●平成22年第3回定例道議会自民党・道民会議代表質問・答弁要旨

自民党・道民会議 小野寺 秀 議員

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高橋知事が道営競馬存続の意向を表明

 昭和38年帯広市生まれ。小樽商大商学部卒業。帯広青年会議所理事長、日本青年会議所北海道地区協議会会長などを経て、平成15年道議会議員初当選。2期目。現在、道議会食と観光対策特別委員会理事、党道連組織副委員長、同政調筆頭副会長。

 平成22年第3回定例道議会は9月14日招集され、10月8日までの25日間の日程で総額172億6,200万円の一般会計補正予算案などを審議した。自民党・道民会議は小野寺秀議員が代表質問に立ち、菅内閣の政策をはじめ、大雨災害への対応、景気対策、HAC問題、エゾシカ対策、高齢者・障害者対策、農業問題などを取り上げ、知事の見解をただした。また、教育問題では北教組の活動を質問し、校外研修、機関紙、大会議案書、服務規律調査などについて知事、教育長の見解を求めた。

行く末誤る政策コンテスト

1、知事の政治姿勢について

(1)政策コンテストについて
小野寺議員 政府は来年度予算の概算要求にあたり、1兆円を超える規模の特別枠を設け、「政策コンテスト」を実施した上で配分を決めるとしている。本来の政治主導の趣旨とは異なるものであり、国の行く末を誤りかねない。

高橋知事 北海道開発予算は農業農村整備事業98億円を含む587億円が特別枠による要望。配分に当たっては地域の実情や意見を十分把握し、政府が責任を持って判断することが重要だ。必要な予算が確保されるよう、全力で取り組む。

地方参政権は反対すべきだ

(2)永住外国人への地方参政権の付与について
小野寺議員 地方公共団体は安全保障や教育など国家の存立にかかわる事柄に深く関与しており、結果として国政にも影響を及ぼしかねない。永住外国人に対する地方政治への発言権は認めるべきではない。

高橋知事 私自身は慎重な立場。全国知事会でも議論されたが、立法措置であるから国会で決めれば良いということではない。国・地方全体で十分に議論を尽くしていくことが何よりも大切であると意見を述べた。

夫婦別姓は社会の安定を脅かす

(3)夫婦別姓について
小野寺議員 民主党は選択的夫婦別姓を含む民法改正を行うとしているが、国民世論となっていない。家族の絆を損ない、社会の安定をおびやかす夫婦別姓を認めるべきではない。

高橋知事 この制度については、婚姻制度や家族のあり方をはじめ、将来の社会制度や国民生活の大きな影響を与える重要な問題であり、広く国民の間で十分論議を深めるなど、慎重な対応が必要と考えている。

危機管理全体の見直しを

2、道政上の諸課題について

(1)大雨災害への対応などについて
1、道道の一斉点検について
小野寺議員 8月23日からの大雨で、天人峡美瑛線・旭川旭岳温泉線で4人が死傷する事態が発生した。直ちに道道の一斉点検を行うべきだ。

高橋知事 今回の被災状況も踏まえ、急流河川と近接した道路などについて、緊急に点検を行い、対策を検討していく。

2、民間事業者との協議について
小野寺議員 道職員とパトロール業務の委託業者との連携強化や協力体制を築くため、関係者による連絡会議を設けてはどうか。

高橋知事 今後、出張所ごとにパトロール委託業者と提案のような連絡会議を早急に開催し、気象情報の共有やパトロール体制の確認を行うなど、防災体制の強化に努める。

3、非常配備体制について
小野寺議員 道は初期の非常配備体制を原則複数体制にすると当面の対応策を示した。特定の職員にかたよることのないように、速やかに体制を整備するべきだ。

高橋知事 上川総合振興局管内の道路災害が、当番管理職が1名体制であったことから、道路パトロールや通行規制が行われなかったことを踏まえ、原則複数体制を基本にする。初動においても一般管理職を含めた複数体制にするなど、防災体制の強化に努める。

