●平成22年第1回定例道議会自民党・道民会議代表質問・答弁要旨

自民党・道民会議 吉田 正人 議員

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知事、教育長が北教組問題で遺憾を表明


 昭和35年生まれ。東海大学海洋学部卒業。会社員、稚内青年会議所副理事長などを経て、平成13年に北海道議会議員補選に出馬し惜敗。同15年道議会議員初当選。2期目。道議会総合企画常任委員会理事、同議会運営委員会筆頭理事、自民党道連常任総務、同組織副委員長など。現在、道議会水産林務常任委員会副委員長、同北方領土特別委員会理事、北海道都市計画審議会委員。

 平成22年第1回定例道議会は2月23日招集され、2兆8,181億円の22年度一般会計当初予算案などを審議した。自民党・道民会議は吉田正人議員が代表質問に立ち、知事の政治姿勢、財政運営、支庁制度改革、地球温暖化対策、経済政策、農業問題、公安問題などを取り上げ、知事、道警本部長の対応をただした。特に、教育問題では北教組の政治活動を質問し、役員の逮捕、違法な組合活動、国旗・国歌問題などで知事、教育長の見解を求めた。

将来の道筋をどうつけるか

一、知事の政治姿勢について

(1)道政執行に臨む姿勢について
吉田議員 3年前に道民の圧倒的な支持を受けてスタートした高橋道政は、2期目の仕上げの時を迎えている。本道の将来に向けた成長の道筋をつけるため、どう道政執行にあたるのか。
高橋知事 北海道を将来にわたって活力ある地域にしていくため、時代の潮流や変化の波を積極的にとらえ、本道が有するさまざまな「北海道価値」を生かし、産業や暮らし、環境などの面で、戦略的な取り組みに果敢に挑戦していく。地域で意欲的な活動をしている方々の力を結集し、北海道を新たな成長の軌道へと導く取り組みを加速していく決意だ。

事業仕分けをどう受け止める
(2)事業仕分けについて
吉田議員 政府の事業仕分けは地域の実態を把握しておらず、行政を劇場化し、予算削減査定の根拠を与えたに過ぎない。国の事業仕分けをどのように受け止めているのか。
高橋知事 平成22年度政府予算案は、事業仕分けの結果を反映し、農業関係予算で大幅に事業費が削減されるなど大変厳しい結果になった。事業仕分けは全国に波及する国レベルの事業の評価であり、地域の実情をしっかり把握し、幅広い観点から十分な検討を行うことが必要だ

将来を先食いする臨時財政対策債
(3)国の地方財政対策について
吉田議員 赤字地方債である「臨時財政対策債」の道の発行見込額は前年度当初予算比650億円増の2,300億円と過去最大の規模で、将来の地方交付税を先食いすることになる。知事はどう考えているのか。
高橋知事 このような増加傾向が今後も続けば、道の資金調達に影響が生じる。ここ数年来、毎年のように発生している地方交付税原資の大幅な不足については、臨時財政対策債の発行という臨時的な対応ではなく、「法定率の引き上げ」などで抜本的に対応されるべきものだ。

公共事業の削減にどう対応するのか
(4)公共事業削減に関する認識等について
吉田議員 政府は「コンクリートから人」へと称して、平成22年度の公共事業予算を前年度比18%減と急激に削減した。今後も公共事業を国、地方を通じて縮小していくことは明らかだ。公共事業削減を目指す政策にどう対応するのか。
高橋知事 道開発予算の大幅削減で他府県との地域間格差の拡大などが強く懸念される。地域において重要な役割を果たしている建設業をはじめ、産業・雇用情勢も大変厳しい状況になっている。今後とも、本道にとって必要な社会資本整備が着実に進められるよう、経済界や市町村と一体になり国へ強く訴える。

