●平成22年第2回定例道議会自民党・道民会議一般質問(代表格)・答弁要旨

自民党・道民会議 中村 裕之 議員

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道が口蹄疫で侵入防止対策の徹底を表明


 昭和36年生まれ。余市町立沢町小、西中、道立小樽潮陵高校、北海学園大学卒。北海道庁総務部札幌北道税事務所を経て、中村建設株式会社入社。平成15年北海道議会議員に初当選。2期目。道議会総務委員会理事、同新幹線・総合交通体系対策特別委員会副委員長、同自民党・道民会議政策審議委員会委員長代理、自民党道連政調会副会長など。

 平成22年第2回定例道議会は6月8日招集され、同25日まで11日間の日程で総額約34億円の一般会計補正予算案などを審議した。自民党・道民会議は中村裕之議員が一般質問(代表格)に立ち、菅内閣の政策、口蹄疫(こうていえき)対策、景気経済対策、防災対策、観光振興、農業問題などを取り上げ知事の見解をただした。また、教育問題では北教組問題を質問し、不正資金提供事件、校外研修、国歌の指導などについて知事、教育長の見解を求めた。

信頼できない政権担当能力

1、道政上の諸課題について

(1)菅内閣の政策について
中村議員 鳩山内閣は政治とカネ、普天間基地問題、口蹄疫(こうていえき)への対応で国民の支持を失い、総辞職したが、民主党の政策、政権運営そのものに原因があると言わざるを得ない。知事は、菅内閣の発足に当たり、三位一体改革の再来を危惧している旨発言しているが、新内閣の政策についてどう受け止め、対応するのか。

高橋知事 地方6団体が連携し、地方交付税の縮減など、地方に新たな負担を求めることは「断じて認められない」との声明を出した。新政権に対して、本道の厳しい経済・雇用情勢や財政状況などの実情を踏まえた政策を進めるように、しっかりと意見を述べる。

米軍訓練の分散実施への対応は

(2)普天間飛行場移設に伴う米軍訓練の分散実施について
中村議員 鳩山首相は普天間基地移設に関し、米軍訓練の一部を国内で分散実施する方針について、理解と協力を求めた。この要請にどのように対応する考えなのか。

高橋知事 北海道は矢臼別演習場での実弾射撃訓練、千歳基地での戦闘機訓練を既に受け入れるなど、沖縄県の負担軽減には一定の貢献をしている。仮に国から提案があれば、地域の意見を十分に聞き、慎重に対応を検討する。

口蹄疫に万全の水際対策が必要

(3)口蹄疫対策ついて
1、水際対策について
中村議員 本道で口蹄疫(こうていえき)が発生した場合、エゾシカに感染すれば収拾のつかない事態になり、わが会派は対策本部を設置した。本道は国内外との往来が活発化する本格的な夏の観光シーズンを迎え、万全の水際対策を展開しなければならない。しっかりと予算措置を講じた上で対策の強化を図る必要がある。

高橋知事 口蹄疫の侵入を絶対に許さないという危機感のもと、必要な防疫対策予算を措置し、オール北海道として、水際対策などの侵入防止対策の徹底に万全を期し、本道の基幹産業である酪農・畜産業をしっかりと守る決意だ。

2、知事のメッセージについて
中村議員 道民や観光客の理解と協力を得ることも大切であり、知事が緊急メッセージを発信することを提案する。

高橋知事 今日の北海道の酪農・畜産業は、宮崎県と同様に、先人の血と汗の結晶であり、いまなお多くの人が大切な財産として引き継ぎ、より素晴らしいものとなるように日々努力している。こうした思いを込めて緊急メッセージを発信して、口蹄疫の侵入防止に努める。

3、発生に備えた取り組みについて
中村議員 万が一の発生に備え、あらかじめ集落ごとに埋却場所を指定するなどの取り組みを進めるべきだ。

高橋知事 宮崎県のように大規模に発生した場合には、埋却場所の確保が困難となることも想定されるので、市町村とも相談して検討する。殺処分に従事する獣医師などの要員確保や、消毒薬などの防疫資材も必要不可欠になるため、必要な対策を講じていく。

