●平成23年第1回臨時道議会 自民党・道民会議一般質問

自民党・道民会議 藤沢 澄雄 議員

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臨時道議会で震災経費を可決

漁業被害対策など約23億円

 東北地方太平洋沖地震の緊急対策を審議する平成23年第1回臨時道議会が3月30日開かれ、総額23億1,900万円の補正予算案と被災地住民の安全確保や復興支援に全力を尽くすことを求める意見書案を可決した。知事選期間中に道議会が招集されるのは初めて。

 自民党・道民会議は藤沢澄雄議員(日高管内)が質問に立ち、水産被害対策、中小企業対策、道外被災者の受け入れ、原発施設の安全性などについて、知事の見解を求めた。

 【主な予算】▽漁家経済振興対策事業費 3,800万円▽漁港整備事業費 5,000万円▽漁港災害復旧事業費 7億円▽社会福祉事業費 3億6,000万円▽生徒指導・学校保健費 4,200万円▽保健所管理費 1,800万円▽道外被災地支援保健医療スタッフ派遣費 3,300万円▽道外被災県緊急支援費 5億円

【質疑要旨】

1、水産業被害対策について

(1)漁船及び養殖施設の被害対策について
藤沢議員 今回の津波によって養殖施設も16の漁協で165億円に上る大きな被害を受けた。復旧・復興に向け道だけで対応できるものではなく、国へ働きかけるべきだ。
高橋知事 激甚災害などの既存制度だけでは十分に対応できない。国へ養殖施設に対する支援など制度の弾力的な運用や、融資制度で対応してきた大型漁船に対する新たな支援制度の創設などについて提案を行う。

(2)養殖業の復興について
藤沢議員 本道のホタテガイやカキなどの養殖業の復興に向けて、道として積極的に取り組むべきだ。
高橋知事 カキの養殖については、全道の生産地が宮城県から多くの種苗を受けており、今後の漁業生産や地域経済に大きな影響があると懸念している。ホタテは道内で生産されている種苗を、被害のあった噴火湾地域へ供給するための調整を行う。生産から流通にわたる対策を適切に講じ、本道養殖業の復興に向けてしっかり取り組む。

2、中小企業対策について

(1)資金融資について
藤沢議員 わが会派は中小企業の資金需要に対して、資金要件の緩和など早急な支援を求めている。地震災害を原因として間接的に生じる資金需要にも対応すべきだ。
高橋知事 融資対象や融資限度額を拡大した低利の特別貸付を3月28日に創設し、資金繰りを支援することにした。

(2)原材料の供給について
藤沢議員 原材料等の供給量や供給時期などの情報についても、価格動向に併せて提供すべきだ。
高橋知事 道が新たに設置した国や経済団体で構成する地震災害対策連絡会議の場などで、情報交換や情報の共有化を図る。

3、道外被災者の受け入れなどについて

(1)被災者の受け入れについて
藤沢議員 予算案では受け入れる被災者の見込みを1万人としているが、わが会派は3万人の受け入れを申し入れた。受け入れ数、受け入れ時期についてはできる限り対応すべきだ。
高橋知事 道外被災地に対する支援関連予算をフル活用し、本道への一時的、中長期的な受け入れについて、今後とも被災地へ積極的な情報提供を行うとともに、現地からの要請に最大限応える。

(2)受け入れ被災者の支援体制について
藤沢議員 受け入れた人の見知らぬ土地での生活を支援するため、道は振興局を窓口とし、現地での支援体制を整備すべきだ。
高橋知事 すでに道内には福島県を中心に、現時点で400人を超える方々が被災地から避難している。各振興局に相談窓口を設置するなどきめ細やかな支援体制を整える。

(3)医療・介護などの支援について
藤沢議員 避難している高齢者や障害者の中には、医療や介護などを必要な人が数多くいる。支援の手を差し伸べるべきだ。
高橋知事 医療・保健・福祉に関する専門家の派遣はもとより、医療を必要とする被災者や障害者・高齢者など要介護者の受け入れに向けて、被災県などと連携しながら、積極的に対応する。

4、原子力発電施設の安全性について

藤沢議員 津波水位が福島第一原発と同規模の14メートルに達するならば、泊原発も被害は免れない。安全性や避難のあり方などを見直す必要がある。
高橋知事 直ちに北電に対し泊発電所の安全について改めて求めた。北電では想定を超える津波への当面の対応として、移動発電機車の配置、建屋の浸水対策の強化などの検討を進めている。道もさまざまな角度から検証を行い、原子力防災計画の見直しを進める。

5、今後の対応について

(1)被災地への支援などについて
藤沢議員 東北各県への緊急支援をはじめ、復旧・復興への支援についても、前例にとらわれずに対応していく必要がある。
高橋知事 道外被災県への支援については、これまでの医療・保健などの分野に加え、さらに避難所の支援や連絡調整に当たる職員を派遣する。今後とも、物的・人的支援の拡充を図り、復興・復旧に向けた最大限の取り組みを進める。

(2)市町村の取り組みへの支援について
藤沢議員 わが会派は地域づくり総合交付金に特別枠を設けるなどして支援するよう求めているが見解を伺う。
高橋知事 道内の復興に取り組む市町村に対しては、要望の取りまとめを行い、地域づくり総合交付金について必要な予算を確保する。

(3)農畜産物への対応について
藤沢議員 原発事故による農畜産物の供給への影響が懸念される。どのように対応するのか。
高橋知事 泊発電所周辺地域22カ所に加え、全総合振興局・振興局での定点調査を新たに始め、測定結果を道のホームページで公表している。国に対して、適切な風評被害防止対策を求めていくとともに、安全で安心な農畜産物を全国に安定的に供給していくように努め、わが国最大の食料供給基地としての役割を果たす。