4、災害対応訓練について
小野寺議員 上川のほか3カ所の建設管理部でも災害対応訓練が未だに実施されていないと聞く。訓練の遅れについてどう受け止めているのか。

高橋知事 今後、速やかに実施するように指示したが、遅れについては重く受け止めている。来年度以降は、人事異動後速やかに防災訓練を実施するなど、防災体制の一層の強化に努める。

5、道の責任について
小野寺議員 道が認めたところに限っても、職員個々の対応、防災体制に不備がある。道としての責任をどう考えているのか。

高橋知事 今回の災害に対する初動対応が遅れ、道の防災体制が十分機能していなかったことを深く反省し、道民におわびする。現在、事実関係や事故原因などを確認しており、これらの状況を見極めた上で、道の責任の所在を明らかにし、厳正に対処する。

6、危機管理について
小野寺議員 道はこの度の大雨災害を検証し、危機管理マニュアルを含め危機管理全体を見直すべきだ。

高橋知事 各部・各振興局の防災体制について点検検査を行っている。この結果を踏まえて防災体制を検討するため庁内に「北海道防災体制検証チーム」を設置した。さらに、河川や砂防工学の専門家で構成する「調査委員会」を設置して、調査・検証する。危機管理体制や危機管理マニュアルなどを見直し、危機管理の強化に努める。

森林所有者の特定・注視を

(2)水資源の保全・活用について
1、道の対応について
小野寺議員 本道は日本全体の4分の1の森林がある。道民の財産である森林や水源を守るため、道は危機意識を持ち、迅速に対応すべきだ。また、早急に水源や地下水脈などの調査を行うべきだ。

高橋知事 庁内の横断組織である「北海道土地・水対策連絡協議会」の下で、森林や水源、水道用水、農業用水の把握を行っている。所在地が海外となっている企業が取得した森林にかかわる水源や地下水脈などの状況について速やかに調査したい。

2、森林所有権の把握について
小野寺議員 自衛隊基地や警察署など国民保護計画を遂行する上で欠かせない関係機関の周辺の森林については、一刻も早く所有者を特定し、今後の動向についても注視する必要がある。

高橋知事 自衛隊基地や警察署などの周辺森林の所有目的や利用目的を的確に把握することは、地域住民の安全・安心を確保するという危機管理の観点からも重要。速やかに海外資本などの所有者情報を把握するとともに、森林売買の動向に注視する。

3、国への働きかけについて
小野寺議員 中国の国防動員法により、本道に点在する中国企業、中国人の所有する森林すべては、中国政府の管理下におかれる可能性を秘めている。このような事態にならぬよう、国へ強く働きかけるべきだ。

高橋知事 調査中の道内の森林の所有実態をしっかりと踏まえ、関係機関に情報提供するとともに、課題を整理して国への要望について早急に検討する。

道内外の経済状況へどう対応するか

(3)景気経済対策について
小野寺議員 道内経済は依然として厳しい状況にあり、有効求人倍率も低迷したままだ。道内外の経済状況をどう受け止め、対応するのか。

高橋知事 全国の経済状況は、最近では急速な円高が進み、雇用情勢も悪化が懸念されている。本道も公共工事の減少や有効求人倍率の低迷など依然として厳しい経済・雇用状況が続いている。本定例会に補正予算を計上した具体的な施策の早期実施を強く求めるなど、本道の景気・経済の回復に向けてスピード感をもって全力で取り組む。

JALへの支払いは納得できない

(4)HAC問題について
1、減増資について
小野寺議員 道の考え方で仮に四億円を増資すると、JALは持株比率を14.9%に下げるために株式を譲渡することになり、JALに1億円支払わなくてはならない。なぜこのような減増資の方法をとるのか。

高橋知事 HACは5期連続の赤字決算で、約2億円の累積欠損を計上していることから、筆頭株主のJALに減資や14%程度の出資比率の引き下げに伴う、経営責任を明らかにするように申し入れた。JAL側と具体的な協議を行い、できるだけ早期に結論を得たい。