本道経済の現状をどう認識するのか

(4)景気・経済対策について
中村議員 民間需要が冷え込んでいる中、公共事業など公的需要の拡充で景気回復を図る必要がある。本道経済の現状をどう認識しているのか。

高橋知事 本道の経済・雇用情勢は依然として厳しい状況が続いている。道は公共事業の早期発注や国の雇用関係交付金を活用した基金の積極的な活用など、21年度の補正予算と一体で切れ目のない事業実施に全庁を挙げて取り組んでいる。今後とも、地域の経済や雇用を支える中小企業の経営安定と雇用の維持確保に最善を尽くす。

HAC新経営策をどう評価するのか

(5)HACの事業プラン案などについて
中村議員 第三者機関による資産査定などによると「事業実現の合理性が認められる」と判断しているが、この分析結果についてどう評価しているのか。道とJALによる「新しいHACの経営体制の基本的な考え方」の取りまとめにあたり、どのように対応するのか。

高橋知事 事業プラン案の取りまとめにあたっては、さらなるコスト削減や利用促進などについても検討しなければならない。経営体制については、株主構成を道、JAL、自治体、経済界などと想定しているが、その中で道としても主体的な役割を果たしていかなければならないと考えている。札幌市など関係機関と支援のあり方を検討する。

沿線自治体の同意は早期に

(6)新幹線札幌延伸に伴う並行在来線の取り扱いについて
中村議員 JR北海道は新函館・札幌間が開業した場合、函館・小樽間を並行在来線として経営分離する方針を明らかにした。並行在来線の経営分離に関する沿線自治体の同意は、新幹線着工の基本条件の一つであり、出来る限り早く結論を得る必要がある。

高橋知事 JR北海道が決定する経営分離区間については、地元の意向も十分配慮して判断してほしい。JR北海道と率直な意見交換を行い、沿線自治体とも協議して双方の理解が得られるよう努め、新幹線の札幌延伸の一日も早い実現に向けて全力で取り組む。

暮らし分野で北海道モデルの発信を

(7)北海道モデルについて
中村議員 「北海道モデル」は、「北海道価値」を活かすことで活性化を図るための具体化の第一歩と受け止めるが、どのように推進するのか。道民の暮らしなどの分野でもモデルを発信すべきだ。

高橋知事 必要な支援や制度改正を国へ提案し、道が率先して関係機関に連携を働きかけ、さまざまな取り組みの芽を官、民、地域が力を合わせて大きく育てる。高齢者や障害者をはじめ多様な人々がともに助け合いながら生活する「共生型事業」への総合的支援など、福祉分野も新たにモデルに加えたい。

食クラスターの全道展開方策は

(8)食クラスターについて
中村議員 これまで推進してきた産業クラスターでは、食関連事業の成功事例も見られるが、全道的な広がりにするためにどのように取り組むのか。「食の総合産業」の確立に向けて食クラスター活動をどのように推進していくのか。

高橋知事 5月に「食クラスター連携協議体」を発足させ、ブナサケを活用した技術開発や中国市場を対象にした商品開発などに着手した。「戦略タスクフォース」を設置し、協議体参加者からの提案プロジェクトのコーディネートや助言などを行うことで事業の早期実現に努める。

露頭炭事業の制度延長を働きかけよ

(9)道内露頭炭採掘事業について
中村議員 道内露頭炭採掘事業が電力供給や地域経済の活性化に大きく寄与していることを踏まえ、今年度末で終了する「特定災害防止準備金制度」の延長を国に働きかけるべきだ。

高橋知事 制度は露頭炭生産を安定的に継続するため、大きな役割を果たしてきた。関係する市町と連携を図りながら、平成23年度以降の継続について、国に強く要望する。

地域職訓センター機能の維持方針は

(10)地域職業訓練センターについて
中村議員 5月に国から地域職業訓練センターの施設譲渡の条件が提示された。センターの機能維持に向けて、今後どのように取り組むのか。

高橋知事 センターは訓練機会の少ない地域で、産業人材の育成に極めて重要な役割を担っている。機能が今後とも維持されるよう、国として責任を持って対応するよう強く働きかける。

早急に職業観調査に取り組むべきだ

(11)新規学卒者の就職状況などについて
1、新規卒業者の就職試験受験状況について
中村議員 本年3月卒業生の未就職数とまったく採用試験を受けなかった生徒の実態をどう把握しているのか。