政府の予算案は公約と矛盾する
(5)農林漁業政策について
吉田議員 平成22年度予算案で農林漁業の生産基盤整備に必要な予算が廃止・大幅削減され、全道から憤りの声を聞く。民主党のマニフェストが言う農山漁村再生、食料自給率の向上とも矛盾する。これらの政策をどのように認識しているのか。
高橋知事 本道の農林水産業の振興や地域経済・社会の活性化に極めて大きな影響が生じかねないと危惧(きぐ)している。生産基盤の必要性について、北海道の総意を結集してしっかりと訴える。

地域職訓センターの存続にどう対応
(6)地域職業訓練センターについて
吉田議員 国は昨年末に突然、全国83カ所の地域職業訓練センターを平成22年度末に廃止すると、道府県知事に通知した。道内にある4カ所のセンターの存続についてどう対応するのか。
高橋知事 地域の実情が考慮されておらず遺憾だ。国が説明責任を果たし、センター機能が今後とも維持されるように国へ要望した。今後とも地元4市や各センターと連携して国へ強く働きかける。

高速道路無料化をどう認識するのか
(7)高速道路の無料化について
吉田議員 政府は高速道路料金の全線無料化の公約を翻し、段階的実施に当初方針を変更した。本道では道央道の岩見沢以北や道東道などが対象になっているが、具体的な選定理由が示されず、地域による不公平感がある。高速道路の無料化と整備についてどう認識しているのか。
高橋知事 広域分散型社会を形成する本道において、まずは高規格幹線道路ネットワークの早期形成が重要な課題。整備促進が図られるように、市町村や関係団体と一体になって国へ強く働きかける。

子ども手当は財源なき政策
(8)子ども手当について
吉田議員 子ども手当については、平成22年度は現行の児童手当制度を取り込んで地方に負担を求め、23年度以降は国の全額措置が難しいという、財源の裏打ちのない政策であったことが明らかになった。いろいろな疑問の声があるが、どう認識しているのか。
高橋知事 地方自治体に裁量の余地のない国の施策は、国が全額負担すべきだ。全国知事会などと連携し、23年度以降の制度設計に向けて、全額国庫負担とするなど求め、子育て支援の充実施策についても必要な提案を行う。

二、道政上の諸課題について

組織連携でムダの徹底チェックを
(1)財政運営について
1、財政運営に関する認識について
吉田議員 道の平成22年度当初予算は、厳しい財政状況が続く中で、現状の困難への対応と将来を見据えた予算を編成した。知事就任以来の財政運営に関してどう認識しているのか。
高橋知事 2,000億円を超える収支不足の中で知事に就任し、「道財政立て直しプラン」「新たな行財政改革の取り組み」を策定し、施策の聖域なき見直しと歳入確保に全力で取り組んだ。今後とも持続可能な行財政構造の確立と「新生北海道」の実現の両立に全力を尽くす。

2、財政健全化への取り組みについて
吉田議員 昨年公表した将来推計では、平成23年度、24年度とも早期健全化基準25%を下回る見込みだ。中長期的な財政健全化団体転落回避に向け、どう取り組んでいくのか。
高橋知事 23年度における財政健全化団体の転落は回避できる見通しが立った。道内の景気・効用情勢を注視しながら、中長期的な視点に立ったさまざまな財政健全化への対策を講じていく。

3、今後の行財政改革の取り組みについて
吉田議員 今後は限られた予算を目的に沿って効果的に執行することがより一層重要性を増してくる。総務部行政改革課、財政課、監査委員会事務局などが連携して、効果、成果、ムダなどの徹底したチェックを行う仕組みを設けるべきだ。
高橋知事 来年度の政策評価では新たに「特定課題評価」を設定し、行政改革や財政担当者が予算執行の現場を調査する。年度内にも各事務の担当部局で構成する連絡会議を設置し、課題の調整や相互の連携を図る。

