事は公約で札医大の施設整備に着手する旨を明らかにしている。任期中に実現するためには、今後の取り組みを加速する必要があるが、今年度の取り組みを伺う。
高橋知事 医師不足の課題解消と教育・研究環境の向上に向け、今年度は新たに整備する施設の具体的な機能や内容を盛り込んだ整備構想を策定する。地域医療を支える医療人を育成することは、道政で最優先に取り組む課題と認識している。施設整備に向けて、現地改築を基本に、スピード感を持って具体的な取り組みを進める。

エゾシカ対策で条例の制定を

(14)エゾシカ対策について
遠藤議員 エゾシカの生息数は目標を大きく上回った水準で経過し、被害は今や「災害」とまで言われる深刻な状況だ。保護管理計画だけにとどまらず、「エゾシカの保護及び管理に関する条例」を制定すべきだ。
高橋知事 生息数の増加に歯止めがかからず、農業被害額が50億円に達するなど大変厳しい状況。来年度からの次期保護管理計画の策定に向け、実効性のある内容となるよう見直し作業を行う。国が検討を進めている「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」などの改正内容や時期を踏まえ、道民や有識者の意見を聞きながら、条例の制定に向け前向きに取り組む。

がん対策条例をどう推進させるか

(15)がん対策条例について
遠藤議員 道内の患者やその家族で構成する団体などからは、条例の1日も早い制定を願う強い声が寄せられている。どのように取り進めようとするのか。
高橋知事 道民とともに「がん」に立ち向かい、安全、安心をしっかり確保するため、医療機関、がん患者団体など幅広く関係者の意見を聞きながら、今年度中を目途に条例を制定し、適切な予防や治療を提供できる体制の整備に努める。

ドクタージェット導入の進め方は

(16)ドクタージェットについて
遠藤議員 知事は今後策定する地域医療再生計画の中で、ドクタージェットの導入を十分検討する考えを示したが、どのように取り組むのか。
高橋知事 面積が広大で、医療資源の偏在が著しい本道で、ドクタージェットに対する期待は高い。地域医療再生計画案に、北海道航空医療ネットワーク研究会が実施する研究運航事業を盛り込み、冬期も含めた運航期間を設定するなど、平成25年度までの3年間、道も参画して具体的な検証作業を行う。

介護保険改善にどう取り組むか

(17)介護保険制度について
遠藤議員 わが会派が実施したアンケート結果を、道政に反映するとともに国へ強く働きかけるように要望したが、どのように取り組むのか。
多田副知事 アンケート結果で介護職員の給与が低い、認知症高齢者の支援体制の充実が必要、相談支援体制や地域のネットワーク化が必要などの課題が明らかになった。国に対して必要な制度の改善要望を行うとともに、平成24年度から第5期の「北海道高齢者保健福祉計画・介護保険事業支援計画」を策定する中で、必要な体制整備などについて十分に検討したい。

青少年の薬物使用の状況は

(18)薬物乱用に関する青少年意識調査について
遠藤議員 薬物を入手できると考える青少年の割合や、購入・使用を誘われた体験を持つ者の割合はどのような状況なのか。
高橋知事 昨年12月から本年1月にかけて道内の大学、短大の学生など約7,300人を対象に意識調査を実施した。その結果、「簡単に手に入る」「なんとか手に入る」と考えている学生は68%、「勧められた経験がある」と4%が回答している。危機意識を強く持っており、薬物乱用防止推進本部で所持・使用は犯罪であるとの認識の徹底や、監視・取り締まりの強化策など早急に協議するなど、実効性のある対策に全力で取り組む。

厳しい農業予算をどう受け止めるか

(19)農業問題について
1、農業農村整備事業について
遠藤議員 本年度の国費予算は、道内農家が要望した305億円に対し217億円にとどまったことは誠に遺憾だ。知事はどう受け止め、本道の農地整備をどのように進めるのか。
高橋知事 計画的な整備に支障が生じる厳しい結果で、地域のことを考えると大変残念なことと思う。食料の安定供給の重要性が高まっている中、本道がその役割を一層果たしていくためには、農地整備をはじめとした生産基盤整備の推進が重要であり、国に対して強く予算の確保を働きかけていく。

2、雹害対策について
遠藤議員 6月上旬に十勝、オホーツク管内などに降った雹や大雨は農作物に大きな被害を及ぼし、特にオホーツク管内ではたまねぎやてん菜などの被害が深刻だった。この状況をどう認識し、対応を進めているのか。
高橋知事 たまねぎやてん菜など4,000ヘクタールを超える農作物の茎や葉に損傷が生じ、他の作物に転換せざるを得ないほ場もあった。被害の実情に応じた技術面の指導や、経営の安定に向けた対策に万全を期し、農業者の今後の営農に支障をきたすことのないように取り組む。

森林法の改正で市町村と連携を

(20)改正森林法への対応について
遠藤議員 改正森林法が平成24年4月1日から施行される。主な改正点は所有者が特定できない森林であっても、市町村長が手順を踏むことで、間伐など必要な森林施業を代行できるようになったなどだ。今年度中に市町村としっかりした連携体制を整える必要があるが、どのように進めるのか。
高橋知事 改正内容はこれまで道と道議会が連携して国へ強く要望してきたものだ。適切に制度を運用できるよう、各振興局に設置している推進会議で協議を進めており、しっかりした支援体制を構築していく。

本道の航空網の維持に懸念

(21)国による航空運営のあり方検討について
遠藤議員 国が設置した空港運営のあり方に関する検討会では、経営の上下一体化や民間への経営委託・民営化などについてさまざまな意見が出ており、航空ネットワークの維持に懸念がある。これまでの検討状況をどう受けとめているか。
高橋知事 道内空港のほとんどが赤字だが、広大な北海道で空港は必要不可欠という現状を踏まえ、これまでも説明してきた。7月の目途とされている検討の取りまとめに向け、全国知事会とも連携しながら、地方の立場からしっかり意見を述べる。