高橋教育長 今春の卒業生のうち就職を希望して未就職だった者は1,891人で、就職試験を一度も受けていなかった者は687人。各教育局に配置している進路指導員を学校に派遣し、職業講話を実施するなど就職支援に取り組んだ。

2、平成23年3月卒業生の対応について
中村議員 平成23年3月の新規学卒者の雇用環境が厳しい状況にある。一人でも多く就職できるよう、職業観の調査などに今から取り組むべきだ。

高橋知事 提案の趣旨を踏まえ、子どもたちの就職に対する保護者の意識などについて、ただちに調査する。道教委や国と連携して高校生が一人でも多く、希望を持って社会で活躍できるよう全力で取り組む。

政策題評価で期待される行政効果は

(12)政策評価への取組について
中村道議 本年度の特定課題評価は「広報等情報発信事業のあり方」をテーマとしているが、選定にあたりどのような行政効果を期待しているのか。

高橋知事 民間の視点を取り入れるという新たな取り組みは、今後の行財政改革を推進する上で有効な方法だ。道民の求める広報内容の把握方法や広報媒体の活用方策などについても種々提言してもらい、今後の道政広報などに十分反映させたい。

福祉施設対策は全庁挙げ実施を

(13)防災対策について
1、積雪・寒冷期の防災体制について
中村議員 道は防災計画で災害ごとの取り組みを定めているが、救助活動や救援物資の輸送、避難生活への対応など、積雪寒冷期の体制は必ずしも十分とは言えない。実態をどう認識しているのか。

高橋知事 北海道地域防災計画で必要な事項を定めているが、必ずしも十分な内容とは言えない点もある。今年度中に見直し、実効ある防災体制を構築する。

2、自衛隊との連携について
中村議員 災害発生時の救助活動や救援物資の輸送など、自衛隊の協力に負うところは極めて大きい。より一層の連携強化を図るべきだ。

高橋知事 平成17年度から退職自衛官を危機管理専門員として配置し、連携強化に努めてきた。最近の災害は複雑多様化し、従来の想定を超える被害の発生が懸念される。相互の情報交換の場を新たに設けるなどして、一層の連携強化に努める。

3、水道管の耐震化について
中村議員 平成20年度末で、道内基幹管路で耐震適合性のあるものは3分の1程度にすぎない。道は上下水道事業者に老朽管の計画的な耐震化を進めるように指導し、国に実効性のある支援策の拡充を求めるべきだ。

高橋知事 今年度中に水道の将来像や実現に向けた方策を示す水道ビジョンを策定したい。この中で事業者の中長期的な財政収支見通しを踏まえた耐震化計画の策定や計画的に事業が実施できるように努める。財政支援の拡充は引き続き国へ要望する。

4、社会福祉施設の防火安全対策について
中村議員 札幌市で発生した認知症グループホームの火災事故を踏まえ、道の追加調査に基づく福祉施設の安全対策を全庁挙げて行うべきだ。

高橋知事 追加調査を踏まえた改善策を8月上旬に取りまとめたい。社会福祉施設で火災事故が起きることがないように、防火管理や地域との連携の観点に立ち、防火安全対策の指導の徹底などにしっかりと取り組む。

自衛隊との連携をどう進めるのか

(14)エゾシカ対策について
中村議員 捕獲目標が達成できないため、道は5月に「エゾシカ包囲網会議」を新たに設置した。わが会派は自衛隊との連携など実効性のある取り組みを提案してきたが、今後、対策をどのように進めるのか。

高橋知事 今年度は新たにシャープシューティングという海外の事例を参考にした効率的な捕獲技術の開発や地域リーダーを育成する研修会などで、捕獲体制の基盤強化を図る。自衛隊からはヘリコプターの活用など協力の方策が示され、協力内容の協議を進めていく。

道と地元の間で課題整理を

(15)道立紋別病院の移管について
中村議員 新たな運営組織の設立、病院開設認可申請、医療スタッフの採用などの移管事務を円滑に進めるために、道と地元の間で課題を整理すべきだが、どう対応するのか。