2、札幌市の出資割合などについて
小野寺議員 札幌市とは出資割合、支援などについて協議を重ねているが、現状と今後の方針を伺う。

高橋知事 協議ではHACへの出資比率、移転に伴う設備投資などに対する支援、丘珠空港ビルの賃料などが論点になっている。必要な支援・協力についてできるだけ早期に結論が得られるよう、鋭意協議を進める。

地域経済に与える影響を懸念

(5)高速道路の無料化について
小野寺議員 高速道路の無料化実験後、道内では並行する一般道路の通行量が1割強減少し、商業施設やJRなどの利用客は大きく減ったと伝えられている。地域経済に与える影響が懸念されるが、市町村と連携して実態を把握し、国へ意見を述べるべきだ。

高橋知事 沿線自治体からは、深刻な影響を受ける地域経済への対策を求める要望が出されるなど、さまざまな影響がある。実態を調査し、必要な対策について沿線自治体や交通事業者などと連携しながら、国へ強く対応を求める。

事態の打開に向けどう取り組むのか

(6)北海道新幹線の札幌延伸について
小野寺議員 函館市は、現函館駅〜新函館駅のアクセスが確保されない限り、並行在来線の経営分離に同意できないとしている。これからの函館市とJRの協議に向けて、道には、この区間の需要予測に関与するなど、事態打開への対応が求められる。

高橋知事 札幌延伸を実現する上で、運営主体となるJRや在来平行線の経営分離に対する沿線自治体の同意は、着工認可に当たっての基本条件になっている。今後、両駅間の需要予測の結果を踏まえながら、アクセスに関する協議を進める中で、早期解決に向けて全力で取り組む。

道のガイドラインを定めるべきだ

(7)個人情報保護について
小野寺議員 個人情報保護法の全面施行から5年を経過したが、首を傾げざるを得ない事案を耳にする。道や市町村における情報保護の過剰反応の実態を調査し、制度の目的が達成されるように、道としてガイドラインを定めるべきだ。

高橋知事 必要とされる個人情報の提供を控え、各種名簿の作成が中止されるなど、「過剰反応」と言われる状況も一部に見られる。個人情報保護の運用状況を調査し、制度の運用についてQ&A形式で整理したものを年度内に作成する。

実効性のある駆除対策が必要

(8)エゾシカ対策について
1、駆除対策について
小野寺議員 エゾシカによる昨年度の農業被害は、これまで最高だった平成8年に並ぶ50億円に達し、極めて深刻な事態にある。全道の生息状況の的確な把握に努め、実効性のある駆除対策を進めることが必要だ。

高橋知事 本年度は「地域づくり総合交付金」を活用して、市町村が実施する有害鳥獣捕獲に要する経費を支援するとともに、全道の「越冬地における生息状況の調査」を行う。来年度以降は狩猟者の経済的負担の軽減策を検討するなど、エゾシカの増加を早急に食い止めるよう、スピード感を持って取り組む。

2、関係機関との連携について
小野寺議員 エゾシカが国有林の入林禁止区域に逃げ込むと駆除できない。北海道森林管理局と十分な協議を進めるべきだ。

高橋知事 北海道森林管理局は通称「エゾシカ包囲網会議」に参加しており、積極的に協力するとの方針が表明されている。陸上自衛隊北部方面総監部とは具体的事業内容を協議しており、11月を目途にまとめる。

3、被害防止策について
小野寺議員 40市町村が国の財政支援措置の前提になる被害防止計画を策定していない。道は速やかな計画策定を指導すべきだ。今年度、道内34地区から要望があったハード事業のうち採択は10地区。残り地区の事業費は12億円に上り、市町村単独での実施は困難。国へ対策充実を強く求めるべきだ。

高橋知事 地域の被害防止対策を進めるには、国の支援制度を積極的に活用することが重要。積極的に指導、助言に努め、本年度の事業未採択地区の整備を、国へ積極的に働きかける。