札医大の定員の検討状況は
(2)札幌医科大学の整備について
1、入学定員について
吉田議員 わが会派の質問に対し、「札医大の定員に関する検討会議を設置する」と答弁しているが、検討状況と定員増に関する認識をうかがう。
高橋知事 平成20年6月に検討会議を設置し、議論を重ねてきた。国の動向が定まっていないが、本道の地域医療体制の整備状況を踏まえ、道内国立大学の定員数も考慮しながら、なお検討していく必要がある。

2、施設整備について
吉田議員 施設整備に向け、庁内検討体制の強化を含め、早急に取り組むべきだ。
高橋知事 新年早々に総務部、保健福祉部、建設部、札幌医大で構成するプロジェクトチームを設置し、整備構想の策定に必要な施設や機能のあり方について検討を進める。

どのような道総研機構を目指すのか
(3)道立試験研究機関の地方独立行政法人化について
吉田議員 「道立総合研究機構」は22道立試験研究機関を1つの法人とする全国的にも初めての試みだが、どのような試験研究機関を目指しているのか。
高橋知事 農林水産やものづくり産業、環境などの幅広い分野の試験研究機関を結集し、分野横断型の連携や総合力の発揮による研究や技術支援に取り組む。中期目標のもと、活力ある組織運営と研究活動により、所期の目的が達成期できるようしっかり支援する。

本道もBCPを早急に策定せよ
(4)業務継続計画について
吉田議員 国は首都直下型地震を想定した業務継続計画(BCP)を明らかにし、各省庁は昨年までに策定を終えた。都道府県では8つにとどまっており、本道も早急にBCPを策定すべきだ。
高橋知事 年度内を目途に被害想定や課題などを整理して素案を作成し、具体的な対策を加えながら、実効性のある業務継続計画を策定したい。

全道庁の事務室使用料見直しを
(5)行政財産の使用許可について
吉田議員 道は全道庁労働組合に対して、事務室使用料を全額免除しているが見直す必要がある。
高橋知事 職員団体に対しては21年度で本庁、支庁、出先機関の23カ所で約1,500平方メートルの使用料を免除し、積算すると約2,100万円になる。行政財産にかかわる使用料免除のあり方や他府県の動向などを見極めながら検討したい。

早期に地域行政枠組みの整備を
(6)支庁制度改革について
吉田議員 総合振興局等設置条例は本年4月から施行されることになっているが、広域事務を巡って振興局地域との間で議論が重ねられている。早期に枠組み整備をすべきであり、今後どのように取り組んでいくのか。
高橋知事 土木現業所の取り扱いを含めた広域行政の考え方が課題になっている。懸念や不安を招く表現については必要な見直しを行うとともに、協議を重ねながら、相互の信頼に基づく理解が得られるよう最大限努めていく。

HACの経営体制の構築にどう対応
(7)北海道エアシステムの運営見直しについて
吉田議員 新しい北海道エアシステム(HAC)の経営体制を検討していく上で、丘珠空港を抱える札幌市との連携が重要になる。札幌市もHACの経営体制に関与し、出資等の申し入れがあってしかるべきだが、経営体制の構築に向けてどう対応するのか。
高橋知事 日本航空からの提案はHAC運営のあり方を抜本的に変更するものだ。できるだけ早期に事業プランが策定できるよう、精力的に協議を進める。さまざまな形態を想定したコスト比較や収支試算などを行っており、これらを踏まえて丘珠空港のあり方やHAC経営への参画などについて札幌市と協議したい。

夕張市には国の特別支援が必要
(8)夕張市への支援について
吉田議員 夕張市は財政再生計画を国へ提出した。夕張市の財政状況は、財政健全化法が想定する水準をはるかに超えている。国による特別な支援が必要な状況であり、強く働きかけるべきだ。
高橋知事 夕張市が住民生活に必要な行政サービスを確保しながら、少しでも短い期間で財政再建するためには国の支援が不可欠。国のさらなる支援について積極的に働きかけを行うなど最大限の努力をする。