高橋知事 新しい病院の立ち上がり後のできるだけ早い時期までに、財政支援策を講じる。道財政の状況も踏まえ、支援総額98億円は5年程度の分割交付で対応したい。基本的な道の考え方を整理し、できるだけ早い時期に地元と覚え書を締結したい。

財源措置などの実現を国に求めよ

(16)介護人材の確保などについて
1、介護に関する実態調査について
中村議員 充実した介護サービスを持続するために、道として介護人材の確保や地域でのサービス提供など介護の実態を把握し、その結果に基づいて財源措置など必要な政策の実現を国に求めるべきだ。

高橋知事 今年度、新たに介護職場で実際に働く人を対象にした、就労に関する調査を実施するとともに、各市町村を対象に地域の介護サービスの提供状況に関する調査を行い、10月を目途に取りまとめたい。

2、教育行政との連携について
中村議員 将来の福祉・介護の人材育成を図るためには小中学生の段階から、地域のお年寄りや老人ホームとの交流を通じて福祉に対する理解を深めることが必要だ。

高橋知事 道教委との連携で小・中・高校へ福祉教育アドバイザーを派遣し、体験キットによる高齢者・障害者の疑似体験などのモデル授業を実施し、成果をまとめた事例集を作成、配付するなど福祉教育活動に努めている。

高橋教育長 福祉教育アドバイザー派遣事業の成果を、本年度作成する教師用指導資料に実践事例として盛り込む。市町村教育委員会に対し、子どもたちと高齢者や福祉の専門家との交流の場を増やしていくよう働きかけるなどして、福祉や介護に対する理解が一層深まるように努める。

地域滞在型観光をどう展開するのか

(17)観光振興について
1、地域資源を活かした観光施策について
中村議員 道は今年度、「食・環境・健康」をテーマにした地域滞在型の北海道観光づくりを推進することとしているが、どのように展開していくのか。

中岡経済部観光振興監 地域における人材の育成、旅行商品開発の支援、首都圏や関西圏で新たな観光資源のプロモーション、旅行代理店とのタイアップによる旅行商品化の誘導など、「北海道観光ブランディング事業」を実施している。

2、道道岩内洞爺線の新たな観光資源化について
中村道議 道道岩内洞爺線は10月末から4月末までは雪のため閉鎖されているが、雪をいただく羊蹄山やニセコ連峰を間近に見ながらの豪快な雪割りや雪の回廊を、新たな観光資源として活用すべきだ。

宮木建設部長 近年、ニセコ地域にアジアから多くの観光客が訪れている。地域の観光振興を図る上で大変魅力のある観光資源であり、実現に向けて地元町や関係者などと調整する。

削減された予算をどう復活させるか

(18)農業問題について
1、食料・農業・農村基本計画について
中村議員 「食料・農業・農村基本計画」をどのように受け止めているのか。また、道の「農業・農村振興推進計画」はどのような考えで策定を進めるのか。

高橋知事 国の基本計画の策定にあたり、道の提案内容は概ね盛り込まれたが、てん菜、ばれいしょ、生乳などの本道の主要な農作物の生産数量目標は、生産者の意向に必ずしも一致していない。道として、本年度策定する第四期農業・農村振興推進計画で生産者の意欲を踏まえて、主要品目の生産努力目標と実現のための施策を示す。

2、農業戸別所得補償制度について
中村議員 来年度から本格実施されようとしている農業戸別所得補償制度にどう対応するのか。

高橋知事 本道の農業・農村が食料自給率の維持・向上に果たしている役割や。大規模で生産性の高い専業的な経営を展開している実情を踏まえ、将来にわたって意欲を持って営農に取り組むことができ、所得の確保と経営の安定に資する制度となるよう、国に働きかける。

3、農業基盤整備について
中村議員 天候不順による農業被害を最小限に食い止めるためには、農業基盤整備が必要不可欠だ。昨年の事業仕分けで大幅に削られた予算を復活しなければならないが、どのように取り組むのか。

高橋知事 本道農業にとって、排水対策など農業基盤整備は農作物の収量、品質、生産性の向上、安定的な農業経営の確立を図るために大変重要だ。計画的な整備が可能になるように、あらゆる機会をとらえ国へ強く要請する。

