●平成21年第3回臨時道議会自民党・道民会議質問・答弁要旨

自民党・道民会議 柿木 克弘 議員



2009/8/5  792億円の補正予算を可決


1、補正予算案について

一、景気雇用対策の効果について

柿木議員  野党がバラマキ政策と批判した「定額給付金」は確実な効果が出ている。知事は、これまでの国の動きに呼応して進めてきた景気雇用対策の効果をどのように認識しているのか。

高橋知事  国は昨年来、数次にわたる総合的な景気雇用対策を実施しており、道も積極的に呼応して切れ目のない対策を実施してきた。本道の経済・雇用は依然として厳しい状況にあるが、景気・経済の下支えや雇用の創出に効果を発揮している。

二、道路関係予算について

柿木議員 民主党のマニフェストによれば、高速道路料金の無償化、ガソリン税などの暫定税率の廃止による減税に取り組むとしており、財源には税金の無駄遣い、埋蔵金を充てるとしている。暫定税率が廃止された場合、道税・市町村税収入への影響はどの程度の額になるのか。

高橋知事 道が受ける影響額は道税と譲与税を合わせて約368億円、市町村は約266億円の減少が見込まれる。暫定税率が廃止された場合は、地方財政に相当程度の影響が及ぶ可能性が想定され、道路事業などの公共事業でもさまざまな課題が生じることが懸念される。

三、社会資本整備について

柿木議員 報道によれば、民主党幹部が「北海道は新幹線より飛行機」「開発局は4年以内に廃止」と発言し、民主党は大型公共事業を徹底的に見直すとしている。北海道開発に関する国の組織のあり方や北海道新幹線、高規格幹線道路網など、社会資本の整備について、知事のこれまでの認識に変更はないと考えるが認識を伺う。

高橋知事 北海道特例や予算の一括計上といった本道開発の枠組みをしっかり堅持するとともに、道開発局を含む国の出先機関に見直しについては、国と地方の適切な役割分担やわが国において本道が果たすべき役割などについて、地方の意見を十分聞きながら、検討されるべきだ。

四、雇用確保について

柿木議員 破綻した企業の事業を承継して、雇用機会を確保した事例が見受けられる。事業と雇用を承継する企業への支援は、どのような枠組みで実施するのか。

高橋知事 地域に与える影響が大きい企業の事業が困難になった場合、その資産と雇用を承継する企業に対し、道独自の取り組みとして、正社員として再雇用した人数に応じて奨励金を支給する「雇用承継奨励事業」を実施することにした。本年後半に、厳しい状況を緩和するために緊急対策として行う考えだ。

五、公共事業等の執行について

柿木議員 今回の補正予算を含めた道の各事業は、厳しい状況にある地域経済の一層の活性化につながるよう、地元中小建設事業者の受注機会の確保や早期発注に速やかに取り組むべきだ。

高橋知事 第3次緊急総合対策に関係する補正予算の発注にあたっては、経済団体からの要請を踏まえ、可能な限り早期発注に努めるよう強く指示した。補正予算の効果が各地域に浸透するように、全庁一丸となってしっかりと取り組む。

六、農業冷湿害対策について

柿木議員 今年の長雨は過去に例がなく、ジャガイモ、豆、ビートなど農作物への被害が広がっている。この農業被害に対して地域活性化臨時交付金を活用するなど、早急に対応すべきだ。

高橋知事 地域や農家によっては、今後の影響が懸念される極めて厳しい状況。7月末に設置した「営農技術特別対策チーム」を中心にきめ細やかな状況把握と的確な技術指導に重点を置き、農業者の取り組みを支援している。これまで実施した事業の効果も検証し、効果的な排水対策に取り組み、足腰の強い農業経営の実現に努める。

七、フェリー対策について

柿木議員 わが会派の質問を受け、モデル的に北海道トラック協会が行うフェリー運賃の引き下げに対し補助し、物流経路の確保を図ることになった。今後どのように取り組むのか。

高橋知事 道は、国の地域活性化・経済危機対策臨時交付金を活用し、北海道トラック協会が行う、フェリーを利用した有人トラック貨物輸送への助成事業に対し、補助を行うことにした。冬季の物流閑散期におけるフェリーの利用促進につながると期待している。今後も、国に対し、フェリー航路の維持・確保に向けた支援制度の創設などを要望する。

八、社会福祉の実現について

(一)介護職員の処遇改善について
柿木議員 介護職員処遇改善に関する基金は、いつまでに、どのように進めるのか。

高橋知事 国の介護職員処遇改善交付金の適用は10月からとなっている。事業者が早期に準備できるよう、8月には全道14カ所で事業者を対象に説明会を開催し、処遇の改善が図られるように積極的に取り組む。

(二)特別養護老人ホームの整備について
柿木議員 介護基盤緊急整備等臨時特例基金の創設で、どの程度の施設整備が見込まれているのか。

高橋知事 平成21年度から23年度までの第4期北海道介護保険事業支援計画で整備を予定していた1,699床の小規模な介護施設については、新たに612床が追加され、合わせて2,281床の整備希望が寄せられた。道は地域に密着した施設の整備を着実に推進していく。

(三)保育所待機児童の解消等について
柿木議員 待機児童の9割が集中する札幌市、旭川市に対し、どのような取り組みを進めているのか。

高橋知事 道内の待機児童は4月1日現在で682人。21年度は両市で24人の定員増が予定されている。さらに札幌市では年度内に、追加の保育所整備の協議がなされる予定で、一層の解消が図られると期待している。

九、保健・福祉施設等の防災対策について

(一)スプリンクラー等の整備について
柿木議員 社会福祉施設へのスプリンクラー設置をどう促進するのか。今後の防災対策をどう進めるのか。

高橋知事 スプリンクラーは本年度調査で243カ所が未設置。社会福祉施設等耐震化等臨時特例基金などの活用でできるだけ早期に解消したい。8市町村、12カ所に「土砂災害防止法」に基づく警戒区域に設置されている社会福祉施設がある。避難誘導体制の点検や防災教育、防災訓練の実施、市町村など関係機関との連携強化などを重点的に指導したい。

(二)保健所等の耐震化促進について
柿木議員 道内の認可保育所831カ所の把握をするために、早急に実態調査を行うとともに、安心子ども基金を活用して耐震化を進めるように指導すべきだ。

高橋知事 10月を目途に耐震化に向けた取り組み状況の実態を把握する。耐震診断に要する費用への国の補助制度の活用や安心こども基金を活用した耐震改修の実施について、周知、啓発を行い、耐震化の促進に努める。

十、教育関連予算について

柿木議員 児童生徒の増加に伴う、深刻な施設の狭あい化の解消を図るために、抜本的な対策を講じるべきだ。

高橋知事 国の特別支援学校の教室不足対策事業を活用して、道立の養護学校6校と高等養護学校1校を整備するが、必ずしも十分な解消には至っていない。道有財産や市町村立学校の廃校となる校舎の活用なども視野に入れ、対策を検討する。