道の温暖化対策は本道事情の勘案を
(9)地球温暖化推進計画について
吉田議員 道が策定を進めている「北海道地球温暖化対策推進計画」は、国の対策などが明らかになった段階で計画を見直すとしている。その場合、積雪寒冷や広域性といった本道の実情から生じる、道民生活への影響を勘案すべきだ。
高橋知事 本道の地域特性を踏まえ、必要な施策の追加や見直しなどについて、北海道環境審議会の審議や事業者、道民の意見を踏まえるなどして検討していく。

不適切執行をどう再発防止するのか
(10)アイヌ政策について
吉田議員 道などが行ってきたアイヌ民族の文化伝承事業などで、事業の執行に適切を欠く事例が見受けられてことは極めて遺憾だ。道と道教委の実態調査結果をどう受け止めて、再発防止を図るのか。
高橋知事 アイヌ協会釧路支部の不適切な事案について調査した結果、謝金の水増しや架空領収書による物品購入代金の請求など事例が多数判明した。アイヌ協会とアイヌ文化財団には支部や助成対象者への指導を徹底するなど、実効ある改善措置を構築するよう求めている。その間は財団の助成事業の執行を停止し、釧路支部は当分の間、財団事業の対象から除外する。

小児救急医療の整備にどう臨む
(11)保健福祉問題について
1、小児救急医療体制の整備について
吉田議員 現在、拠点病院が小児救急医療に対応している8カ所の2次医療圏で検討している輪番制は、新年度からどのような体制で臨むのか。小児に特化した3次救急医療体制をどのように進めるのか。
高橋知事 これまで8つの2次医療圏は輪番制で、他の13圏域は5カ所の拠点病院で小児の2次救急医療を確保してきた。平成22年度からは13圏域でも新たに輪番制を確保する。小児3次救急医療体制のあり方は、できる限り早期に結論が得られるよう検討を進める。

2、障害者施策について
吉田議員 障害者が暮らしやすい地域づくりの推進に向けて、どのような取り組みをするのか。
高橋知事 今定例会に「北海道障がい者条例」に基づき導入される地域づくり委員会、地域づくりコーディネーター、授産事業支援のトータルサポートセンターなどの予算を提案した。地域生活支援のために、入所型施設をグループホームなどに事業転換することを促進する新たな事業を、来年度から全国に先駆けて実施する。

3視点の具体化で実現する道の姿は
(12)経済政策について
1、経済活性化戦略ビジョンの評価などについて
吉田議員 戦略ビジョンの推進状況をどう評価し、取り組んでいくのか。
高橋知事 これまでの3年間で、自動車関連産業の道内部品調達率、IT・バイオ産業の売上高で一定の成果があるが、観光客数や企業立地件数など伸び悩む分野がある。農商工連携などによる食関連産業、観光といった地域産業の振興、ITを活用した農業生産の効率化、バイオ技術を活用した機能性食品の開発支援などを通じてものづくり産業の集積促進などに取り組む。

2、本道経済・産業の成長力強化について
吉田議員 昨年7月に設置した「経済政策戦略会議」は、本道の経済・産業の成長力強化を図るため「健康」「環境」「国際」の3つの視点を提言した。提言の具体化によりどのような本道の経済・産業の姿を実現するのか。
高橋知事 食品加工機械や農業機械など食クラスター関連のものづくり産業が集積し、バイオマスや雪氷エネルギーを利用する環境関連産業が成長するとともに、海外からの来道観光客の増加が図られるといった、民間主導のバランスの取れた産業経済構造の実現、地域経済の活性化に向けて全力で取り組む。