目標指標を見直すべきだ

3、教育問題について

(1)ふるさと教育について
遠藤議員 大震災被災地では子どもたちも「必ず以前のようなふるさとを取り戻したい」と語っており、ふるさとへの強い愛着心が復興の原動力になる。ふるさと教育の充実に関する目標指標の設定を見直すべきだ。
高橋教育長 今年度の教育行政執行方針で「郷土を愛し、発展させていこうとする気持ちを育む」ことを改めて重点政策として掲げた。平成25年度からスタートする道教育推進計画後期計画の策定に向けた作業を本年度後半から始める。その中でより的確に把握できるような指標の設定について検討する。

国歌斉唱の学校は十分とは言えない

(2)国旗・国歌の指導について
遠藤議員 最高裁は卒業式などでの国歌斉唱の際、教職員に対し起立を命じた校長の職務命令は合憲・有効という判決を下した。国歌斉唱に関しては、依然として十分とは言えない学校が多く見受けられるが、どう指導の徹底を図るのか。
高橋教育長 最高裁の3つの判決は、道教委が指導してきた考え方に沿う。国歌斉唱については、この春の入学式でも、十分に斉唱されていない学校も見られた。今後とも、市町村教育委と連携し、指導状況を調査するとともに、十分に歌唱されていない学校に対し、重点的に学校訪問を行うなど、国歌の指導が適切に行われるよう取り組む。

保護者や地域に学テ結果の公表を

(3)学力向上対策について
1、学力テストの実施について
遠藤議員 各学校が過去4回のテスト結果と比較し、指導の改善に役立てることができるように、すべての学校が参加して実施すべきだ。わが会派は、保護者や地域に対してテスト結果を公表するよう主張してきたが、今年度はどう対応するのか。
高橋教育長 平成23年度当初に参加予定のすべての市町村に、調査の実施を改めて働きかけるとともに、道で採点・集計・分析などを行う準備を進める。調査結果の公表については、改めて時期や内容などについて検討する必要があり、引き続き市町村教育委と協議を進める。

2、指導力の向上について
遠藤議員 教育長は平成26年度の全国学力テストまでに、本道の子どもたちの学力を「全国平均以上」にするという大きな目標を掲げている。教員の指導力向上を図るために、校内研修の充実、巡回指導員の確保、道教育大との連携、付属小中学校との授業実践交流などの取り組みを進めるべきだ。
高橋教育長 巡回指導員については、本年度は29人から62人に拡充した。模擬授業や相互に評価を行う研修会を開催して成果を地域の先生に還元する取り組みも進めている。道教育大とは授業の実践交流などの研修機会をどう充実させるか、早急に協議したい。

申し入れに対して返答のない北教組

(4)北教組の活動について
遠藤議員 わが会派はこれまで、北教組の定期大会議案書や内部文書を示しながら、違法な教員の政治活動や正常な学校運営を阻害している職場闘争の実態を指摘し、事実に反する内容の即時訂正を求めてきた。道教委の面談や文書回答の申し入れに対し、今日まで北教組からは何の返答もないようだが、この対応をどう受け止めているのか。
高橋教育長 北教組へは昨年11月に強く申し入れをし、同12月と本年3月に文書で回答を求めたが、現在まで回答がない状況であり、大変遺憾だ。今年度の定期大会議案書で、これまで指摘して時候が是正されているかなど内容をよく確認し、事実と異なる記載がある場合は、改めて抗議するとともに、強く是正を求める。

■ 自民党・道民会議の一般質問項目 ■

□笠井 龍司議員(釧路市)
 一、エゾシカ対策について
 一、北海道観光の推進体制等について
 一、北海道における港湾施策について

□佐藤 禎洋議員(小樽市)
 一、東日本大震災の影響に対する中小企業などへの対応について
 一、泊発電所の周辺対策などについて
 一、観光振興について

□中野 秀敏議員(名寄市)
 一、農業者戸別所得補償制度について
 一、地域医療について
 一、児童生徒の心の健康対策について

□三好 雅議員(宗谷管内)
 一、移住・交流対策について
 一、若年性認知症対策について
 一、交通安全対策について
 一、学校の耐震化について

□野原 薫議員(北広島市)
 一、東日本大震災による本道観光への影響と対策について
 一、本道の農水産物等の安全性の確保について

□吉川 隆雅議員(札幌市北区)
 一、新エネルギー政策について
 一、発電コストについて
 一、津波浸水による防災対策について
 一、北東アジアターミナル構想について
 一、地域経済の活性化について
 一、コンテンツ産業振興について

□堀井  学議員(登別市)
 一、重点政策の推進について
 一、エネルギー政策について
 一、震災の影響による観光地対策について
 一、防災・危機管理対策の強化などについて
 一、観光振興について
 一、防災教育について
 一、北海道の農業政策について

□中司 哲雄議員(根室管内)
 一、北海道独立論について
 一、再生可能エネルギーについて
 一、ペーパーレスの推進について
 一、観光の風評被害について
 一、学力向上の具体策について

□藤沢 澄雄議員(日高管内)
 一、エゾシカ対策について
 一、集落対策について
 一、教科書問題について
 一、教職員の服務規律などについて

□高木 宏壽議員(札幌市豊平区)
 一、道内企業の海外展開支援について
 一、航空行政について
 一、夕張支援について
 一、学校給食の安全対策について
 一、北教組問題について

□中村 裕之議員(後志管内)
 一、原発問題について
 一、防災対策について
 一、被災地支援について
 一、交通問題について
 一、地域医療の確保について