協会は抜本的な立て直しが必要

(9)アイヌ政策について
1、アイヌ協会の責任等について
小野寺議員 先の環境生活委員会でアイヌ協会の役員も関与した補助事業の不適切な執行が報告されたが、どう対応するのか。数々の問題が発生する原因と責任の所在はどこにあるのか。

高橋知事 この度の不適切事案を踏まえ、総検証に取り組む必要があると考えている。協会と協会役員の責任については、社会通念に照らし、協会において適切に判断されるべきだ。

2、アイヌ協会の今後の体制について
小野寺議員 多くの支部や本部で行われていた架空請求などの不適切な処理は、協会の組織そのものに問題があったと考える。早急に抜本的な立て直しを行う必要がある。

高橋知事 外部委員を含めた「協会組織のあり方等検討委員会」を設置し、再発防止や組織の機能改善・強化などを検討している。道も検討委員会に参画し、アイヌ協会が道民の信頼を得られるように強く指導する。

65歳以上高齢者の状況の把握を

(10)高齢者・障害者対策について
1、老老介護について
小野寺議員 実態調査を踏まえ、老老介護対策にどのように取り組むのか。

高橋知事 今年度、外部の有識者を交えた検討会を設置し、市町村で実施する地域包括ケア推進モデル事業の成果や、実態調査も踏まえながら、老老介護の支援方策や地域包括ケアのあり方を検討する。

2、高齢者の所在確認について
小野寺議員 総務省は各都道府県に対し、必要な場合は100歳以上の高齢者の状況を踏まえた調査を行い、住民基本台帳の正確性を確保するよう通知した。この機会に、道は65歳以上の状況について把握すべきだ。

高橋知事 市町村の調査の実施にあたって、特に65歳以上の高齢者の確認状況などの実態について、速やかに把握した上で、住民に関する市町村の記録の管理が適正に行われるように、適切に助言・指導を行う。

3、障がい者条例について
小野寺議員 北海道障がい者条例が本格施行され、「地域づくり」「地域生活移行」を担うコーディネーター制度が高く評価されている。本道が全国に先駆けて「施設から地域へ」「暮らしやすい地域支援体制づくり」という取り組みを進めるために、その機能強化を図るべきだ。

高橋知事 条例に基づき設置している「地域づくり推進本部」で学識経験者の意見も聞きながら、1人のコーディネーターが「地域生活支援」「地域づくり」の2つの機能を一体的、効果的に担えるよう、コーディネーターを統合するなど機能強化に向けて検討する。

環境産業は戦略的に育成・振興を

(11)環境産業の振興について
小野寺議員 成長可能性の大きい環境産業の振興に向けた取り組みを一層加速し、本道経済活性化の起爆剤とすることが重要だ。道は環境産業の戦略的な育成、振興を図っていくべきだ。

高橋知事 寒冷地住宅といった「国際的な市場競争力のある産業分野の育成」、バイオマスや雪氷エネルギーなどの「地域資源を活かした産業の創出」など重点分野の設定と育成、NPOをはじめ多様な主体の参加による仕組みづくりについて、新たに「環境産業振興戦略」を策定し、積極的な取り組みを進める。

概算要求に農家からは落胆の声

(12)農業問題について
1、農業の戸別所得補償制度につて
小野寺議員 政府は来年度から畑作六品目も戸別所得補償制度の対象にするとしている。収穫量が多いほど補償額が増える「数量払」の比率が高められた結果、品質は落ちても収量の多いものが優先されることになれば、北海道ブランドへの信頼が失われかねない。このような制度をどう受け止めているのか。

高橋知事 農業経営などへのシミュレーションや地域の要望・意見の取りまとめなどを行い、基本的な予算の一部が政策コンテストで配分されるという厳しい状況なども踏まえ、国へ予算の確保や制度の具体的な内容など、北海道としての提案・要望を積極的に行う。