食クラスターは早期に事業化を
(13)食クラスターについて
吉田議員 食に関連する事業の成果を踏まえ、食スラスターとしてさらなる展開を図り、できる限り早期に事業化する必要がある。
高橋知事 道内各地域の取り組みに共通する課題解決に向け、情報・ノウハウの提供などを「食クラスター活動」として本格展開する。活動を推進する協議体の整備、道や道立総合研究機構の支援体制の強化、コーディネート機能の充実、先導的モデル事業の展開、大学などの研究成果の移転、国内外の新たな市場開拓、集積を生かした企業誘致活動など、北海道の総力を結集できるよう全力で取り組む。

中高年離職者への就職支援策を示せ
(14)雇用対策について
1、中高年離職者の就職支援について
吉田議員 わが会派が指摘した中高年離職者の就職支援に、平成22年からどのように取り組んでいくのか。
高橋知事 6月をめどに札幌市内に相談窓口の「ジョブサロン」を開設する。キャリアカウンセラーが面談し、地域産業の理解や円滑な就職活動のためのきめ細かな指導・助言を行う。

2、高校新規卒業者の就職支援について
吉田議員 高校新規卒業者をニートにしないために、就職の促進を強化すべきだ。道も臨時職員の任用を検討すべきだ。
高橋知事 ジョブカフェ北海道によるきめ細かな支援を実施するほか、国の基金の活用により、学卒未就職者を雇用する事業について、道の臨時職員としての任用も含め検討している。

海外からの誘客をどう促進するのか
(15)観光振興について
吉田議員 本道の観光振興にとって重要な意味を持つ、東アジアを中心とする海外からの誘客促進にどう取り組むのか。
高橋知事 新千歳空港国際線ターミナルビルの供用開始などによる効果を最大限に生かしながら、積極的な誘客に取り組む。新年度は上海万博を活用した世界への情報発信、新たな旅行商品の開発支援、インセンティブ旅行など将来性のあるターゲットの掘り起こしなどを戦略的に実施する。

農業予算削減をどう認識するか
(16)農業問題について
1、農業農村整備事業について
吉田議員 国の平成22年度予算案で土地改良関係予算などが大幅に縮減され、農家に大きな混乱を招いている。予算削減が今年の営農計画に与える影響をどう認識し、どう対応するのか。
高橋知事 予算の大幅な縮減で、今後の整備予定に変更が生じるケースもあり、農作物の作付け計画の変更や地域の整備計画の遅延など大きな影響がある。厳しい道財政状況だが、道単独事業を創設するなどして影響の緩和に努め、国には予算の確保を強く要請する。

2、BSE問題について
吉田議員 民主党のマニフェストには、BSE対策で牛の全頭検査に対する国庫補助を復活すると明記されているが、来年度予算案には助成措置が見当たらない。国に対しマニフェスト通りの措置を講じるように強く求めるべきだ。
高橋知事 消費者に信頼される安全・安心な道産牛肉の生産を進めるために、全頭検査を継続していくことが必要だ。全頭検査の実施に要する経費への助成措置を国へ働きかける。

3、道営競馬について
吉田議員 赤字が続く道営競馬事業の経営改善を図るために策定した北海道競馬改革ビジョンは来年度が目標年だ。背水の陣を張る気概で取り組むべきだ。
高橋知事 産地と一体となってさまざまな競馬改革に取り組み、着実に収支の改善を図ってきた。平成22年度の収支均衡を図るために、インターネット発売の拡大、札幌開催の一時休止を含む徹底した経費削減を進めるなど、不退転の決意で取り組む。

安全操業枠組維持に努めよ
(17)安全操業について
吉田議員 ロシア国境警備隊の羅臼漁協所属漁船2隻に対する銃撃はいかなる理由があろうとも許されない。しかし、2隻の船長が逮捕されるなど、多くの漁船でVMSシステムのデータに疑惑が生じていることは遺憾だ。関係漁協への指導のあり方を見直すなどして、安全操業の枠組みの維持に努めるべきだ。
高橋知事 羅臼町に漁業監督吏員を派遣し、必要な調査を行った。速やかに結果を取りまとめて議会へ報告する。違反の事実が判明した場合は厳正な処分を行うとともに、再発防止に向けては、モニタリング体制の強化など必要な対策を検討し、安全操業の枠組みの維持に努める。