4、パワーアップ事業について
中村議員 「パワーアップ事業」は最終年度を迎えたが、相当の事業要望があり、来年度以降の対応も必要だ。

高橋知事 これまでの対策の効果を十分に検証するとともに、今後の予算動向や国の制度見直しなどを踏まえ、効果的な農業農村整備の進め方について検討する。

資源回復に向けて国へ支援を求めよ

(19)水産問題について
中村議員 日本海スケトウダラ資源は、TACによる資源管理を進めてきたが、漁獲量の減少が続いている。資源が回復するまで、漁業者が持続的に水産物を安定供給し、安心して漁業を営むことができるよう、国へ支援の充実を求めるべきだ。

高橋知事 日本海海域のスケトウダラは10年前の4分の1の漁獲量で、資源が回復していない。国は漁業の戸別所得補償制度の創設に向けた調査を本年度から開始したが、専業漁家が多く、経営規模も大きい本道の実情にあった制度になるように国に積極的に働きかける。

森づくり事業にどう取り組むのか

(20)森林整備の促進について
中村議員 道が平成13年度から進めてきた「21世紀の北の森づくり推進事業」は本年度で計画を満了する。来年度以降どのように取り組むのか。

高橋知事 北海道モデルの一つとして「森林資源循環モデル」を位置づけ、林業の再生や山村地域の活性化などに努めていく。こうしたモデルの構築を目指すという視点で、来年度以降の植林事業に対する新たな支援のあり方について検討を進める。

応札可能な業者への対応は不十分

(21)入札制度における応札可能者数について
中村議員 わが会派の質問に対し、知事は、応札可能な業者が限られるような場合は、実情に応じた応札可能者数になるよう徹底すると答弁したが、対応が不十分だと指摘せざるを得ない。取り組みに関する考え方や実例を示すなどして、制度の趣旨を徹底すべきだ。

高橋知事 今後は、より具体的な事例を示すなどして、公正な競争が図られるよう、適切な地域要件の設定について周知・徹底し、地元中小業者の受注機会の確保に努める。

市町村の空き校舎の活用を

2、教育問題について

(1)特別支援学校について
中村議員 道央圏の知的障害高等養護学校への進学者がこの5年間で30%増加している。早急な対策が必要であり、道有財産に限らず、市町村の空き校舎の活用も検討すべきだ。

高橋教育長 進学希望者の増加や校舎の狭あい化に対応するために、「特別支援学校の配置に関する考え方(仮称)」素案を作成し、学校整備に当たっては、できるだけ既存の施設・設備を有効に活用するという考え方をまとめた。市町村の小中学校の空き校舎活用なども含め、受け入れ体制の整備を検討する。

問題行動に対し積極的な指導を

(2)児童・生徒の問題行動について
中村議員 小一プロブレム、中一ギャップ、高一クライシスとい言われ、新入学児童・生徒の問題が、生徒指導上の問題になっている。道教委は道内外の先進的な取り組みを把握し、資料として提供するなど、積極的な指導に努める必要がある。

高橋教育長 今年度から児童生徒に環境の変化に対応する能力を身に付けさせる「子どもの人間関係づくり推進事業」を実施している。この事業で中学1年生や小学6年生を対象に生活実態の調査を行い、他府県の優れた実践例と合わせて各学校に情報提供する。

学校・保護者間の溝をどう考えるか

(3)いじめ問題について
中村議員 道教委のアンケート調査によると、いじめ問題の取り組みについて70〜85%の学校が「自信を持っている」と回答しているが、それを評価するとした保護者は半分もいない。この認識の溝をどう受け止めているのか。

高橋教育長 学校の取り組みが、保護者の期待しているほどではなく、情報発信が十分ではないなどの状況が見られた。保護者や地域のしっかりした理解のもと、より一層いじめの問題に取り組んでいく必要がある。いじめの未然防止、早期発見・早期対応に全力で取り組む。

休業日利用の学力向上対策が不十分

(4)学力向上対策について
1、休業日の活用について
中村議員 道内は放課後や長期休業日を活かした学力向上対策が十分とは言えない。土曜日の活用や夏・冬休みの短縮などを実施すべきではないか。