2、農業基盤整備について
1)国の概算要求について
小野寺議員 農水省の来年度概算要求で、農業農村整備事業予算は6割カットされた今年度に比べて12%増だが、平成21年度当初予算の5割程度で、農家からは落胆の声が寄せられている。知事は概算要求をどう受け止めているのか。

高橋知事 補助金、交付金を合わせた公共の農業農村整備予算としては、道要望の307億円、前年度比150%に対し明らかに不足している。排水対策など地域から多く寄せられている整備要望に応えるためには十分でないと認識している。

2)今後の対応について
小野寺議員 来年度の必要な予算確保に向けどう対応するのか。今後の農業農村整備に向けて農業農村整備をどう進めるのか。

高橋知事 特別枠要望を含む総予算の確保や新規事業の本道への優先配分などを、国に強く働きかける。今後の進め方については、これまでの事業実施による農作物の収量・品質や生産性向上などの効果を十分検証し、農地整備や用排水施設の保全整備が円滑に進められるよう、効果的なあり方を検討する。

3、道営競馬について
1)地域への貢献について
小野寺議員 本道はわが国最大の競走馬馬産地として数々の名馬を輩出し、地域経済に及ぼす効果は600億円にも上るとされ、現在は中国などへの軽種馬輸出を目指している。このことをどう受け止めているのか。

高橋知事 ホッカイドウ競馬は日高、胆振にとどまらず、道内の様々な経済活動と密接に結びついており、地域経済に極めて大きな役割を果たしている。

2)存続への判断について
小野寺議員 「北海道競馬改革ビジョン」の最終年度の今年は収支均衡が図られるような売り上げを確保する健闘を見せている。関係者からは存続について早期の判断を求める強い声が寄せられているが見解を伺う。

高橋知事 様々な競馬改革の取り組みから、収支均衡を見通せる段階まできたことについて、前向きに受け止めている。環境は依然厳しいが、ホッカイドウ競馬は軽種馬産地の活性化について不可欠な事業であり、将来にわたって安定的に継続していくことが重要。今定例会を目途に馬産地振興の観点からも最終的に判断する。

新制度の効果的運用でトド駆除

(13)水産問題について
小野寺議員 トドの捕獲枠について、国は今年度から5年間を単位とする「ブロック・クォーター制」に改めた。新しい仕組みを効果的に運用し、漁業被害の防止を図るためにどう取り組むのか。

高橋知事 トドの来遊数が増加した場に迅速な対応ができるよう、実績のあるハンターを地域間で相互に派遣できる体制づくりや、狩猟の許可を取得する漁業者の育成など、既存の各種支援制度の活用を検討しながら、新しい仕組みでの効果的な運用を図る。

不在村所有者に実行ある対策を

(14)森林政策について
1、森林管理・環境保全直接支払制度について
小野寺議員 国は来年度から施業の集約化を図り、森林経営に意欲的に取り組む者を直接支援する直接払制度の導入を予定しているが、この制度にどう取り組むのか。

高橋知事 植林に対する支援の仕組みが明らかになっていないなどの課題もあり、制度が本道の実情にあったものになるように、引き続き国へ働きかける。

2、不在村所有者対策について
小野寺議員 道の調査では平成20年度末で不在村所有者の所有する森林面積は、道内の私有林155万ヘクタールの半数を超える86万ヘクタールに及び、そのうち11万ヘクタールは放置状態に置かれている。条例などで実効性のある対応策を講じる必要がある。

高橋知事 道として、所有者が不明の森林でも道や市町村の施業の代行が可能になるよう、必要な法制度の整備を国へ要望するとともに、実効性のある対応を検討する。

3、カーボン・オフセットの活用について
小野寺議員 道は昨年度から森林バイオマスエネルギーの利用を対象にしたカーボン・オフセット事業をモデル的に実施している。地球温暖化防止や地域振興を図る上からも積極的に推進すべきであり、道の事業に森林による二酸化炭素の吸収量を組み入れてはどうか。

高橋知事 制度設計委員会でモデル事業の検証と併せ、植林や間伐による二酸化炭素の吸収量も来年度から事業の対象にすることで検討を進め、道独自のカーボン・オフセットを活用した森林整備の仕組みを構築する。