道単事業の早期執行にどう対応
(18)公共事業の執行について
吉田道議 来年度予算案には前年度当初予算を上回る道単独事業が確保されており、高く評価する。厳しい景気・雇用情勢を考慮して速やかな事業執行が求められるが、どのように対応するのか。
高橋知事 補正予算に引き続き、道単独事業を含めた来年度の公共事業の早期発注に努め、切れ目のない執行で景気の下支えや雇用の確保につなげていく。

どう教育のかじを取るのか

三、教育問題について

(1)教育行政執行方針について
吉田議員 執行方針に掲げた2つの目標の達成に向け、どのように本道教育のかじ取りを進めるのか。
高橋教育長 子どもたち1人ひとりが社会で自立して生きていくことができるよう、学力の向上に向けた施策を進めていくことが、何よりも重要と考えている。同時に子どもたちが互いに支え合いながら生きていくことができるよう、健やかな心身の成長と発達を促すことで、知・徳・体をバランスよく育んでいくことが極めて大切だ。私たち大人たちが一丸となって、本道の子どもたちの育ちを支えていくことができるよう、「すべては子どもたちのために」との思いを持って、私が先頭に立ち全力で取り組む。

来年度の学テの実施状況は
(2)学力向上対策について
1、全国学力テストへの参加について
吉田議員 文科省は来年度から全国学力テストを抽出方式に切り替えて行うこととした。わが会派は抽出対象にならなかった学校も学力テストに参加するよう、各市町村を指導すべきだと主張してきたが、来年度の実施状況はどのようになるのか。
高橋教育長 来年度の全国学力・学習状況調査は道が行うこととした上で、市町村教委に参加を働きかけてきた。現時点では希望しないとした札幌市を除く177市町村が参加の意向を示し、その他は検討中になっている。

2、結果の公表について
吉田議員 道教委は各市町村の平均点を、全道的にどのレベルにあるのか把握できるような方法で示すこととし、その結果を保護者や住民に公表するように指導してきた。市町村の対応状況はどのようになっているのか。
高橋教育長 学力テストの結果は、ほとんどの市町村が何らかの方法で明らかにしている。平均正答率について全国・全道との比較を文章で示したのが約7割、概算値で示したのが2割強。しかし、全道の中での立ち位置などを示したのが約1割であり、道教委の働きかけが不十分だったと認識している。

かい離のある道徳教育の実態是正を
(3)道徳教育について
吉田議員 道徳の資料の「心のノート」の活用状況は、学校の認識と保護者の受け止め方には大きなかい離がある。実態をどう認識しているのか。
高橋教育長 活用調査の結果、保護者会で説明している学校は5割、活用している学校は3割、「心のノート」を知っている保護者は6割、よく知らないは4割、学校から説明があったのは一割などで、学校から保護者への働きかけに課題がある。学校にも認識させ、ノートを活用した道徳の授業を積極的に公開することなどを働きかける。

汚点残した北教組役員逮捕
(4)北教組の活動について
1―1、役員の逮捕について
吉田議員 民主党の小林衆院議員陣営に対し、北教組から裏金1,600万円が選挙資金に提供された事件は、北教組役員3人が逮捕されるという、本道教育界に汚点を残す前代未聞の不祥事に発展した。多くの教員への信頼を傷つけ、子どもたちに極め大きな衝撃を与え、言いようのない憤りを覚える。この事件をどのように受け止めているのか。資金の原資が北教組の返還闘争でプールされている「主任手当ではないか」とみる報道をどう考えるのか。
高橋知事 未来を担う子どもたちを育む教育に対する道民の信頼を著しく損なうもので、誠に遺憾だ。事件の全容が早期に解明され、政治や教育に関する道民の信頼が1日も早く回復されることを望んでいる。
高橋教育長 北教組に関する事態に関し、文科省から任命権者として調査するよう要請があった。教職員の政治的行為や勤務時間と組合活動の状況など、具体的な調査項目や方法について急ぎ検討している。できるだけ早期に実態把握を行い、北教組幹部からも事情を聴取する。