高橋教育長 昨年度は庁内に学力向上チームを設け、施策の見直しを行った。今年度からは新たに市町村教委や学校による放課後や長期休業日の有効活用を図った取り組みの支援に努めている。今後も授業以外の学習機会や時間の確保が行われるように、市町村教委や学校に働きかける。

2、モデル校の指定について
中村議員 学力向上のためには小・中学校の連携が必要。モデル校を指定し実践研究を行うべきだ。

高橋教育長 伊達市と広尾町を推進地区として平成20年度から22年度の3年間にわたり小・中連携にかかわる「学力向上実践研究推進事業」を進めている。推進地区の成果を踏まえ、道独自のモデル校の指定を検討する。

北教組は説明責任を果たすべきだ

(5)北教組問題について
1、不正資金提供事件ついて
中村議員 小林衆議院議員陣営に対する北教組の不正資金提供事件で、北教組本部は声明を発表したが、道民はもとより組合員からも「納得できない」などとする意見が聞かれる。自らが説明責任を果たすことが社会の常識だ。

高橋知事 子どもたちはもとより、保護者や現場の教職員の不信や不安を招くとともに、道民の信頼を著しく損なうものであり、大変遺憾なことだ。北教組自ら説明責任を果たすなどし、事件の全容解明や透明性の確保が図られることを強く望む。

高橋教育長 北教組が職員団体本来の目的に沿って法令を踏まえた適正な活動を行うとともに、職員団体の活動に関する説明責任をしっかり果たすことが求められている。

2、校外研修について
中村議員 北教組内部の資料では、「研修場所は問わない」という道教委見解をたてに、執ように校長交渉を要求して自宅研修を認めさせ、研修報告も簡単なものとするよう迫る分会の姿が明らかになった。不適切な事例が生じないようにすべきだ。

高橋教育長 職務とまったく関係がないもの、職務への反映が認められないものなどは承認を与えることはできない。指導の徹底を図る。「場所を問うものではなく」の表現が誤解を招きかねない面もあることから、見解について見直しを検討する。

3、国歌の指導について
中村議員 道内各地のPTAから卒・入学式で子どもたちは国家を全然歌っていないという声が寄せられている。実際の指導はどのようなものだと把握しているのか。

高橋教育長 国歌の指導については、十分に行われていない学校もあり、大変、遺憾に思っている。特に課題のある学校については、市町村教委と連携して学校を訪問し、国歌の歌唱の指導計画を点検するとともに、指導結果の報告を求めるなどして適切に行われるよう努める。

4、不起立の学校について
中村議員 道教委の調査では、今年の入学式で国歌斉唱の際、教員が起立しなかった学校は小・中・特別支援学校合わせて68校あった。従わない場合の厳正対処、学校名の公表などをすべきだ。

高橋教育長 度重なる指導にもかかわらず、国歌斉唱時に教職員の不起立が見られたことは、大変に遺憾だ。不起立の職員がいた道立学校においては、職務命令で対応し、なおも不起立があれば厳正に対処し、学校名の公表を検討する。

■自民党・道民会議の一般質問項目■

□中司 哲雄議員
 1.北海道の活性化と試験研究機関への支援について
 2.医師確保と地域健康管理について
 3.北海道における林業・木材産業の振興について
 4.振興局の役割発揮と基礎的自治体における地域づくりについて

□小松  茂議員
 1.エゾシカ対策について
 2.産炭地域総合発展基金の活用について
 3.中小企業高度化資金貸付事業について

□道見 重信議員
 1.人件費の抑制について
 2.外国人観光客誘致について
 3.農業の効率化策について
 4.保育行政について
 5.道徳教育について

□松浦 宗信議員
 1.農水産物の海外販路開拓・拡大について
 2.道立総合研究機構と連携した経済活性化について
 3.建設業の新分野進出について

□八田 盛茂議員
 1.介護保険について
 2.観光振興について

□石塚 正寛議員
 1.北海道の経済構造などについて
 2.油流出事故対策について
 3.海岸漂着物処理対策について

□船橋 利実議員
 1.JR貨物とJR在来線について
 2.医師確保対策について
 3.子宮頸がんワクチンについて
 4.プレジャーボート等の漁港利用について
 5.児童生徒の携帯電話等の利用について