学テの結果公表は不十分

3、教育問題について

(1)学力向上対策について
1、学力テストの結果について
小野寺議員 本年度の全国学力テストの結果についてどのように受け止めているのか。さまざまな対策が進まない原因はどこにあると考えているのか。

高橋教育長 平均正答率は小・中学校とも依然として全国より低く、大変厳しく受け止めている。原因として授業改善の取り組みや教員の教科指導力、家庭学習の習慣などさまざまな要因に加え、教育委員会や学校の学力に対する危機感の希薄さなどもあると考えている。

2、小学校の教育について
小野寺議員 道教委が実施した高校学力テストの結果が明らかになり、すべての教科の平均点が予測していた正答率を下回った。これは小・中学校の基礎が身についていないためと考えられ、小学校教育の充実を図るべきだ。

高橋教育長 あらゆる学習の基礎になる国語、算数を中心に小学校教員を対象にした研修内容の見直しや、指導主事による重点的な学校訪問に着手する。学校と家庭が連携して、宿題を基本とした家庭学習の取り組みの推進を働きかけるなど、危機感をもって小学校教育の充実に努める。

3、具体的な取り組みについて
小野寺議員 補習授業の今年の夏休みの実施状況と、実施しなかった学校の理由を示してほしい。

高橋教育長 札幌市を除く今年度の実施状況は、小学校約4割、中学校8割で、全国と比べて依然低い状況にある。明確な理由はなく、必要性に対する学校側の認識が十分でないと考えられるため、冬季休業日の補充的な学習サポートの実施に向け一層の働きかけを行う。

4、結果の公表について
小野寺議員 わが会派は学力テストの結果を公表すべきだと主張してきたが、まだ不十分だ。道教委は市町村教育委や校長会、保護者と公表のあり方について協議すべきだ。

高橋教育長 今後、結果を公表する前に市町村教育委や校長会、PTAと協議を行い、市町村の各教科の平均正答率の分布の活用なども含め、調査結果の公表や説明のあり方について、保護者や地域の立場に立って一層、改善が図られるように強く働きかける。

5、悉皆調査について
小野寺議員 文部科学省が都道府県教委に行ったアンケートでは、7割に当たる33都道府県が悉皆調査にすべきと回答している。他の都府県教委と連携し、悉皆調査へ戻すよう国へ強く求めるべきだ。

高橋教育長 道内すべての市町村教委や学校が、全国・全道との比較で児童一人ひとりの学力をつぶさに把握し、学力向上の取り組みにつなげていくためには、国が悉皆調査を実施すべきだ。今後、考え方を同じくする各県と連携して、国へ悉皆での実施を強く要望していく。

6、教職員人事について
小野寺議員 全道的視野に立ちバランスのとれた教職員人事を推進するために、全道人事調整会議で都市・郡部の交流を重視するなど、抜本的な解決につながる対策を検討すべきだ。

高橋教育長 学力向上などの教育課題に対応するためには、バランスのとれた教職員の配置が必要。全道的な広域人事について市町村委などに意見を聞いて検討を進めているが、今後とも都市部と郡部間の人事交流に努めるなど、教育水準の向上や学校の活性化が図られるようにしっかり取り組む。

違法活動防止には毅然とした態度で

(2)北教組の活動について
1、校外研修について
小野寺議員 今夏休みの校外研修の状況はどうだったのか。自宅研修を承認した事例はどの程度あったのか。

高橋教育長 札幌市を除く公立小中学校、高校、特別支援学校全1867校を対象にした調査では、校外研修を行った教員は3万4224人中1万125人、1人当たりの研修日数はおおよそ3日と2時間、このうち自宅研修はおおよそ6時間といずれも昨年より減少している。自宅研修について不適切と認められるものについては承認を与えないように市町村教委と道立学校に通知したことで、より厳格な取り扱いが行われた結果と考えている。