1―2、選挙運動について
吉田議員 校内でのポスター掲示、コピー機の使用、家庭訪問に名を借りた戸別訪問など、やってはいけない具体事例を、教職員1人ひとりに徹底することが大切だ。
高橋教育長 教育公務員が特定の政党の支持または反対のために政治的活動をすることは、教育公務員特例法などの法令により厳しく禁止されている。この度の事態を受け、違反行為の具体例を示し、教職員1人ひとりが法令を順守するよう徹底し、服務規律の確保に一層努める。

1―3、違法な組合活動について
(1)学校備品の使用について
吉田議員 わが会派が入手した北教組の連絡文書では、組合用務で学校の備品を使っている。このことは何の問題もないのか。
高橋教育長 公費で設置したファクシミリなどの学校備品を、職員団体の活動に使用することは許されない。使用状況によっては職務義務違反などの恐れがある。

(2)勤務時間中の組合活動について
吉田議員 分会長会議が、平日の勤務時間内に開催された場合、年次有給休暇を取らずに参加しても服務上の問題は生じないのか。
高橋教育長 職員が手続きを行わず、勤務時間中に理由なく職場を離れた場合は職務専念義務違反になり、内容によっては給与の減額や懲戒処分になる。

道教委と北教組はいつ交渉したのか
2、国旗・国家問題について
吉田議員 学校において、依然として北教組による国旗・国歌の反対運動が見られる。北教組の内部文書の中に、北教組本部が道教委と交渉した旨の記述があるが、いつ行ったのか。
高橋教育長 国旗・国歌の取り扱いは交渉事項にはならない。北教組の内部文書は明らかに事実に反し、厳重に抗議を申し入れた。

卒業式等への職員派遣で実態把握を
3、卒業式などの実態について
吉田議員 北教組は主張が求められなければ、授業以外の労働を拒否するなどの対抗戦術を行使するとしている。これは大きな問題であり、道教委は各学校の卒業式、入学式に職員を派遣して実態を把握すべきだ。
高橋教育長 市町村教委が各学校の卒業式などの状況をつぶさに把握した上で報告するよう求めるなど、調査方法を改善する。市町村教委と連携しながら卒業式、入学式に職員を派遣して実際の様子を把握し、課題のある学区は指導する。

日教組方針丸飲みは大きな問題だ
4、歴史教育について
吉田議員 北教組の機関誌には「竹島問題は韓国の主張が正しい」など記述されている。このことをどう受け止めるのか。
高橋教育長 竹島の記述は教員や保護者に誤解を与えかねない。新しい中学校学習指導要領社会編に竹島にかかわる指導が明記されたことで、適切な指導が行われるよう指導助言してきた。

5、学校運営などについて
吉田議員 民主党のマニフェストにある教育政策は、学校指導要領の大綱化を促進することなど、日教組の政策要求や運動方針を丸飲みしたものだ。極めて大きな問題があると考えるが、どう受け止めているのか。
高橋教育長 学習指導要領のさらなる大綱化は、学校運営などへの影響が懸念される。教育活動をはじめとする学校運営は、学校教育法に規定されている校長の権限と責任を前提として、組織的に行われることが重要。国が学習内容や学校運営のあり方などを具体的に検討する場合は、道内の市町村教委や全国都道府県教委連合会と連携を図りながら、必要な意見を述べる。

信頼回復と不祥事再発防止を
4、公安問題について
(1)不祥事の防止対策について
吉田議員 幹部警察官の不祥事が相次いでいる。道民の信頼回復と再発防止に向けてどう取り組むのか。
殿川道警本部長 幹部職員による盗撮や警察署長のセクハラという不祥事が、連続して発生したことは誠に残念であり、道民に深くおわび申し上げる。明らかになった事実に即して厳正に処分した。再発防止に向けて、中高年職員に対する職務倫理の再徹底、きめ細かな業務管理や指導監督の徹底、士気の高い職場環境の整備などを重点とした対策を講じる。

安全安心の確保にどう取り組むのか
(2)本年の取り組みについて
吉田議員 道民の安全・安心の確保に向けた本年の取り組み方針をうかがう。
殿川道警本部長 基本理念を「道民とともにある力強い警察」とし、4つの重点目標を定めた。道民が身近に不安を感じている犯罪などの総量を抑え込むための「犯罪抑止総合対策」、殺人や強盗などの凶悪犯罪や暴力団をはじめ組織犯罪の検挙を徹底するための「重要犯罪・組織犯罪等対策」、「交通死亡事故抑止対策」、突発的な国際テロや大規模な自然災害などに迅速的確に対処する「緊急事態対策」で、これらの対策を強力に推進し、道民が肌でかんじることのできる成果を出したい。
 本年6月のAPEC貿易担当大臣会合に伴う警備対策など、当面の重要課題は山積しているが、本道の治安をより確実で安定したものとするために、従来の視点や枠組みにとらわれることなく、幅広い対策を講じていく。

■自民党・道民会議の一般質問項目■

□田中 芳憲議員(恵庭市)
 一、農業農村整備事業について
 一、自衛隊の体制維持について
 一、広域的な救急医療体制の構築について
 一、観光振興について
 一、高校の通学費助成について

□佐々木 俊雄議員(函館市)
 一、知事公約について
 一、道庁組織の見直しについて
 一、水産施策について
 一、教育行政執行方針について
 一、職員団体について

□北原 秀一郎議員(紋別市)
 一、地域医療対策について
 一、障害者施策について
 一、アイヌ施策について
 一、海岸漂着物対策について

□高木 宏壽議員(札幌市豊平区)
 一、道財政について
 一、障がい者用駐車施設について
 一、国旗・国歌について
 一、組織犯罪対策について

□堀井  学議員(登別市)
 一、スポーツ振興について
 一、私学振興について
 一、歯科保健対策について
 一、観光振興について

□大崎 誠子議員(札幌市東区)
 一、経済戦略について
 一、食のクラスターについて
 一、上海万博と中国市場販路拡大対策について
 一、航空行政について
 一、森林の保全について
 一、学校給食について

□清水 誠一議員(帯広市)
 一、北海道企業立地促進条例について
 一、野生鳥獣被害対策について
 一、障がいを持つ公・私立通学生への対応について
 一、公務員の政治活動について
 一、学校週5日制について

□中司 哲雄議員(根室支庁)
 一、本道の経済活性化について
 一、漂着船問題について
 一、赤レンガチャレンジ事業について
 一、職員団体について

□藤沢 澄雄議員(日高支庁)
 一、貧困の連鎖について
 一、アウトドア資格制度について
 一、英語教育について
 一、職員団体について

□村田 憲俊議員(後志支庁)
 一、電源立地に関する諸問題について
 一、自然公園の施設整備などについて
 一、医療問題について
 (1)難病などへの対応について
 (2)骨髄移植などについて

□山本 雅紀議員(室蘭市)
 一、地域医療再生計画について
 一、PCB廃棄物処理事業について

□小野寺 秀議員(帯広市)
 一、アイヌ政策について
 一、文協テストについて

□遠藤 連議員(苫小牧市)
 一、支庁制度改革について
 一、職員住宅のあり方について
 一、教育委員会制度について
 一、職員団体について

□工藤 敏郎議員(留萌支庁)
 一、道立羽幌病院の医療体制の確立について