2、機関紙について
1)認識について
小野寺議員 北教組は参院選公示後の7月1日付けで、比例区、北海道選挙区の特定候補者名を挙げて「教え子への親書、電話による支持の確認を」など求める機関紙「北教」を発行した。この文書をどう認識しているのか。

高橋教育長 昨年の衆院選にかかわり、職員団体の幹部が政治資金規制法違反で有罪判決を受け、本道教育に対する信頼を著しく損なう事態になった。機関紙「北教」の記載内容は信じがたい思いであり、極めて遺憾だ。教員が特定の候補者に投票するように勧めるような行為が現実にあったならば、人事院規則に定める政治的行為に該当し、違法となるものであり、あってはならないことだ。

2)調査について
小野寺議員 教員が特定候補者への支持を要請するような行為を行っていた場合、どのように対処するのか。

高橋教育長 現時点で、実際に教員が教え子に支持確認行動を行った事例は確認していないが、このような行為が現実にあった場合は、厳正に対処する。

3)教職員への周知について
小野寺議員 道教委は、国政選挙の前には違反行為のないように通知し、指導しているとしているが、内容によっては失職となることなど、具体的に指導すべきだ。

高橋教育長 本年度実施した「教職員の服務規律等の実態に関する調査」の結果を踏まえ、服務規律の厳正な保持について改めて通知を出すほか、職員向けリーフレットを作成・配付する。この中に「禁固以上の刑が確定した場合は失職」などを盛り込んで、教員1人ひとりに趣旨を徹底させる。

3、大会の議案書について
小野寺議員 北教組が8月に催した定期大会の議案書には、違法・不適切な内容が記載されている。道教委が内容を精査した結果はどうだったのか。

高橋教育長 いわゆる「四六協定」などすでに廃止されているものを使った取り組みが記載されている。事実に反する記述が判明した項目については、是正するよう速やかに強く抗議するとともに、市町村教委や学校長に正確な情報を周知徹底する。

4、服務規律調査について
小野寺議員 質問に回答しなかった教員が5000人以上いる。事の重大性をまったく認識せず、道民世論を愚ろうするものだ。どのように対応するのか。

高橋教育長 法律の専門家と相談しながら、どのような対応ができるか検討している。調査の中で、法令違反の疑いのある行為を見聞きしたことがあるという結果も出ており、無回答者にかかわる事実がでてくれば、非違行為の実態把握に努める。非違行為が明らかになった者については厳正に対処する。

5、情報提供制度の周知について
小野寺議員 情報提供制度は一般にはほとんど知られていないように思う。改めて周知を図るべきだ。

高橋教育長 12月に発行予定の広報誌を活用し、児童生徒を持つすべての家庭に改めて周知するほか、道のホームページの活用、PTAや各種団体への再度の説明など、あらゆる機会を通じて制度の趣旨・内容をしっかり周知したい。

6、信頼回復について
小野寺議員 北教組は先の定期大会で謝罪したが、本当に反省し、信頼を回復したいと願うのならば、道民の前に政治資金規正法違反事件や教職員の政治的行為などの実態を明らかにし、その上で再発防止策を示すべきだが、所見を伺う。

高橋教育長 これまでのところ再発防止や法令順守の具体的な取り組みを明らかにしておらず、大会議案書でも学習指導要領に反対する主張を繰り返している。北教組には職員団体の活動に関する説明責任をしっかり果たすことが強く求められており、職員団体本来の目的に沿って法令を踏まえた適正な活動を行っていくべきだ。

相次ぐ不祥事で揺らぐ信頼

4、公安問題について

(1)職員の不祥事について
小野寺議員 本年に入り、警察官が刑事事件を起こすなど職員の不祥事が相次ぎ、道民の信頼が揺らぎかねない。この事態をどう受け止めているのか。信頼回復に向けてどう取り組むのか。

殿川道警本部長 重大な不祥事案が連続発生したことを、極めて重く受け止めている。
 緊急の署長会議を開催して、幹部職員に危機意識の共有と不祥事案の絶無を指示したほか、職員・家族に緊急メッセージを出し、全職員が共通認識の下に再発防止に取り組んでいる。また、所属長など幹部職員に対する意識付けの徹底、中高年職員に対する職務倫理教養の徹底、警察学校や職場での若手職員に対する育成指導の強化、各種業務管理システムの見直しなどの対策を講じている。職務倫理の確立と厳正な業務管理・人事管理を行うなど、再発防止の徹底を図る。

条例の制定に向けた決意は

(2)暴力団排除条例について
小野寺議員 先の常任委員会で暴力団排除条例の基本的な考え方が報告された。条例制定に向けた決意を伺う。

殿川道警本部長 近年、暴力団は、伝統的な資金獲得犯罪に加え、企業活動を仮装し、暴力団と共生するものを利用して、建設業や不動産業への進出を図るなど、一般社会での資金獲得活動を活発化させている。
 暴力団排除に対する社会的な関心が高まる中で、北海道から暴力団を排除し、安全で平穏な道民生活を実現するためには、警察による取り締まりを徹底するのは当然のことだ。社会対暴力団と言う構図で転換を進め、社会全体で暴力団を孤立化させることが極めて重要。引き続き年内の条例制定に向けた取り組みを進める。

高橋知事 犯罪のない安全で安心な地域社会を目指し、社会全体で暴力団の排除に取り組んでいくことが大変重要であると認識している。年内の条例制定に向け、道警と連携して取り組んでいく。

■自民党・道民会議の一般質問項目■

□藤沢 澄雄議員(日高管内)
 一、広域連携への取組について
 一、新千歳空港の24時間運用対策について
 一、常設型住民票条例について
 一、道立紋別病院の移管について
 一、高校の学力等実態調査について

□田中 芳憲議員(恵庭市)
 一、北海道立総合研究機構について
 一、特定課題評価について
 一、小学校の英語教育について

□八田 盛茂議員(小樽市)
 一、児童虐待防止対策について
 一、バイオエタノールについて
 一、教職員の服務規律調査について

□堀井  学議員(登別市)
 一、航空行政と経済交流について
 一、公共事業について
  (1)総合評価方式について
  (2)ライフサイクルコストの縮減について
  (3)大規模自転車道について
 一、民間部門による職業能力開発について
 一、スポーツ振興について

□東  国幹議員(旭川市)
 一、防災対策について
 一、ダムの効果について
 一、道路敷地、河川敷地の景観について
 一、児童生徒の問題行動について
 一、新卒者の就職について
 一、高齢者講習について

□角谷 隆司議員(札幌市手稲区)
 一、雇用創出について
 一、天然ガスの利用について
 一、廃校した学校施設の有効利用について
 一、道内におけるカジノ誘致について

□千葉 英守議員(札幌市中央区)
 一、航空行政について
 一、北海道新幹線札幌延伸について
 一、文化・スポーツの振興について
 一、花き産業の振興について

□板谷  實議員(苫小牧市)
 一、HACとコミューター航空について 

□内海 英徳(石狩市・石狩管内)
 一、移住交流促進事業について
 一、北海道米について

□高木 宏壽議員(札幌市豊平区)
 一、チャイナリスクについて
 一、医療・福祉問題について
  (1)臓器移植への対応について
  (2)子どもの貧困などについて
 一、教科書問題などについて

□加藤 唯勝議員(名寄市)
 一、新成長戦略を支える北海道の優位性について
 一、森林・林業再生と北海道の地域活性化について
  (1)私有林の海外資本取得について
  (2)森林のもつ機能の普及啓発について
  (3)森林・林業再生プランについて
  (4)緑の雇用対策について
 一、北海道の優位性を活かした農業振興と観光などとの融合について
  (1)景観作物の種子の流通について
  (2)戸別所得補償制度における緑肥作物について
  (3)農業農村整備事業の予算確保について
  (4)有機JAS認定の取得促進について
  (5)農業と食品及び観光の融合について